心の問題に取り組むということは、時に不安な気持ちとの根比べでもあります。どれだけ力を注げばいいのか?どれだけ時間が掛るのか?対象が目に見えないものだけに不安が増すことも多いものです。
そんな中で、なくならない不安や前に進まない問題の背景には何か未完了な心の問題が隠れているのでは?と考えることも多いもの。リクエスト特集、今回は「問題解決が進まない」と感じる時の捉え方について考えてみたいと思います。
◎リクエストを頂きました◎
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こんにちは。いろんなテーマで解説されて、心理学がみじかな生活に役立っています。
これから扱ってほしいテーマは、なかなか先に進まず楽にならないという事です。
癒し方が足りないのでしょうか?もう5年も続けてカウンセラーと話していますが、問題が解決に向かいません。夫婦のパートナーシップに問題を抱えていますが、いまだに別居です。夫は別の場所に住み仕事に没頭しています。
夫婦でカウンセリングを受けたり、各自で受けたりもしました。私自身も自分に向き合っているつもりですが、何が先に進ませないのでしょう?教えてください。
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心の問題に取り組むということは、時に不安な気持ちとの根比べでもあります。どれだけ力を注げばいいのか?どれだけ時間が掛るのか?
対象が目に見えないものだけに不安が増すことも多いものです。
そんな中で、なくならない不安や前に進まない問題の背景には何か未完了な心の問題が隠れているのでは?と考えるのは妥当なことかもしれません。
だって、うまくいかない問題の背景には、癒やすべき心のテーマが隠れている、心の勉強をしたことのある人ならこれまで何度も耳にしてきましたからね。
確かに対人関係の問題を解決するプロセスにおいては、隠れた心のクセや対人関係に潜んだ関わり方のパターンを見直していくことは大切なことです。
けれど、一定の期間心の問題にしっかり取り組んだなら、うまくいかない問題の本質を「心の中」だけに求めすぎることは却って事を長期化させる場合があります。
なかなか進まない問題を前にしたなら、そこはまず自分の心の中よりもふたりの関係性に目を向けてみることが大切。
でもその前に、対人関係が変化していく過程について理解をしておく必要があります。
対人関係が変化する、あるいは成長していく。
そんなプロセスを思い浮かべるとき、あなたはどんなイメージをお持ちでしょうか?
右肩上がりにグングン成長していくイメージでしょうか?それとも、成長しては停滞、時として下り坂を繰り返しながらいくつもの勾配を繰り返す山登りのようなイメージでしょうか?
身体の成長というのは、どちらかといえば前者のプロセスです。一定の年齢まではグングンと成長し、ある年齢を境に、体力も身体的な機能も緩やかに低下をしてきます。
いっぽう、夫婦関係やパートナーシップの成長というのは、必ずしも時間に比例して右肩上がりに成長するとは限らないもの。その為「なんだか関係性が変わらない」「思うように良くならない」と感じてしまうことも多いものです。
また、「永く取り組んできて、ようやく変化の兆しが見えたと思ったら、また元に戻ってしまった」と感じることも少なくありません。
とりわけ、パートナーとの問題というのは相手の心の動きとも密接に関わっていますから、余計もどかしく感じてしまうのかもしれません。
けれど、恋に落ちて関係性がホットになる時期もあれば、目が覚めたように気持ちが冷たくなる時期もあるのがパートナーシップ。くっついたり、離れたりを繰り返すのが当たり前で、ずっと良い状態だけが続くということはないもの。
まずは、そのことを理解しておくことが大切です。
また、問題への取り組みが長期的になってくると、私は変わったのに、彼は全然変わらない。あるいは、彼の気持ちはどんどん前向きに変わり始めているのに私ひとりが取り残されているように感じる。ということもあるでしょう。
けれど、夫婦関係をはじめとするパートナーシップにおいては、変化に時間差はあってもどちらかいっぽうだけに変化が起こるということはないものです。あなたが変わっているなら、パートナーにも何らかの心理的変化が訪れているはずですし、パートナーが変わったと感じるようであれば、あなたにも何らかの変化が起こっているはずです。
それでももし、変化がないように感じたり、停滞感に悩まされるようであれば、それはその変化があなたの望むスピードではないか、期待に沿わないものなのかもしれません。
「もっとこうしてくれれば」
私たちはつい、自分を動かすことよりも相手に動いてもらうことを期待します。問題なのは変化がないことではなく、変化を受け容れられないことなのかもしれません。
そんな時にはいったん心の問題から距離をとって、ふたりの関係性に目を向けてみることも大切。
今、相手は何を考え、何を望んでいるのか?
今、あなたは何を考え、何を望んでいるのか?
心の中にある過去の出来事や感情的なわだかまりはひとまず横に置いて、時間軸を今に戻して見つめ直してみましょう。
私たちはいつでも、自分の中にある思いや考えのフィルターを通してパートナーを見ているものです。関係性が滞っていると感じるときこそ、目の前に居る彼や彼女をフィルターなしに見つめてみることが大切。
見落としていた、小さな変化が起こっていることに気がつくかもしれません。
そして、そんな変化をひとつひとつ大切にしていくことが、ふたりの関係性をよりよくするうえで欠かせないことなのではないかと思います。
(完)