それは、もしかしたら「フキハラ(不機嫌ハラスメント)」かもしれません。
フキハラから心の健康を守る対処法、心の傷を癒すというフキハラ対策などに触れています。
フキハラから心を守る一助になればと思います。
■フキハラとは
「最近、職場の雰囲気が悪い…」「パートナーの機嫌が悪くて辛い…」と感じていませんか?
もしかしたら、それは フキハラ(不機嫌ハラスメント) が原因かもしれません。
フキハラ(不機嫌ハラスメント)とは、不機嫌を表現することで、相手に不快感、威圧感、プレッシャー、恐怖感など精神的な苦痛を与えるハラスメントのことになります。
例えば、
・大きなため息をつき不機嫌をアピール。
・ミスに対して、気に入らないような出来事で「チッ」と舌打ちして不機嫌をアピール。
・物に当たる。ドアを音をたてるくらい強く閉めたり、キーボードのタイプを強く叩いて不機嫌をアピール。
・相手が話しに不快感を示すかのように顔をしかめる、露骨に嫌な顔をする。
などなど。
このような不機嫌を表現することで、被害を受ける立場の方は精神的な苦痛を感じます。
カウンセリングの現場でも、
「上司が気に入るように仕事をしないと無言で睨んでこられたりして圧力を感じるんです。上司の機嫌を損ねないようにビクビクしながら仕事をしています」
「夫に気に入らないことを言ってしまうとドアをバン!と音を立てて閉めたり、足音ドスドス立てながら歩いたりするので心が萎縮してしまいます」
などの お話を聞かせていただくことがあります。
相手の不機嫌な態度に怯えたり、心をすり減らしたりしなければいけない お話はとても辛く思いながら聞かせていただきます。
■フキハラ(不機嫌ハラスメント)の目的
フキハラをする人の目的は、感情的なコントロールが目的だと言えます。
自分の意に沿わない行動になるように、もしくは自分の意に沿わない行動をさせないように不機嫌という感情を使って相手をコントロールしようとします。
自分の意に沿わなければ辛い思いをさせるという構図は、 やってる内容は違いますが暴力を使ってコントロールするのも 同じ構図になりますね。
また、相手をコントロールしようという悪意はなくフキハラをしている場合もあります。
ストレス発散のために、周りの迷惑を考えずに自分の不機嫌を撒き散らしている人もいます。
これはこれでタチが悪いフキハラですね。
■フキハラは私の気にしすぎ?
モラハラは言葉や態度によって、相手の人格や尊厳を傷つけるやり方の為に「どうしようもないやつだ」とか「生きている価値がない」など言われると、『この言葉は人格否定だろ』と判断できたりします。
フキハラは、 明確な言葉ではなく相手の不機嫌によるストレスなので「私の捉え方の問題なのかな・・・」「 私が気にしすぎなのかな?」 などと考えてしまい、1人で抱え込んでしまう人がいます。
1人で抱え込んで、心がすり減り、精神的にボロボロになってしまうまで 1人で耐えられる方もいらっしゃいます。
このような特徴があるために、フキハラは、モラハラやパワハラと比べて分かりにくいため、被害に気づきにくい という一面があります。
しかし、 放置すると 心身に深刻なダメージを負ってしまう可能性があります。
「おかしい」と感じたら、早めに相談することが大切です。
フキハラは私の気にしすぎ?と思って1人で抱え込まずに、周りに助けを求めてくださいね。
人に助けを求めることで、私の気にしすぎではなく、その劣悪な状況の中、耐えて、頑張っていたんだ!と、そこでようやくわかるケースがあります。
また、状況の改善のサポートだったり、また精神的なケアーだったり、 もしくは両方だったり助けを求める行動を起こすことで以前より楽になったとおっしゃられるケースは多々あったりします。
助けを求めるのもフキハラ対策の一つと言えるでしょう。
心に負ったダメージは、人に話して、つらい思いを吐き出すことで心は回復していきます。
心がダメージをうけたままほったらかしにしないという観点からも、誰かに助けを求めほしいと思うのです。
あなたの心を回復させる機会を設けてあげましょうね。
■フキハラと過去のトラウマの影響
子供の頃に家族の不機嫌でつらい思いをしながら育つ方がいらっしゃいます。
