私には夢があります。
それは「東北に癒しを届けること」です。
私にとっての東北は、「私は東北に救われた」と言っていいくらい、これまで何度も人生の転機にご縁をいただいてきた特別な場所です。
今回は、仙台で活動する大塚統子の思いのお話しです。
◆あの時、あまりにも無力だった
2011年の東日本大震災は、今でも「どう捉えたらいいのかわからない」出来事です。
私は当時まだカウンセラー2年目の駆け出しで、災害時の心理支援の知識も乏しく、あまりにも無力でした。
被害にあわれた方と被害を避けられた方と、真逆の立場の方たちがいる状況で、情報を発信することすらためらわれました。
聞く側の状況次第では「言葉が暴力になりかねない」と思うと、「傷つけたらどうしよう」と怖くなったのです。
悔しかったです。
大切な人たちのために動けなくて、どうしようもなく自分が情けなかったです。
でも、だからこそ、「東北のために何かしたい!」と強く思うようになりました。
◆やらない善よりやる偽善
震災直後、俳優の杉良太郎さんが被災地でボランティア活動をしている時に、記者から「偽善とか売名とか言われることもあるかと思いますが…」と聞かれたそうです。
杉さんはその返事に、「ああ、偽善で売名ですよ。偽善のために今まで数十億を自腹で使ってきたんです。私のことをそういうふうにおっしゃる方々もぜひ自腹で数十億出して名前を売ったらいいですよ」と答えたという伝説のインタビューがあります。
杉さんのお話から、「自分が何をするか」が大事で、それについてあれこれ言う人たちには言わせておけばいい、実際に動いた人だけが辿り着ける境地があると教えられました。
迷っている場合じゃない、怖がっている場合じゃない、ガツンと気合いを入れられた気がしました。
以後、自分がすることに「ただの自己満足なのではないか?」と疑いが浮かぶたびに、何度も「やらない善よりやる偽善」と唱えました。
大事なのは「偽善かどうか」ではなくて、誰かを大切にする勇気だったのです。
◆夢の実現に大切な3つのこと
それから、組織の中でいろいろな条件をクリアするのに3年ほどかかり、2014年から仙台での活動を開始しました。
ようやく夢のスタート地点に立てたのです。
夢を持ってから、今でも大切にしていることが3つあります。
1つは、「無理だ」とあきらめないで、実現を信じること。
そして、行動を続けること。
千里の道も一歩から、歩みを止めない限り夢は終わらないはずです。
もう1つは、大きな目的のために、やり方への細かなこだわりを手放すこと。
どうしても譲れないこと以外は成り行きに委ね、柔軟に対応することです。
その結果、抵抗が少なくて済み、事が進んでいきます。
あと1つは、仲間に夢を語り、応援を受け取ること。
たった一人でも「わかってくれる人がいる」と思えたら、それはチカラになり、人はがんばれるものです。
皆さんの夢の実現にも、この3つは大切にしていただければと思います。
◆SENDAI(仙台)はSend AI(愛)の場所
それから10年、仙台で私たちが用意した癒しの場に、たくさんの人たちが訪れてくださいました。
SENDAI(仙台)は「Send AI(愛)」、愛を贈る場所。
仙台へ愛が贈られ、仙台から愛が贈られ、仙台で愛を贈り合う、そんな心の体験の場だと私は思っています。
東北に癒しを届ける形の到達点として目指してきたのは、【仙台での1DAYワークショップ】の開催です。
おかげさまで、この秋、10年越しの夢がついに叶うことになりました。
◆すべての人に感謝を
夢が叶うと決まった瞬間、飛び跳ねるくらい嬉しいはずなのに、不思議と心は穏やかでした。
そして、湧き上がってきたのは、感謝の気持ちでした。
「仙台に来てくださいね」と呼んでくれた人。
「仙台ですることあれば言ってね」と現地で協力してくれた人。
「今まで誰にも言ったことがない話です」と心を開いてお悩みを話してくれた人。
信じてあてにしてくれた人。
怖さを超えて会いに来てくれた人。
次回を楽しみに待ってくれた人たち。
応援を送ってくれた人たち。
かかわってくださったすべての人に感謝しています。
おひとりおひとりとの出会いがなかったら、たぶん今の私は存在していなかったでしょう。
癒しを届けに行っているつもりが、癒されていたのは私の方でした。
いくら感謝しても、感謝しきれません。
今まで出会った人たちに、私は伝えたいです。
「あなたに会えて私は嬉しい!」と。
「あなたがあなたをどう思おうと、あなたがいてくれることは私の喜びです!」と。
そして、願っています。
あなたの周りに、「Send AI(愛)」愛を贈り合う場所がありますようにと。