「ごめんなさい」が言えないのは、自分ばかり見てしまうから
自分に非があっても「ごめんなさい」が言えない。ついつい言い訳ばかり言ってしまう。そんな素直に謝れない人に隠れた意外な心理を解説します。
■謝ると負けた感じがする
あの時、素直に「ごめんなさい」が言えていたら・・・そんな場面を思い出すことはありませんか?たとえば、
・昔お母さんに言った酷い言葉を謝れなかったことを今も後悔している
・元彼とケンカした時に言い訳ばかりしていたら本気で怒らせてしまった
・友達に些細な嘘をついたことで気まずくなり距離ができてしまった
私たちは「悪いことしたなあ」と思うことがあっても、素直に謝れない時があります。
「ごめんなさい」の言葉は、相手との関係を修復するための重要なコミュニケーションの一つなのですが、人によっては自分の非を認めるのに抵抗を感じる場合があります。
謝ることが相手より下になる感じがしたり、負けを認めるように感じられて、自分の落ち度に気づいても謝れなくなるのです。
素直に謝れない人が大切な人との関係を壊さないためにできることをご紹介します。
■正当化してしまう罪悪感タイプ
謝れない人というと、周りを見下すような傲慢な人や、適当でいいかげんな人をイメージするかもしれません。
しかし心理的には決してそうではないのです。
罪悪感を強く抱えていると「自分は罰を受けなければならない」「罪を背負わなくてはいけない」と感じるので、どんなに小さな失敗だったとしても「周りから袋叩きにあうのではないか?二度と許されないのではないか?」など過剰に恐れを感じます。
だから自らの非を認められず、むしろ「オレは何も悪いことなんてしてない!」「私は間違ってない!」と、正当化する主張をしたくなるんです。
また罪悪感が強いと、自分の行動が他人に大きな影響を与えてしまうのではないか?と感じるため、失敗の大小にかかわらず自分の非を認められないのです。間違いを認めたら二度と許されないように感じてしまうからです。
なぜかというと、過去の失敗の罪悪感も抱え続けていることが影響しているからです。
自分を酷く責め続けてきたため心の中が「ごめんなさい」でいっぱいなので、これ以上誰かに責められる(謝罪を求められる)ことに耐えられず、謝れなくなってしまうんです。
典型的には、グラスを倒して飲み物をこぼしてしまった時に「お前がこんな場所にグラスを置くからだろ!」などと相手のせいにしてしまう場合ですね。
自分を守ることばかり考えてしまうあまり謝罪の言葉が言えなくなり、逆に自分の正当化や言い訳に走ってしまうのです。
■頭の中が真っ白になる完璧主義タイプ
完璧主義の人は「自分は正しいことをしている」意識が強いため、自分の態度が相手を不快にさせていることや、自分が間違っていることをすぐに理解できない傾向があります。
特に優等生タイプは陥りやすく、自分の態度や行動が間違っていたことに気づいたショックで相手の気持ちが考えられなくなり、「ごめんなさい」を言う余裕がなくなってしまうのです。
「なんでミスしたんだろう?ホントに私が間違えたの?」と自分しか見えなくなってしまいます。
相手が怒っていても、何が起きているか分からなくなり頭の中が真っ白になってしまいます。どうすればいいか分からず要領を得ない態度になりやすいので、余計に相手をイラつかせて激昂させてしまうこともよくあります。
じつはこの2つのタイプには共通点があります。
どちらも「どっちが正しいのか?」や「何が相手を怒らせたんだろう?」など、起きた出来事と自分の気持ちばかり見てしまっているということ。
一方ですぐに「ごめんなさい」が言える人は、“相手の気持ち”や“相手との良い関係を続けること”に重きをおいています。
だから相手が怒ってしまった時に、自分を守ることよりも相手の気持ちを傷つけたことに対して謝れるわけです。
たとえ誤解があって相手が憤慨していたとしても、「あなたの気分を害してごめんなさい」が口からスッと出てくるのです。
■視点を自分から相手の気持ちへ
もし、あなたが謝れない人だとしたら、まずは相手の気持ちにフォーカスしてみるところから始めてみましょう。
「自分の言動、態度、習慣のどこが相手の気分を害していたんだろう?」
そんな視点を持つことに意識を向けてみてください。そして、
「ここがあの人の気持ちを傷つけていたんだ」
と気づいたら、その事実に対して「ごめんなさい」を伝えるようにしていくんです。
すぐに謝罪の言葉が言える人は、周りからは「素直な人」に見られます。
その誤魔化しのない姿勢を見た相手は振り上げた拳を下しやすくなりますし、「分かってくれたらいいんだよ」「今度から気をつけてよね」と、あっさりと許してくれる可能性も高くなります。
あなたの周りの「みんなから好かれている人」をよく観察してみてください。
何かしら失敗や手違いがあっても素直に謝れるだけの潔さ、素直さ、心のオープンさを持ってはいないでしょうか?だからこそ人間関係がこじれていないはずです。
自分のミスや間違いを受け入れ謝れる人は、誰かのミスや失敗も受け入れられて、許すことができる寛容さをもった人です。
「ごめんなさい」のハードルを下げた先には、風通しがよく気持ちのいい人間関係が待っているでしょう。
(完)