コミットメントとは?

こんばんは

神戸メンタルサービスの平です。

心理学用語に“コミットメント”という言葉がありますが、これは「決意する」という意味をもっています。

「彼にコミットする」、「彼女にコミットする」といった使い方をよくしますが、「彼や彼女を愛し抜く」と表現したほうが、言葉の意味はより伝わるかもしれません。

私が独身だったころ、この話を聞くと、まるで契約によって縛られて、自由がなくなってしまうような気分になりました。「万が一、コミットした相手よりも好きな相手が出てきたら困るなぁ」など、うしろ向きに考えていたものです。

しかし、私の先生は(外国人の博士なのですが)、「コミットすると、自由になれるよ」とわけのわからないことをいつも言っていたのです。

私たちはいつもいろいろな理由を使って、愛に迷い、そして、愛を止めています。

たとえば、パートナーがいるとすれば、少なくとも一度や二度、多い場合は200~500回はケンカをしますよね。

そして、そのたびにウンザリして、「なんでこんな人を選んでしまったんだろう? 間違ったのではないだろうか?」などと思うわけです。

あなたがパートナーのことを疑い、愛を止めてしまうと、「愛を止めたこんな自分のことを、パートナーは愛してくれないだろう」と感じてしまいます。

さらに、ほんとうは、愛を止めているのは自分であるわけですが、「愛を止めさせたのは、あなたなのよ」といった具合に相手のせいにすることで、私たちはケンカを長引かせてしまうことが多いようです。

ところが、“コミットした関係”であったとしたならば、相手がどのような状況であろうが、「どう愛していこう?」と考えていくことができます。

ケンカしようが、ののしりあおうが、いま、目の前にいるがままの相手を「どう愛したらいいのか?」というところに興味が集まります。

あなたの心はいつも相手の愛に向かい、開いている状態ですから、あなたが相手を愛しているかぎり、不思議と「相手から拒絶される」とは心が感じることがないのです。

「パートナーを変える」、「この関係をやめる」といった選択肢もないわけですから、私たちの心は「どういうふうにして、やっていこうか?」とひたすらクリエイティブなほうに向かうわけです。

同時に、相手の言動を非難する代わりに、「なぜ、こんなことを言うのだろう?」とか「パートナーはいったい、なにを恐がっていて、私のどんな助けが必要なのだろう?」といったことを考えるようにもなります。

これまでにも、「ありとあらゆる攻撃は、助けを求める声なのだ」という心理学の法則をお話ししてきました。

また、“怒り”というものは、じつは「助けてほしい」、「わかってほしい」、「愛してほしい」のいずれかが言えないときに湧いてくる感情なのだともお話ししました。

コミットしていれば、そのへんのレッスンも簡単に実行できるようになります。

あなたはパートナーから攻撃されているわけではなく助けを求められているわけです。そして、その声に応えてあげやすくなる状態をつくるのがコミットメントということなのです。

私は今年で結婚数十年となりますが、私の周りには、それはそれは素敵な女性たちがたくさんいらっしゃいます。

が、しかし、浮気願望はまったくありません。

正しく言うと、浮気願望がないわけではないのですが、そんなことをして、罪悪感に苦しみ、いやな思いをするということにまったく意味を見いだせないわけです。

また、パートナーとは結婚前につきあっていた期間も足すと20年以上いっしょにいるわけですが、その間に二人で作り上げてきたものを、またほかの人と一から作り上げるのかなどと考えるとウンザリするわけです。

『ドラゴンクエスト』でいうと、レベル30まで積み上げてきたにもかかわらず、“冒険の書”が消えてしまい、またレベル1からスタートするようなものかもしれません。

つまり、一人の人と、絆を深ーくしながらつきあっていくことが、あなた自身を大きく成長させてくれるといえるのかもしれませんね。

来週の恋愛心理学もお楽しみに!!

(完)

この記事を書いたカウンセラー

About Author

神戸メンタルサービス/カウンセリングサービス代表。 恋愛、ビジネス、家族、人生で起こるありとあらゆる問題に心理学を応用し問題を解決に導く。年間60回以上のグループ・セラピーと、約4万件の個人カウンセリングを行う実践派。 100名規模のグループワークをリードできる数少ない日本人のセラピストの1人。