息子と友だちとの関係

我が子は高校3年生。受験生真っただ中です。
ようやくお尻に火がついて、今までほとんど自ら勉強をしようという姿勢ではありませんでしたが、流石に焦りが出て来たようです。
そんな日夜勉強漬けの我が子でしたが、久しぶりに中学校の時からずっと仲が良い友だちに会う機会があって、息抜きにお昼ごろから出かけて行きました。
その息子の友だち関係から学んだことを、今回お話したいと思います。

ありのままを受け止める力

・息子の友だち

今は高校が違いますが、息子には中学の頃から今もずっと付き合いのあるお友達がいます。息子は社交的な子ですが、お友達は息子曰く、とてもシャイで内向的な子が多いようなんですね。
中でも一番の親友は、超絶シャイで、3人以上が集まると顔をいっさい出さない、時々ラインの返事どころか、音信不通になってしまうような時もあり、非常にマイペースな子のようです。
だけど息子は大勢で騒ぐのも大好きなので、そういうお誘いはほいほい行くし、そんな仲間も多いのですが、やはり一番一緒にいて楽しいのは、その超絶シャイな子なんですよね。彼は息子にとって、他の友だちとは全く違う子なのですが、何が他の子と違うんでしょう。

 

・そのままを受け入れる

息子の周りには、すごく頭のいい子、アニメにドはまりしている子、すごいイケメンな行動的な子など、いろんな友だちがいます。
だけどね。
息子にとって、どんなことを言っても何が起こっても、気まずくならないのがその親友らしいです。そして、そのお友達も、息子にはそのまんまをさらけ出してくれるようなんですよね。
喧嘩しても、汚くののしりあっても、それでもその友だちはそれを引きずることなく、すぐにけろっとして関わって来るし、もしくは息子が連絡しても、いつも通りに楽しそうに関わってくれるようなんです。
こういったところは、大人になっていくと難しいですよね。
特に夫婦間、男女間では難しいと思います。
謝った方が負けとか勝ちとか、変なプライドもあったりして。
相手の様子を伺ったり、連絡貰っても素直になれなかったりとかさ。
だから喧嘩しても、それをまた受け流すことが出来る息子と息子の友だちってすごいなぁと思いました。

 

信頼しあえる関係

・ある日の出来事

数日前、息子はその親友と久しぶりに遊びに行きました。
その日は二人で12:30にある駅前で待ち合わせという約束をしていたようです。
息子はその時間ぴったりに行けるように調整し、途中で彼に連絡したんですね。もうすぐ駅に着くよって。
すると彼から帰ってきた返事は。
「俺駅に行かへんで。もう現地まで来てるから。」
という言葉でした。
息子はそうなん?っと少しびっくりして現地に急いだようです。
その話を私に笑いながら話してくれたんですね。

だけど・・・・。
ちょっと待て。
待ち合わせの時間を決めて場所も決めてたのに、ヤツは先に行ってたのか!?
「なんか電車に乗っとったら途中で降りるんめんどくさなったらしいぞ。」
それをまた笑いながら私に話す息子。
これね。
大人同士なら口論もしくは喧嘩になると思いません?
時間も場所も決めたのに、そこに行くのめんどくさいから先に行ってたって。
しかも彼はそれを先に連絡するのではなく、息子が連絡したときに言ったんですよね。

先に行くならその時点で言わんかい。

と、私と夫で突っ込みながら話を聞いていたのですが、
「まあ、そういう気分になることもあるんちゃう?」
と、息子はほとんど気にしていないようです。
我慢して相手に合わせてる…というようなそぶりもいっさいないし、基本その話をすごく楽し気に話すんですよね。

「あいつは俺やからああなっとんねん。俺に絶大な信頼があるんや。だからあいつと一緒にいて何かされても大して腹立たへん。あいつなりの理由があるやろうし、あの自由さがあいつなんや。普段から兄ちゃんを頑張ってるんやから俺には甘えとんやろ。そういうの嬉しいやん。あいつも俺がしょーもないことしても、ほとんど怒らへん。笑って返してくれるし。自分では俺陰キャやしってよく言うけど、陰キャだろうが引きこもっていようがそんなん関係ないわ。俺が一緒にいて一番楽やし楽しいからな。」

と。
あんたら二人は神か!?
彼らの付き合い方にすごく驚いたんですね。
お互いにお互いを認め合って許せる相手。
高校が違って日ごろはあまり関われなくとも、たまに会うと朝から晩まで帰ってこない。
少しうらやましくも思いましたね。

 

