自分の無価値感を超えた時、仕事の幅は広がる 〜愛を循環させるリーダーシップ〜

ビジネスや仕事だと、得意なことも苦手なことも、いろいろやらなければいけないという状況になること、ありますよね。
しかし、苦手なことをやろうとする時、とても気が重くなったり進めようとしてもなかなか進まなかったり、もっと深刻な状態になると会社に行きたくなくなったりしてしまうこともあるかもしれません。

そんな苦手なことが解消されたなら、とてもスムーズに仕事が進むでしょうし、気持ちが楽になり、余裕が生まれるのではないでしょうか。

苦手なことに取り組まなければならなくなった時、あなたならどうしますか。

ある女性のこんなご相談をうかがいました。
このお話しは、本人の了承を得てご紹介させていただいています。

その人は、お1人で自営業をされています。
何年か1人で続けていらして、固定客も付き、事業の拡大を考えるようになってこられたのです。
しかし、事業拡大に伴って、メインの仕事内容だけではなく、経営管理業務面での仕事も増えてくる、それが彼女にとっては高いハードルになっていたようなのです。

「経理とか、すごく苦手で、やらなきゃいけない業務がいろいろあるんですけど、やらなきゃいけないと思えば思う程、頭が真っ白になるんです。」
そう彼女はおっしゃったのです。

お仕事自体は好きで、楽しく働かれているのですが、経営管理業務がとても苦手だとおっしゃったのです。
しかし自営で、お1人でお仕事をされている以上、逃れられないものでもあるそうです。
お仕事を始められて、もう何年か経っていらっしゃるようですが、最初の頃は本当に頭も回らず、何から手を付けて良いのやらとても困った時期を過ごされたようです。
特に年度末に毎年やってくる確定申告などは、何度やっても全然理解できず、全く進まないどころか、やりたくないので手もつけられない、仕方なく ギリギリまで何もできないというような状態だったそうです。

しかし手をつけられていない時に平気で放っておけるかと言うと、そうでもないようで、刻々と締め切りが迫ってくる間すごく嫌な気分を抱え、起きていても寝ていても頭の中は あれをやらなきゃ、という強迫観念めいたものがグルグル回っている状態でちっとも気分は良くはなく、それどころか、下手をすると他のこともやりたくないという気持ちになってしまい、明らかに自分の状態が良くない、と気づき始めたようでした。

嫌なことを、やらなきゃやらなきゃ、と自分を追い立てるように焦り、頭の中にそんな考えがあるだけでイライラするような感覚だったようです。
やりたくないことを後回しにして、逃げているんだけれど、頭の中は焦燥感でいっぱいになっている、そんな自分の状態が、自分にとって良くない状態だということに直視して認めることにすら意識が回らなかったようです。

それでも仕事自体は好きなことをしているので、仕事がおろそかになることは無かったようで、それが功を奏し、事業を拡大できるチャンスがきたようなのです。

とてもいいチャンスなのですが、そうなると、経理業務に加え、いくつか作成しなければならない書類などが必要になってきたのだそうです。

これこそが、彼女が一番苦手で、一番やりたくない仕事。
事業を拡大できるチャンス、でも、それをするには今までずっとやりたくなく、できる限り避けてきたことをやらなければならない。
それがプレッシャーでもあるし、大きなストレスでもあるし、非常にやりたくない、という頭を抱えるものだったのです。

私たち、誰しもが、苦手なものに手を付けなければならない時、なかなか自分から進んでやろうという気にならない場合が多いですよね。
やらなければならない、とわかっていても、ズルズルと先延ばしにしてしまったり、どうせできない、と諦めてしまう、なんてこと、結構あったりしますよね。

自分はダメだ、自分にはできない、そう自分を知らず知らず責めていると、余計手が付けられなくなったり、どうせ上手くいくわけない、と諦めてしまうような結果に繋がりやすくなります。

そんな彼女にこんなことをお伝えしました。
どなたか具体的な経営管理業務に関してアドバイスをしてくれる人や、任せられる、もしくは、サポートしてくれる人はいませんか?と。

