休むことはダメなこと?
とくに日本文化では勤勉さや努力が美徳とされる傾向があり、休むことはこれに反する行為だとみなされることも少なくありません。
休みたいのに休めないあなたのためにお届けします。
◆「休むこと=〇〇だ!」
日本人が休みを取らない理由のトップ3をご存知でしょうか?
「人手不足」「職場のみんなが休んでいない」「お金がない」だそうです。
たしかにギリギリの人数でなんとかまわしている職場だと、「自分だけが休むなんて」と罪悪感を感じやすくなります。日本人はもともと協調性の高い性質をもっていますが、休むことにも協調性を発揮しますので、休みたくても休めない雰囲気があるのです。
さて、ここでみなさんに質問です。
「休みたいな」と思ったときにどんな罪悪感がわいてきますか?
3分ほど時間をとりノートに書いてみてください。準備はできましたか?それではスタート!
では、書いたものを眺めてみてください。なぜこれを書いていただいたかというと、休みたくても休めない背景には、休むことへのマイナスイメージがあるからです。
たとえば、「休む=迷惑をかける」「休む=お金が減る」「休む=誰かに文句を言われる」のように、「休むこと」と「マイナスイメージ」がセットになっていると、休みたくても休めないのです。
休むことはマイナスでしかないのなら、心の方程式としては「休んでも何も良いことはない」という結論になってしまいます。
これが心の複雑なところですが、休むことがマイナスイメージになっていると、なんらかの理由をつけて「休まないことを正当化」しようとするのです。
「どうせ休みをとっても寝るだけだし」
「無駄にお金を使うだけだし」
「年末年始になれば休めるし」
これを読んでいるあなたは、ちょうどこの「正当化」あたりにいるのかもしれません。
◆働くために休んでいる私たち
休まないことを正当化しなければいけないぐらい、私たちは休むことに罪悪感があるのです。欧米人は「休むために仕事をする」というバカンス文化がありますが、日本人は「仕事をするために休みがある」というような、働くために休んでいるようなところがあるのです。
罪悪感は「うれしい、たのしい」という感情を殺してしまう性質があります。
かりにお休みをもらってどこかに旅行に行ったとしても、罪悪感があるとちっぽけにしか楽しめなくなり、旅行先に行ってまで仕事のことを考えていたりします。
その罪悪感は、旅行から帰ってきても続きます。
休んだお詫びの品として、職場にたくさんのお土産を買って帰る人。休み明けはいつも自分を忙しくさせてしまう人。自分に負担のかかる仕事ばかりを引き受けてしまう人は、その典型例です。
これはお土産を買って帰ってはいけないという意味ではないのです。
お土産が「おかげさまで楽しかったです。ありがとうございます」という感謝の品なのか、「休ませてもらって大変申し訳ありませんでした」というお詫びの品なのか。お土産がどのような感情でラッピングされているのかが重要だということです。
休むことは「罪」ではありません。にもかかわらず、してしまうお詫び行為の数々に心当たりがある人も多いのではないでしょうか。
だ、誰ですか!「まったくそのとおりだよ…」とうなずいているのは!
◆「休むこと=悪だ!」を書きかえてみよう
罪悪感はひじょうにやっかいな感情です。
ですから、休むことへの罪悪感を断ち切ろうなどという無謀な挑戦をすることを、私はあまりおすすめしません。
罪悪感を断ち切ろうとするよりは、休むことにプラスイメージをセットしたほうが良いのではないかと考えます。
例)休むことのプラスイメージの一例
・休むことでもっと良い仕事ができる自分にリセットできる
・頑張ることも大事だけど、同じぐらいに休むことも大事だ
・疲れていると感じたら、休む勇気も必要だ
・仕事を休まない人はまわりに迷惑をかけている
・長く働くためには休むことも必要だ
・休むことで見えてくることもある
・しっかり働きしっかり休もう
など、あなたなりのプラスイメージをノートに書いてみると良いでしょう。
ちなみに、私の最強のプラスイメージは「休むことも仕事のうち」です。「休んだらいい仕事が出来る!」とまで思っています。
休むことへのプラス面に目が向けられると、罪悪感をやわらげることができるでしょう。
「最近、なんだかよく休めていないな」と思うのであれば、ぜひ書きかえてみてください。
休むことは甘えではなく、自分を健やかに保つために必要なこと。
そう、現代社会では「休むことも努力のうち」なのです。
(完)