・信頼する関係性

息子の言葉で一番突き刺さったのは、
「あいつは俺を絶大な信頼してくれている。だから何されても大して腹立たへんし、あいつなりの理由があると思ってるから信用できる。」

今は息子の言葉に共感出来るし、そうはっきり言える息子を誇りに思います。
だけど、私が高校の時はそんな考え全く出来なかったし、社会人になってカウンセリングを自分が受けるまでは、そう思える相手すらいませんでした。
それは、当時の私の考え方がいろいろ幼かったからだと思います。仲良くしてくれていた子の一言ですごく傷つき勝手に相手の行動や言動に悪意を感じて、怖くなってしまい、すぐに関係性を切ってしまう。そんなことばかりしていたんですよね。

相手を信頼するってこういうことなんだと、今更ながら息子に教わりました。

大好きな相手だから。
一緒にいて楽しい大事な存在だから。
何をされようが、どんな喧嘩をしようが、こっちに言い分がある分だけ同じように相手にも相手なりの理由がある。自分にはないやり方を持っているだけで、決してそこに悪意は存在しない。だから何があっても一緒にいられる。瞬間的な腹立ちはあっても、そんなに大したことではない。
こころから彼らを尊敬し、見習いたいと思いました。

 

大人になって難しくなる信頼感

・信頼する難しさ

大人になると、私たちは誰かに甘えたくなるんですよね。
成長過程において、みんながみんないろんな経験をして、悲しい思いや悔しい思い、辛くて時にすごく孤独になって。
そうなると人を信頼することが怖くなってしまう。
だけどそんな大人でも、騙されようが傷つけられようが、そんな相手を許すという人がいます。

昔。多くの男性から大金を騙しとった女性が逮捕されたというニュースがありました。
その時に、騙された男性が言ってたんです。
騙されはしたが、彼女に楽しい時間を与えてもらったから後悔はしていない。
と…。
当時はそのニュースを聞いていて、私はその男性たちをバカにしました。テレビだからカッコつけてるだけなんじゃないかとも思っていました。
でも今は全く違います。
そういう考え方が出来る人って偉大だと思う。
自分が信頼して大事だと思った人にしたことだから、どういう結果であれ悔いはなくて、精一杯愛した自分に満足出来る。
すごく成熟した立派な考え方だと思います。
でもそう受け止めるのはすごく難しいですね。
いろんな体験を積み重ねていく過程で、きっとたくさんの誤解してしまうと思います。何が本当か分からなくて、そんな自分にも自信がなくなってしまう。
だから自分が決めて行動したからと、そんなふうにしっかりと受け止めるということはなかなか出来るものじゃない。
大人ほど多くを経験していないから…というのもあるかもしれませんが、子どもの方がずっと受け止めるのは上手なんですよね。

 

・息子に学ぶ

そうやって息子は自分の友だちとのこと、学校のこと、良いことも悪いこともたくさん話してくれます。
それはきっと、友だちとの関係と同じように、私たち親も信頼してくれているからだと思っています。
「あいつは俺やからああなっとんねん。俺に絶大な信頼があるんや。だからあいつと一緒にいて何かされても大して腹立たへん。あいつなりの理由があるやろうし、何されても信用出来んねん。」
これがまさに私たちに対する言葉かもしれません。
彼は私たち親の前だから、私たちに絶大な信頼を寄せているから。
だから学校では見せないだらしなさやわがままや自由奔放さをいっぱい見せてくれる。
だから私たち親も、イラっとしたりむかつくことも正直あったとしても、息子には息子なりの考えがあるし、そんな怒りをいつまでも持っておくことはありません。
少なくとも自分より我が子は信用出来たりするんですよね。

そんな息子の人との関わりが、私の人間関係のすごくいい見本になっています。
子どもっていちいちすごい。
子どもに育てられるとはよく聞きますが、我が子には本当に教えられることが多いと実感しました。
きっとどこの親御さんもそれは同じなのかもしれませんね。

今回の私事の記事が、子育て中の皆さんに少しでもお役に立てれば幸いです。

次週は、高塚早苗カウンセラーです。
どうぞお楽しみに。

 

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この記事を書いたカウンセラー

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アルコール依存症の父からの虐待経験、学生時代のいじめから、恋愛依存、不倫や風俗を経て、自分を抑え付けるような結婚生活後、8年で離婚。その後自分に向き合い、今は穏やかに生きる。 過去のあらゆる経験をもとにして、恋愛関係、家族関係を得意とし、お客様と共に成長するスタイルを取る。