男の子たちが変身ものが大好きな理由は・・
こんばんは
神戸メンタルサービスの平です。
子どものころ、仮面ライダーなどのヒーローものやゴレンジャーなどの戦隊ものに憧れたという男性は多いことでしょう。
目立たなくて、どちらかというと弱虫の青年が、なにかの出会いを経て超人に変身する‥‥というのがその代表的なストーリーです。
男の子たちはこうした変身ものが大好きなのですが、心理分析をすると、子どもである弱い自分が「強くたくましい男に早くなりたい」という欲求がそこにはあります。
そして、変身ものには必ず主人公が対峙する悪の組織あり、そこには悪の魔王のような非常に強い超人が存在しています。
悪の魔王には人間は立ち向かえないのですが、変身したヒーローならばそれに打ち勝つことができ、悪を懲らしめる‥‥という物語になるわけですね。
ここでさらに心理分析を進めると、じつはこの悪の魔王は男の子にとっては父親なのであります。
“エディプス・コンプレックス”とは精神分析の創始者であるフロイトが説いた考え方で、男子が無意識のうちに母親を思慕し、父親に嫉妬する傾向のことです。
男の子は「大好きなおかあさんを独占したい」と思ったときに、じつは「おかあさんはおとうさんのものである」という事実を知り、驚愕します。そして、おとうさんを邪魔だと思います。
そう思うと今度は心理学でいう“投影”が起こり、「ひょっとして、おとうさんも僕のことを邪魔者だと思っているかもしれない」と感じるようになるわけです。
すると、防衛行動として、父親に従順になったり、父親と同じような自分になろうとしたりします。そうしないと、ひどく攻撃されるのではないかと感じるからです。
「父親を邪魔者だと思い、反逆すれば、その報復として父に去勢されてしまうと考える」とフロイト先生は述べておられます。
例を挙げれば、医師の息子は子どものころから「あなたもおとうさんと同じようにお医者さんになるんでしょ?」とまわりの人によく言われます。
すると、「万が一、自分が医者になれなかったら‥‥」という恐怖を抱くようになり、「おとうさんと同じになれなければ、おとうさんからきっと去勢されてしまう」と思ったりします。
つまり、ひどく失望されたり、家から放り出されたりしまうのではないかと勝手に考えるわけですが、ほとんどの場合、実際はそんなことはありません。
同じように、教師の子どもたちは「成績優秀であらねばならない」とか「自分がよい子のモデルにならねばならない」などと考えがちです。
もし、そうでなかったら、ものすごいペナルティを受けるのではないかと考えてしまったりするのですが、それも去勢されることへの怖れの一種だといわれています。
だからこそ、超えなければいけない、つまり、勝たなければいけない最大のライバル、それが男の子にとっては父親であるわけです。
現代版のエディプス・コンプレックスは、「超人ヒーローになり、悪の魔王を退治すること」につながっていくのですね。
男性においても、女性においても、すべての変身願望は“自己否定”が行動動機になります。
女性の変身願望は、お化粧で表現されたりしますよね。
さらに、寄せたり上げたり、ネイルやヘアスタイルに凝ってみたりするわけですが、その多くは「よりよくなる」ということよりも「悪いところを補正したい」という欲求からきています。
土台に「こんな自分は愛されない」という自己否定があるから、自分を変えたいというところからスタートしているのです。
でも、一つ、知っておいてください。
こんなとき、ほとんどの人は、「自分はほんとうにイケていないのか?」という検証はなさっていないのです。
来週の恋愛心理学もお楽しみに!!
(完)