相手との違いがストレスになった時からケンカが増えていく
ですが残念ながら、ロマンスの時期もいつかは終わりを迎え、次はケンカが増えていく時期に移っていきます。
なぜ大好きな人なのにケンカになってしまうのか?そこにある意外な心理と解消方法を解説いたします。
■私たちは自分に「無い」ものに惹かれる
恋愛の最初は誰もがパートナーのどんな部分を見ても魅力的に感じますよね。
最高の人、運命の人と出逢えた。心からそう思えます。
どこへ出かけても、何をしていても楽しいですし、相手がどんなことをしても許せてしまいます。
しかし夢がいつか覚めるようにロマンスの夢も終わりを迎え、大好きだったはずのパートナーとのケンカが増えてきます。
その理由は、自分と相手との違いを許せなくなるからです。
私たちは自分には「無い」と感じているものに憧れを感じます。恋愛でも自分に「無い」要素をもっている人に魅力を感じて好きになるんですね。
たとえば皆さんが安定志向で生きてきたとしましょう。家族はみんな会社員や公務員で、それ以外の生き方は認められないような文化で育ったきました。
しかし好きになった彼は、枠組みにとらわれることなく自らの感性で動くアーティストタイプ。思いつきでどこかへ出かけてしまって、いつ戻ってくるかも分からない自由人。
最初は彼の自由なところにすごく魅力を感じて何をしていても許せるのですが、だんだんその自由さに振り回されるのがストレスになり心が不安定になってしまう、なんて話もあり得ます。
■他人の距離だから合わせられる
キチンと計画を立てる彼女と、楽しいことが優先で後先考えない彼のカップル。
前向きで新しいものが大好きな妻と、リスク管理が得意で堅実な夫の夫婦。
お互いの違いを認めて活かしあうことができると、本当に素晴らしいパートナーシップを築いていけるでしょう。
しかしロマンスの時期を過ぎると、次第に違いが魅力からストレスへと変わっていきます。どちらのやり方でいくのか?お互いの「正しさ」をぶつけあう競争に移行しまうのです。これがケンカの時代の始まりです。
「なんで毎回クローゼットのドアを開けっぱなしにするんだよ!」
「あなたの細かいところが本当に気に障るのよ!もうウンザリ!」
一つ気に障ることが出てくると、他のところまで気になってきてしまい、一緒にいるだけでイライラしてしまう。でもそんな自分でいるのも嫌だから何とかしたい、でもパートナーには腹が立つ。この辺りで「どうにかしたい」と思いカウンセリングへ来られる方は少なくありません。
じつはロマンスは、お互いをまだ他人だと認識している時期なんです。
まだ他人同士だからこそお互いに合わせていこう、という気持ちを自然にもてているわけです。
そこから心の距離が近づいていくと、パートナーに対して徐々に他人様から身内の感覚が強くなっていきます。
他人への気遣いが減っていく分、自分のやり方を通したくなっていくので相手に合わせることが犠牲をしている感じがして苦痛になるのです。
表立ってケンカになっていない場合でも、パートナーから指摘されたことをその場では「分かったよ」と受け入れたのに、毎回ポロっと忘れる。なんてことが起こったりします。
わざと忘れているわけではなく、パートナーへの抵抗心が「相手の言うことを聞かない」という無意識の行動になって表れてしまうんですね。
■もっと愛せる私になるために
ケンカの時期は「自分の正しさを証明したい。私のやり方に合わせてほしい」気持ちが強くなるだけに、つい相手を変えようとしてしまいます。
お願いする。怒る。拗ねる。冷たくする。大人しくする。諦める。何も言わない。距離を取る・・・などなど。ありとあらゆる手を使って相手をコントロールしたくなるのですが、まず思い通りにはいきません。
自分のやり方にしがみついて手放したくないのは相手も同じだからです。
私たちが自分のやり方にしがみついてしまうのはどうしてか?それはいつものやり方だと安心だからです。
先がどうなるか分からないのは不安ですよね。だからパートナーに自分と同じやり方を求めてしまうんです。その方が安心できると思ってしまうので。
しかしながら安心だけを手に入れようとすると、二人の関係を先に進めていくための変化を受け入れることが難しくなります。
もし二人がうまくいっていないのは「今の関係のままでは先に進むことができないから」だとしたら。必要なのは安心ではなく変化のためのリスクかもしれません。
「相手のためにどうやって自分を変えたらいいのだろう?」
パートナーをもっと愛せる私になる、その勇気こそが必要なリスクだとしたら、最初の一歩に何ができそうでしょうか?
ただ、そんな大きな愛をもてたら本当に素晴らしいのですが、今まで抱えてきたやり方を変えるのは簡単でないもの事実。
ここで忘れたくない大切なポイントは「なかなか変えられないこと」を責めないこと。
人生の長い時間をかけて身につけて自分のやり方は、大変な状況を切り抜けるためだったり、傷つかないように自分を守るためだったり、その時その時の最善の選択の結果だったはず。
自分自身への慈しみと労わりの気持ちを送り続けることで、自分の優しさを十分受けとめられた時に、
「私がパートナーの願いをすべて叶えてあげるわ!」
そんな大きな愛を自然にもてている自分に気づけるのかもしれませんね。
(完)