完璧さを求める時に起こること〜4つの落とし穴と抜け出す方法〜

完璧さを求めていることが苦悩の原因になるとしたら

完璧を目指すのは素晴らしいことですが、苦悩の原因にもなりやすいもの。
完璧さにこだわると、1)自分に厳しくなる、2)人に厳しくなる、3)人とうまくいかずに孤立する、4)完璧にできないことは先延ばしする、といった落とし穴にはまりがちに。
完璧さの罠を抜け出す方法と合わせて紹介します。

「完璧であらねばならない」「100%でなければならない」と思っていませんか?
完璧なのは素晴らしいことですが、あまりにも完璧にこだわりすぎると、うまくいかないことが増えてくるようです。

●完璧さの落とし穴1:自分に厳しくなりすぎる

自分自身に完璧さを求めると、「できない」自分に対して厳しくなりがちです。
「あれもできていない、これもできていない」と自分を責めてしまうと、やる気は削がれていきますし、チャレンジすることが怖くなってしまうでしょう。

もし、気力がなくなりつつあるのなら、「自分に完璧さを求めすぎていないか?」をチェックしてみてくださいね。また、「これくらいできるはず」と「自分に期待しすぎてないか?」と考えてみてくださいね。

●自分に優しくなるには

すべての人に「できていること」は必ずあるはずです。「できない」ばかりに注目するのではなく、できていること・できたことにも目を向けましょう。
また、苦手なことやできないことがあるのは人として自然なことです。苦手なことやできないことでは、人を頼ることも検討しましょう。

●完璧さの落とし穴2:人に厳しくなってしまう

あまりにも完璧さにこだわりすぎると、周囲の人との関係にも影響が出てきます。
「私はこれだけやっているのに、なぜあの人はやらないんだ」と腹が立つことはありませんか?
自分が「完璧であろう」とがんばっていると、同時に、周囲の人が「(自分と同じように)完璧であろうとがんばっていない」姿勢が目につき、イライラしやすくなります。

実はこれは、自分自身に求める完璧さを、無意識に相手にも求めてしまうから起きるフラストレーションなのです。

●人に優しくなるには

相手にも完璧さを求めて、「相手がやるべきことをしていない」と思うと腹が立つでしょう。しかし、「私が『して当然』という価値観を相手に当てはめていたんだ」と気づくと、気持ちの持ち方が変わってくるでしょう。

がんばりの内容や水準は異なっているかもしれませんが、「相手なりのがんばり」を探して肯定していきましょう。心理的には、人を肯定すればするほど、「同じように自分も肯定されるかもしれない」と思う感覚が手に入り、人から否定される怖れが小さくなります。「完璧じゃないと叱られる」と怖れている人も、人を肯定することに取り組むのがお勧めです。

●完璧さの落とし穴3:接する人の気持ちを刺激して摩擦を起こす

完璧な人は孤立しがちです。自分が意図していなくても、接する人に何を感じさせやすいのかを理解しておくと、人間関係の摩擦を減らせるでしょう。

完璧な接客をする人とお客様の関係なら、お客様は「心地いい」と感じるでしょう。
では、完璧な接客をする人と、その人の同僚や部下との関係だったらどうでしょうか。
「完璧な〇〇さんと一緒だから、しっかりしなきゃ」とプレッシャーになる人もいますし、「完璧な〇〇さんのように、自分にはできない」と劣等感にはまる人もいます。何も言わずにただ傍にいるだけでも、緊張する人も少なくないでしょう。

●いい気分を刺激するふるまいとは

自分が周囲の人に何を感じさせやすいのかを予測していれば、どうかかわるかを工夫できるでしょう。「いつもがんばっているね」とプレッシャーをゆるめる声かけもできますし、「あなたの〇〇は素晴らしい」と良かった点を伝えて自信を持ってもらうこともできるでしょう。

時には自分の失敗談を話して、「私たちと一緒だ」と親近感を持ってもらうよう働きかけてみましょう。相手が「一緒にいるといい気分になる」ようなふるまいを続ければ、結果として、いい関係のチームや仲間になっていけるでしょう。

●完璧さの落とし穴4:完璧にできないことは先延ばし

「完璧にしたい」と思っている人が「完璧にできないかも」ということに直面すると、「なんとかしてやり遂げよう」とするか、「完璧にできないのならやめておこう」とするかの二択になります。
しっかりした人なのに仕事が進まない、能力があるのにチャレンジしないといった場合、「完璧にしなければならない」という思いが行動を止める原因になっていることがあります。

●すぐやる人になるには

もし、「完璧にできるようになったらやろう」と先延ばし癖がある場合、「完璧さよりも、完了することを大事にしよう」と取り組むといいでしょう。
例えば、「完璧なプランでなくていいので、○日までに大まかな概要を作ろう」「大きな枠組みを作ってから、細かな文章を考えよう」などと、全体を決めることから始めるなど。少しでも作業を始めると、やる気になることも多いものです。

また、完璧にしなければならないことがたくさんあると、それだけで気分が滅入るでしょう。「今何をするか」と、優先順位をつけた取捨選択が必要です。また、完璧にする範囲を、15分間、10回、5件などと細かく設定すると、少し取り組みやすくなるでしょう。

(完)

この記事を書いたカウンセラー

About Author

自己嫌悪セラピスト。心理学ワークショップ講師(東京・仙台) 「自分が嫌い」「自分はダメ」「私は愛されない」などの自己否定、ネガティブな感情・思考をリニューアルし、自信や才能・希望へと変換していく職人。生きづらい人の心が楽になる気づきや癒しを提供。テレビ・Web記事の取材にも多数協力。