ダメだと思いながらも、辛いことからいつも逃げてしまうのはなぜ?
もちろん辛いことから逃げることは悪い選択とは言えないのですが、しかしなぜ逃げ癖を持ってしまうのか悩まれているわけですね。
そこで今回は逃げ癖という言葉にフォーカスして、その自分を変えていくための考え方についてご紹介します。
カウンセリングをさせていただいていると「いつも辛いことがあると逃げてしまう自分を変えたいんです」といったご相談を伺うことがあります。
例えば、仕事が辛いとすぐやめたくなってしまうとか、過剰な責任は背負えないと思って逃げたくなる、チャレンジしたほうがいいと思うことがあっても、なかなか勇気が出ない、など。
一般的には「逃げ癖」と呼ばれる癖についてのお悩みですね。
そこで今回は、逃げ癖はなぜ生じるのか、という視点から、自分を変えていくためのヒントをご紹介したいと思います。
◯逃げ癖が生じる理由
ではまず、いわゆる逃げ癖が生じやすい理由をいくつか例示しますね。
・自分に自信がなく、「どうせ自分にはできない」「失敗したらどうしよう」といったネガティブな思考が強い。
・どんなことでも失敗することを極端に恐れる傾向がある。よって、少しでも困難な状況と出会うと逃げてしまおうと考えしまう。
・問題や課題に直面したとき、責任を負うことを避け、その場から去りたくなる。
・何事も完璧にこなさなければいけないと思い込み、少しでも上手くいかないことがあれば、それを理由に諦めてしまう。
・ストレスに弱く、少しのプレッシャーでも心が折れてしまう。
・過去の辛い経験が原因で、新しいことに挑戦することや、人間関係を築くことに対して恐怖を感じている。
・子供の頃から、失敗を許されない厳格な環境で育った場合や、過保護すぎる環境で育った場合。
・大きな失敗や挫折を経験し、そこから立ち直れずにいる場合、半ば諦めや自暴自棄な感覚に違い逃げ癖を保つ場合がある。
その他には、元々慎重な性格であったり、完璧主義な性格であったりすることが、逃げ癖を助長する場合がありますね。
◯逃げ癖があるとお悩みの方が抱えやすい思い込み
さて、逃げ癖があるとお悩みの方が持ちやすい思い込みがあります。
その一つが「周囲は自分のことを高く評価しているわけではない」という思い込みです。
どこかで自分が何をしても、自分は周囲から支持されたり、評価されることはないだろう、といういわば自己否定的な思い込みを持っている場合があるのです。
すると、何をしても自分の努力や結果を評価してもらえない、と思いやすくなるだけでなく、自分を支援してくれる人はいないだろう、とか、何をするにもたった一人で立ち向かわなければならないと考えてしまいがちなのですよね。
特に、周囲が高く評価してくれるわけではない、と思えば、人から必要とされている感覚も、信頼されていることも、愛されていることもよくわからなくなってしまう可能性があるんです。
気持ちの面で孤立したり、孤独感を抱えてしまう場合もあるでしょう。
この状態で、新しい物事にチャレンジしようとすれば、おそらくそれなりの恐れを感じるでしょうし、自分の言動や仕事に責任をまっとうしようとしても、とても抱えきれないと感じてしまう人が出てきても不思議ではないんですよね。
確かに新しいことにチャレンジしたり、責任をまっとうすることは重要なことです。
ただ、前提条件として「周囲は自分のことを高く評価しているわけではない」という思い込みがあるとしたら、辛い状況や責任などから逃げたいと思うだけの理由も考えられると言えるのかもしれませんね。
◯なぜ「周囲は自分のことを高く評価しているわけではない」という思い込みがあるのかに着目する
これは一つの考え方ですが、もし逃げ癖があることで悩まれている方がいるとしたら、自分自身が「周囲は自分のことを高く評価しているわけではない」という思い込みを抱いていないか、チェックしてみてもいいかもしれません。
実際に周囲の評価が高くないなら、それにも理由があるはずです。
ただし、これが思い込みである場合、つまり、周囲はそこまであなたのことを評価していないわけではないなら、この思い込みは自己攻撃や自分を評価しない態度によって生じている投影の結果だ、と考えられます。
つまり、この思い込みも、逃げ癖も、自分が自分を信頼したり、いい評価を与えていないことで生じている場合がある、ということなのですね。
言い換えるなら、自分をアテにしていないから思い込みが生じ、その結果逃げ癖が生じる場合もある、ということです。
◯逃げ癖を変えたいと思うときの一つの対処法
もし、逃げ癖を変えたいと思われるならば、これは一つの方法ですが、普段から次のように行動してみるといいでしょう。
「何事も自分で決める癖をつける」。
これは、大きな決断をするよりは、小さな決断から始めるといいでしょう。
例えば、今日ランチで食べるものを決める、休日どこにいくか決める、どの映画を見るか決める、誰と過ごすかを決める・・・
自分で決めるという意識を持つことで、自分をアテにするという意識を持つことができるようになっていきます。
その結果が、逃げ癖を手放し、自分で決める、という意識を持ちやすくなります。
たとえ、自分で決めたことが、危険なことから逃げる選択であっても、自分で決めたという感覚がそこにあれば、それも立派な決断だと感じられるようになっていくでしょう。
(完)