実は彼女には、毎年の確定申告時に、わからないことを聞くと、教えてくれる人がいるようなのです。

しかし、毎年相談をして助けてもらう度、彼女はこんな風に思っていたようでした。

自分は何も知らず、経営管理の知識が全くない。自営と言ってもそこまで収入が良いわけでもない。そんな自分が何度聞いても頭に入らないものを毎年のように聞いて手伝ってもらっているなんて非常に申し訳ない。時間や手間ばかり取らせてしまっている、と。

彼女の中で、彼女の存在が相手に対してとても迷惑な存在になっているように感じていたのです。

そんな彼女に聞いてみました。
相手の人は、あなたのことを迷惑だと言ったり、イヤな態度を取ったりしたのですか?と。

彼女はこんなことを言ってくれました。
相手の人からは、迷惑だなんて言われたことはなく、それどころか、イヤな顔一つせず、私の無知な質問にひとつひとつ丁寧に答えてくれるんです、と。

お話しを伺っていると、どうも彼女自身が自分に強くダメ出しをしている状態でした。

こんな小さなことを聞いて嫌がられるんじゃないだろうか。
何も知らない自分が恥ずかしい。
勉強不足の自分はダメだな。

そんな無価値感を抱え、自分を強く責めていたのです。

仕事・ビジネス、というフィールドになると、技術的なことや業務的なことで、得意分野、苦手分野が可視化されやすくなったりします。

だからこそ、苦手な分野が目の前に現れ、業務の一環として携わらなければならなくなった時、苦手意識が強く働くと、滞ってしまったり、上手くできずに自分を責めたり自信を無くしたりと、無価値感を抱きやすくなることがあります。

誰にだって得意分野があれば苦手分野もあります。
自分にとって苦手分野は、実は誰かにとっての得意分野だったりするわけですよね。
だからこそ、この世の中にはさまざまな職業があり、助け合って成り立っているのです。

彼女にこんな風に伝えました。
あなたの苦手分野は、あなたに教えてくれる人にとっては、得意分野なのではないですか?
そうだとしたら、あなたをサポートすることは、その人にとっては自分が人の役に立つ喜ばしいことなのではないですか?と。

私たちは、自分が劣っている、とか、あれができない、これができない、と思っている時、他人に迷惑をかけてしまう気持ちが大きく膨らんでしまい、余計に自分をダメな存在だと扱いたくなります。

それほどまでにダメ出しをしている自分の存在が、まさか誰かの役に立ち、誰かの喜びになっているなんて、夢にも思いませんよね。

人は誰かを愛し、誰かの役に立つことで、自分の存在価値を感じ、承認された気分を感じられるものです。
自分が誰かの役に立ちたいように、誰かもまたあなたの役に立ちたいと思っているのです。

自分が苦手なことを誰かにお願いして助けてもらうことで、その誰かはあなたの役に立つことができるのです。
それは、決して申し訳ないことではなく、愛が循環している関係性を作っているのです。

これ、わからないので教えてもらえますか?
ここが苦手なので、助けてもらえると嬉しいです。
あなたがいてくれて助かりました、ありがとう。

そんな想いで人を頼ってみると、自分のストレスが減るだけでなく、想像もしなかった愛の循環が始まるかもしれません。

信じられないかもしれませんが、勇気を出して人にお願いごとをする、助けを求める、ということが、実は愛を循環させるリーダーシップになったりするのです。

最後に、あの彼女のお話しですが、申し訳ない、と思わず、あれもこれも教えてもらえませんか、と彼女をサポートしてくれている人に勇気を出して聞いたところ、彼女の想像を超えたいろんな提案を貰うことができ、彼女の知らなかったサービスも紹介してもらい、あれこれ活用しながら順調に事業を大きくしているようです。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。

この記事を書いたカウンセラー

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こじれたパートナーシップという自身の経験から、恋愛、夫婦関係、浮気、不倫、離婚、パートナーシップの問題を得意とする。「自分を愛する」ことで本来持っている才能魅力を開花させる。「話すと元気になれる!」「そういうことか!」など、明るく明瞭なカウンセリングスタイルが好評。