苦手な上司との接し方のヒント

どんな職場で働いたとしても、苦手な人のひとりやふたりいるものではないでしょうか。
もし、私の職場はみんな良い人ばかりと思えるのなら有難い話ですね。
人に恵まれていると言えるでしょう。
苦手な人がいても関わることがなければ特に影響はありませんが、毎日関わる人であれば、ちょっとしんどいですよね。

苦手な相手と接するのはそれだけでストレスになります。
ましてや、それが上司であればそのストレス度合いはさらに強くなります。

上司との関りを必要最低限にすることができれば、ストレス度合いは減るかもしれませんが、それはしんどい状況を少し回避できただけで、相手に対する印象や感情までが変わるわけではありません。
上司と接してあなたの中に湧いてくるそのイヤな感情(=苦手、キライ)に変化が起きなければ、上司がいると思うだけで憂鬱な気分は続きます。

今回は、相手に対する苦手意識を少し減らすためのヒントをお伝えできればと思います。

嫌われる上司のタイプとして、すぐに感情的になる、部下を怒鳴ってばかりいる、人を見下したり否定的な態度をとる、言うことがコロコロ変わる、責任を転嫁するなどが挙げられますが、あなたが苦手とする上司、大嫌いな上司はどんな人でしょうか?

まずはあなたが苦手としている上司のどんなところが嫌いなのかを考えてみましょう。
たとえば、すぐに大声でどなるところ、部下が何かを相談しても耳を傾けてくれない、こちらの都合を考えず仕事を押し付けてくる、と言うようにです。

次に、その苦手な部分、イヤな部分を持っているのはその上司だけに感じていますか?
それ以前にも似たところがある人がいなかったか考えてみてください。

私たちがその人を苦手、イヤだと思うのには必ず理由があります。
相手の苦手なところを明確にすることで、苦手意識や関係性を改善するきっかけが見つかるかもしれません。

たとえば、いつも感情的に話したり怒ったりする上司が苦手だと思っているとします。
ちょっとしたことでイライラしたり感情的になる人については、誰も「良い人だ」なんて思うことはありません。

では、あなたが育ってきた中であなたの周りにその上司と同じような人は他にいなかったでしょうか?

父親がそうだった。
学校の先生に理不尽に怒られてばかりだった。
近所の人で同じような感じの人がいた。

そんな経験をしていたとしたら、今の上司が苦手なのは昔に感じた同じような気持ちをその上司といると感じる(思い出す)からとも言えるのです。

小さい頃に感情的な誰かと関わりがあり自分がイヤな思いをしたとすれば、また同じような目に合うかもしれないと心は怖さを感じているのかもしれません。
昔の傷がチクリと痛み、また同じことが起きるのではないかと感じます。

目の前にいる上司が本当は優しい人かもしれないのに、以前にイヤな思いをした人の仮面を上司に被せてしまい、同じような状況と心が判断するとオートマティックにこの上司=イヤな人、苦手な人と思うわけです。

私たちが初対面の人に好印象・悪印象を抱くのも、会った瞬間に今までのデータから以前の似た人を検索して、この相手=良い人そう/(私にとって)危険人物と判断しているのです。

相手を優しそうで良い人と感じるのは、その人と外見や雰囲気が今までに知り合って優しそうで良い人に似ていると思ったからなのです。
上司が優しい親戚のおばちゃんに似てると思うと、なんとなく親近感を感じますし、あまり緊張せずにいられるかもしれません。
もし、昔私に嫌味ばかり言っていた人に声が似ていると感じたら、話していても心地良くはないですよね。

上司が誰かに似ているなんて意識では思っていなくても、態度や言葉使いなど様々なことから無意識で誰かを思い出しているからかもしれないのです。

ある人が、「声が大きすぎる上司が苦手」と言ったことがあったのですが、それを紐解いていくと、その人の父親はいつもイライラしていて大声で文句を言っていたそうです。
父親に大声で名前を呼ばれると、いつも何を言われるのだろうと凄く緊張し、ビクビクしていたとのことでした。
そんな経験から、声の大きい男の人が苦手だったそうですが、それは大きくて荒い声がお父さんに感じた気持ちを思い出させるからだったわけです。

目の前にいる人に他の人を重ねていることに気づくと、その人に父親を映し出していることをやめる選択も出来るので、感じ方にも少し変化がでてきます。
たとえ、苦手だと感じても、上司と父親は別の人として見ることもできると、上司自身を客観視でき、もしかすると良いところにも気づきやすくなるかもしれないのです。

上司に対して苦手な気持ちがなくならなくても、苦手と感じることで沸き上がってくる本当の感じたくない感情(怖いとかこんな気持ちを持つ私がダメだ、良くないなど)が減ると、苦手のままでもそれほど苦ではなくなるでしょう。

本来、私たちは相手の期待には応えたいと思っていますので、あなたが相手への見方を変えると、相手もあなたの決めつけた(思い込んでいる)ように振舞う必要がなくなるので、相手も変わりやすくなるのです。

あなたが変わると相手も変わるのは、あなた自身が決めつけた相手への枠を外したからだと言えます。

また、私たちは相手を自分の見たいように見ていますから、上司を苦手とかイヤな人と思って見ると、その気持ちに合致することだけを拾ってきてしまいます。
そして、「ほら、やっぱり思ったとおりだわ。」となり、さらに苦手意識を増幅させることになるのです。

とは言え、本当に理不尽な上司や人を否定してくるような上司であれば、見方を変えようとするのも大変なことですよね。
そんな時は、相手の言ってくることを真に受けすぎないのも大事です。
もちろん、反省や振り返りは場合によっては必要でしょうが、自分を責めすぎない、自分自身へダメ出しをしないということは心がけておいてくださいね。
それが出来ると心は少し軽くなると思います。

あなたにとって苦手な人と接する際の何かしらのヒントになれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

自己否定、自己嫌悪、疎外感、自己肯定を得意とする。「その方の心に寄り添い、一番の味方でいること(安心感)」をモットーに、わかりやすい言葉で恋愛問題や対人・自己との関係を紐解き、改善・生き易さへと導いている。  東南アジア2カ国での生活経験もあり、国や文化の違いについても造詣が深い。