人からの応援や承認を受け取れない心理

仕事や何かにおいて、誰かから応援してもらったり承認や賞賛をされたりすることがあると思います。

昇進した、自分の企画が通った、プロジェクトのリーダーをしていてスムーズに進んでいる、賞を取ったなど大きな成功もあれば、日々コツコツと積み上げてきた仕事の姿勢を評価してもらった、ちょっとした気遣いを褒めてもらったなど、あなたにとってはごく当たり前のことを認めてもらえる場合もあるでしょう。

「おめでとう。」
「その企画すごくいいと思う。応援するよ。」
「さすがですね。」
「アイデアや発想が素晴らしい。」
「それをやり遂げるのは凄いと思います。」
「いつも助かってるよ。」
「あなただから出来ることですね。」

これら以外にもいろんな言葉があると思いますが、あなたは自分にかけられた応援や承認の言葉を聞いてどんな気分になりますか?

「ありがとうございます。」と素直に心から喜べるといいのですが、時には相手の言葉をそのまま受け取れないこともあるかもしれません。
頭ではその人の応援や承認をわかっても、心の奥では「本当にそう思ってる?」と相手の言葉を信じられない気持ちがふっと湧いてくるとしたら、自分自身がイヤな気持ちに包まれてしまいます。

なぜそんな気持ちになってしまうのかを紐解いてみたいと思います。

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◎相手の言葉を受け取れないのはなぜ?

人からの応援や承認、称賛は嬉しいものではあると思うのですが、それを素直に受け取れないのはこんな気持ちがあるからかもしれません。

・人からの応援がプレッシャーになる。
・相手が褒めてくれても自分の心の中では「まだまだ出来てない。これではダメだ」という気持ちが強い
・たまたま成功しただけ。上手くいっただけ。本当の私は成功するような人でも、褒められるような人でもない。
・人を信用していない。相手が伝えてくれた言葉とその人の心の中は違う感じている。

人の期待に応えなければいけないと思っているなら、相手からの応援は嬉しいよりも頑張らなければならない、失敗するわけにはいかないと思っているとすれば、常に緊張状態でいることになるでしょう。

また、こんな自分ではまだまだダメだ、足りないと思っていると、相手から応援や承認をもらっても相手が見ているあなたと自分が思う自分自身の違いがあるために、相手に対する申し訳なさや罪悪感のようなものを感じていることもあります。
みんなが見ている自分は本当の自分ではないと自分自身で思い込んでいるので、人を欺いているような気がしているのかもしれません。
そうすると、応援や承認・称賛の言葉をもらうとどこか居心地が悪い、落ち着かない感じとなってしまいます。

そして、もしあなたが人を信じて裏切られたり傷ついたりした経験があれば、人の言葉を鵜呑みにしないでおこう、人を信用しないようにしようとしているかもしれません。
表では心地よい言葉を投げかけてくれるけど、裏では悪口を言われていたなんて経験をしたとすれば、心が傷つかないためにどうしても防衛しようとして相手の言葉を信じないという思いが湧いてくるかもしれません。

私たちは人からの嫉妬や妬みは避けたいと思いますから、そのために自分を謙遜したり卑下したりすることでそれを回避しようとしているのかもしれません。

◎相手の言葉を受け取るために

人からの応援や承認を受け取れない要因を述べてきましたが、実はもうひとつ大切なことがあります。
私たちは自分が何かや誰かに対して思うことは、他人も同じように自分に対して思っていると感じてしまう、ということです。

今回の話で言えば、たとえば社内で誰かが仕事で成功した時に、「おめでとう。」「よかったね。」と伝えながらも、あなたの心の中にその相手と自分を比べてしまい「なぜ私は上手くいかないんだろう。」「私は頑張っているのに報われない・・・」という気持ちが湧いてきたとしたら、きっと本心から私は相手を祝福できていないと思うかもしれません。

あなたが感じたその気持ちは、立場が逆になった時に「きっとあの人は本当に喜んではくれていないのだろう」という思いになるのです。
自分の中にある気持ちを誰かや何かに映し出してしまうんですね。(これを心理学では投影と言います。)

もし、あなたが人からの応援や承認を受け取れない時は、相手が思っているのではなく自分の中にそんな気持ちがあることに目を向けてみましょう。

誰かが成功した時に心から喜べないとしたら、きっとあなたも頑張ってきたのですから、「羨ましい」「ちょっぴり妬ましい」などの気持ちがあるのも仕方がないと思ってみてもいいのです。
そんな気持ちを持ってしまう自分を責めるのではなく、あなたが感じているそんな気持ちがあるということを意識してみるといいかもしれません。

私たちは感情に良い・悪いとかポジティブ・ネガティブとかを考えてしまいますが、感情に良い・悪いはないのです。
どんな気持ちもあなたにとっては大切なものですから、嫌わなくていいのです。
感情は感じ切ると消えていくと言われていますから、感情を感じることにチャレンジしていただければと思います。

そして、今までに自分がやってきたことをどんな小さなことであっても自分自身で見つめて、認めてみるといいのです。
今までの自分を肯定できれば、それは自信になりますし、自分自身を客観的にみることにも繋がります。
そうすると、あなたが人に対する思いも変わってくるので、応援や承認を受け取りやすくなるのです。

あなたが自分自身の良さを自覚し、たくさんの応援や承認を受け取り、人に対しても応援や承認をしやすくなるためのちょっとしたヒントになれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

自己否定、自己嫌悪、疎外感、自己肯定を得意とする。「その方の心に寄り添い、一番の味方でいること(安心感)」をモットーに、わかりやすい言葉で恋愛問題や対人・自己との関係を紐解き、改善・生き易さへと導いている。  東南アジア2カ国での生活経験もあり、国や文化の違いについても造詣が深い。