・言うことを聞かないと親が口を聞いてくれなくなる ので顔色を伺っていた。
・親の機嫌悪くなる大きな音をたてて閉めるなど物に当たるのでビクビクしていた。
・お兄ちゃんが思春期の時に荒れていて機嫌が悪くなると八つ当たりされるので辛かった。
などなど、
親の不機嫌な態度につらい思いをご経験される方がいらっしゃいます。
そしてその時に感じていた、 恐怖、不安、心細さ、苦しみ、我慢の辛さ、 怒り、悲しみなどが心に残っている方がいらっしゃいます。
まだ癒えていない痛みが心に残っているわけです。
このような癒えていない痛みが残っている上で、フキハラがあると強烈なストレスになることがあります。
フキハラは誰しも嫌な思いをするものですが、不機嫌によって苦しめられた痛みが残っていると、より強いストレスになることがあるのです。
例えば、 職場でフキハラ行為があった時に、人によれば
「今日は、あの人機嫌が悪くて嫌な感じだから、あんまり近づかないでおこう」
と嫌な感じは 感じるけど、とても大きなストレスにはならない人もいます。
しかし
「今日は、あの人機嫌が悪いから、これ以上 不機嫌にさせないように気を使わなくては」 とビクビクし、顔色を伺い、心がすり減っていき、 明くる日、職場に行くのが辛くなる位に心をすり減らす人もいます。
家族の不機嫌で 苦しい体験をし、その心が癒えてないと、後者のようにダメージが大きくなりやすい傾向があります。
その人、その人が感じるストレスは目に見えないので比べることはできませんが、わかりやすくするために、比喩として表現するなら、”心に痛みが残っていると他の人の何倍もストレスになる”と言えます。
■心の傷を癒すというフキハラ対策
しかし、その家族の不機嫌によって辛い体験からくる、心に残っている痛みを癒すと、先程の例の前者のようにフキハラに対しての心のダメージが少なくなっていくように変化していきます。
変な言い方ですが、フキハラに強い心になるわけです。
(補足:家族の不機嫌による苦しい体験ではなく、過去のモラハラ、フキハラ体験のトラウマが影響している場合もあります。同じように癒やしていくと現在のフキハラによるダメージを少なくしていけます)
過去の痛み(心の傷)を癒すことででフキハラによるダメージを負いにくい心を作るのも、フキハラ対策の一つアプローチになります。
そのため、フキハラという環境を変えにくい場合は、(例えば会社を辞めるのは難しとか、フキハラをするがパートナーとは別れたくはない、別居や一人暮らしなどで距離をとる手段は難しい等) カウンセリングで過去の家族が不機嫌であった体験による癒えてない感情を癒すことをしていくことがあります。
そうしていくことで今現在の職場や、家庭でのフキハラにダメージを受けにくくなるように目指していきます。
そうすると、前よりもダメージを少なくなったり、相手の顔色が気にならなっていけるようにしていくのですね。
もし、あなたには家族の不機嫌によって、辛かったご経験をされたことはありませんか?
それは子どもの頃のことかもしれませんし、離婚経験がある方は前の家族かもしれません。 よかったら、これを機に、自分の心と向かってみると良いかもしれませんね。
そして、それによってまだ癒えていない痛みが残ってるようであれば、その時の辛かった経験をした自分に優しい言葉をかけてあげるつもりで、つらい経験をしたご自身に優しい言葉をかけてみると良いかもしれません。
「つらかったよね。もう気にしなくて大丈夫だよ」という具合に。
当時の自分に投げかける優しい言葉は、どんな言葉が心に染みるか、癒されるかは変わってくると思いますが、つらい経験をしたご自身に寄り添ってあげるつもりでやさしい言葉をかけてあげてみてくださいね。
また、 感情は外に流していくことで癒されていくので、まだ癒えていないその感情を誰かに話していく機会を持ってみられるといいと思います。
当時のつらかった体験の影響により、現在のフキハラがより辛くならないように、逆に言うと、現在のフキハラに強くなれるよう、つらかった感情は癒しておかれるのを私はオススメしたいと思うのです。
あなたを苦しめているフキハラの影響から少しでも解放され、あなたが楽に平和に生きられるといいですね。
応援していますね。
(続)