あなたの愛は誰かを通じて永遠に伝わっていく

最近、実家の母から携帯に連絡がありました。
何事かと思っていると「弟が久しぶりに一人で帰省してくるから、帰ってこないか」と言われたのです。
弟は、いつもは他県で奥様と甥っ子たちと暮らしています。
なので「一人で」と聞いてますます、何の事件かと冷や汗をかいたのですが、話を聞くと単に親から車を譲り受けるだけの話でした。
もう何年も一人でなんて帰省してこなかったし、用事が済んだら次の日に、すぐ帰るとは言え、弟だけ帰省してきても、要は「盛り上がらないから、賑わしくするために、あなたもどうですか?」という、昔からある「お姉ちゃん、助けてちょうだいよ」要請だったようです。

普通なら、断りたいお願いかもしれません。
でも、私は弟大好き人間なのです。
これまでは、「もう結婚しているし、子供もいるから」と遠慮していたのですが、一人で帰省してくるとあっては、かつてのようにイジり倒す・・いえ、可愛がらないわけにはいきません。
酒を酌み交わしながら、仕事の愚痴を聞き、マッサージのひとつでもしてやろうと言う気持ちで、二つ返事でOKしたのです。
その返事の後、母がふとこんなことを言いました。

「あの子、昔は本当に何にもしなかったのに、すっかりイクメンになって…すぐ帰るのも子供と奥さんが気になるからみたい」

それを聞いて思わず、私は笑ってしまったのです。
お盆や年末年始に、奥様も甥っ子たちも連れて帰省してくる時、弟は本当にまめまめしく甥っ子たちの世話を焼いています。
甥っ子たちは、幼稚園と1歳になったばかりで、可愛いけれどイヤイヤ期も重なって難しいお年頃なのですが、二人とも「パパじゃなきゃイヤ!」と寝る時も一緒なのです。
でも、そんな姿は母からすると、とても意外だったのでしょう。
実家にいた頃の弟を思い出すと、お箸も自分で取らないし、父と同じようにお茶も母が入れてくれるし、母がいなければ姉が家のことはするであろうと思っていたところがありました。

だから、母の中で弟が自分の子供のために育休を取るとか、ご飯を食べさせる、お風呂あがりにドライヤーをかけてあげる姿なんて想像できていなかったのです。
でも、私は何となくわかる気がしました。
甥っ子たちの世話をしている弟の姿を見ていると、子供たちへの気の配り方や配慮は、少し母に似ている感じがするのです。
だから、恥ずかしいなと思いながらも、母に伝えてみたのです。

「お父さんとお母さんの愛情をしっかり受け取って、それに習ってるんじゃない」

人は、自分が愛されたように人を愛そうとすると言います。
私達は生まれてきた赤ちゃんの時は、まだ無垢なんですよね。
でも、今の年月まで生きてきていると言うことは、誰かしらに愛され、その愛情を受け取って、愛することを学んできたからここにいるのだと私は思います。
家庭環境が複雑だったり、どこかで過酷な時代を生きてきた人も、心の奥深くで誰かひとりだけでも愛情を受け取った人がいるから、ここまで生きてきているのです。

お父さん、お母さん、お祖父ちゃん、お祖母ちゃんだけではなく、友達や先生、これまでのパートナー、大好きな推しかもしれません。
赤ちゃんだったあなたが泣いていた時に、バスや電車で笑いかけてくれた見ず知らずの人かもしれません。
その中で、誰かの愛を感じながら、あなた自身も誰かを愛してきたのだと思うのです。
それは想像すると遥か昔から、ずっと脈々と続いていて、これからも自分や誰かを通して未来に続いていくのかもしれません。
そう考えると、私は日常の一つ一つ、何気ないことが何だかとてもすごいことのような気がするのです。

とは言いつつ、私も含めて誰しも完ぺきじゃないから全然できてなかったと思うことだっていっぱいあります。
母も、伝えた時に照れ隠しなのか「そうかしら」とぶっきらぼうに言っていました。
私も何だか言葉にすると恥ずかしくて、「そうだよ」としか言えませんでした。
改めて「お母さんのおかげだよ」と言えなかったのは、カウンセラーとして修業がまだまだだと思い知らされております。
愛の宿題の続きは、帰省してからクリアしようと思っています。

最後まで読んでくださってありがとうございました。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

お客様からは「話していて安心できる」「気持ちが落ち着く、整理できる」と定評がある。自身の過去のいじめから来る対人恐怖(男性恐怖)、過食症を克服した経験を持ち、繊細な感受性でお客様ひとりひとりの心に寄り添い、どんな時もお客様の魅力と光を見続けるカウンセリングを心情としている。