嫉妬による意地悪をされて気分が悪いとき、あなたの素晴らしさに嫉妬し自分自身をダメだと思っているその人を、愛するという方法があります。
あなたの気分は、相手を避けるか愛するかで異なるようです
みなさんは、理由もなく誰かに意地悪をされて嫌な気分になったことがありませんか?
いじめというほどではないけれど、相手に悪いことをしたわけでもないのに、陰口や噂話をされたり、無視されたり、にらまれたり。
そんなとき「きっと私のことが嫌いなんだろう」と思う方が多いようですが、嫉妬をされている可能性に気づくと、状況を改善できることがあるかもしれません。
◇嫉妬と意地悪の関係
嫉妬と意地悪は、切っても切れない関係といえるかもしれません。
・嫉妬をするとは
ここでは例え話としてなのですが、会社であなたの同期の人が、あるプロジェクトのリーダーになったのを知り、あなたが嫉妬を感じたとします。
そんなとき、私たちはよく
「なんであの人がリーダーなんだろう。」
「たいして仕事ができるわけでもないのに。」
などと、相手を悪く思うことがありませんか?これは、あなたが相手のことを「仕事ができるわけでもない」と見下しているようでいて、実は心理的には逆で、相手の人を「うらやましい」「すごい」などと見上げているといえるのです。
嫉妬は、相手と自分を無意識のうちに比較することで起きます。
リーダーになったあの人と、リーダーになっていない自分を比べてしまうのですね。
比較して何を感じるかは人それぞれですが、もしあなたがリーダーというポジションに就きたいと思っていたとすると、「先にリーダーになったあの人はすごいが、自分はダメだ」と感じるかもしれません。
この「自分はダメだ」という思いは、自分の価値を否定されたような気がして、とても苦しいのですが、この苦しさが嫉妬だといえるでしょう。
「たいして仕事ができるわけでもないのに」などと思ってしまうのは、相手の欠点を指摘して相手の価値を引きずりおろすことで、「ダメだ」と思っている自分との差を無意識に縮めようとしていると考えられます。
相手の欠点を指摘する自分は性格が悪いと感じるかもしれませんが、それは性格が悪いのではなく、自分が劣っていると感じる苦しさから逃れようとしているだけといえるのです。
自分自身を価値ある存在だと思うかを、心理学では自尊感情と呼んでいます。
自尊感情は、ある・ない、ではなく、高い・低い、というとらえ方をします。
自尊感情が低めであるとき、誰かの幸せ(たとえば昇進する、人に褒められる、結婚する、など)を祝福するよりも、まず自分のダメなところ(昇進できていない、人に褒められない、パートナーがいない、など)に注目してしまいやすく、嫉妬をしやすいといえるかもしれません。
・嫉妬されるとは
嫉妬されるとは、嫉妬するときとは逆ですから、あなたは相手の人に、「うらやましい」「すごい」などと見上げられているのです。
あなたを素晴らしく感じると、その人はその人自身のことを「なんてちっぽけなんだろう」と感じてつらいので、その気持ちをなんとかしたくて、あなたに意地悪なことをしてしまうと考えられるのですね。
嫉妬は、自分がしているときより、されているときに気づきにくいようです。
・嫉妬されていることに気づきにくい理由
嫉妬されていることに気づきにくい理由は、自尊感情の低さにあるといえるかもしれません。
私たちの心には、自分が自分を見ているのと同じように、他人も自分のことを見ているだろうと感じる「投影」とよばれるしくみがあります。
自分にはたいした価値がないと思っていると、それを投影し、他人もまた私のことを「たいしたことがないと思っているだろう」と感じやすいのですね。すると、自分が「人から見上げられている」などとは思いもよらないのです。
理由もなく意地悪されることがあったら、もしかして嫉妬によるのかなと思ってみてもいいかもしれませんね。
◇ 嫉妬されて嫌な気分になることへの対処法
意地悪をされる理由が嫉妬かもしれないと思ったところで、気分が良いものではありませんから、対処法を考えてみましょう。
意地悪をされると反射的にその人を避けたくなってしまうものですが、避けたり嫌ったりすればするほど、あなたは嫌な気分になってしまうでしょう。
「私たちは自分が愛していないものに傷つく」という心の法則のようなものがあるからなのですね。
たとえて言うならば、犬嫌いの人は、子犬が追ってくると怖くて逃げてしまいます。子犬を愛していないだけ、子犬とは自分を傷つける存在だと感じてしまうのですね。
犬好きの人は、子犬が追ってきても逃げず、かえって喜んで手を差し出すかもしれません。子犬を愛しているので、自分を傷つける存在と思わないのです。
意地悪をしてくる相手を愛することができればいいのですが、簡単にはできませんよね。まずはあなたが「相手を避けない」と決めるところから始めるといいかもしれません。これまで通りふつうに挨拶したり声をかけたりすることも、実は相手を愛することのひとつです。そうするうちに、嫌な気分が少しずつ軽減するだけでなく、相手にも意地悪をしようとする気持ちに、なんらかの変化が起きるかもしれません。
うまくできないときは、ひとりで頑張らず、ぜひ信頼できる人に支えてもらってくださいね。
(完)