先日、「友人が、病気になったんだけど、面会に行き辛くって、その前にカウ
ンセリングを受けようと思いました。」という、電話カウンセリングを頂きま
した。
面会には行きたいんだけど、自分の気持ちが落ち着かないので、カウンセリン
グを受けて、自分の気持ちを整理してから行きたいというご要望でした。
どうして、こんな気持ちなるのかわからないので助けて欲しいという事です。
家族や友人が病気になった場合、入院したり、治療を始めた場合に、
どのような対応や言動が望ましいいのであろう?
どうしてあげるのが一番いいのだろう?
自分も一緒に苦しくなってしまったらどうしよう?
と、いうご相談が多くあります。
また、反対に、ここ数年のカウンセリングの流れの変化で、私が一番驚いてい
る事があります。
それは、自らがガンであり、今は、その治療中であるという人のカウンセリン
グが増え始めたという事です。
中には、入院中の病院から電話カウンセリングを受けて下さる人もいます。
私が知る限り、10年ほど前は、身内に病気の人がいる、あるいは、病気で亡
くしたというケースのご相談は、とても多かったと思います。
それから、過去にガンを患ったという人も時々出会いました。
でも、今現在、治療中であるというご本人からの相談は、ここ1・2年で、
特に多くなり始めました。
これは、心理的側面を分析すると、とても勇気ある行為だと思います。
これからも、ますます、病と闘っている渦中にある人も、カウンセリングを
もっともっと受けて貰える場所になって行きたいと願っています。
ちょうど、少し前に、病気を治療中のご本人からの相談がありました。
その内容は、見舞いに来てくれる人への対応についてでした。
「もう、頑張っているフリや、大丈夫そうに見せるフリは疲れました。
でも、私が辛い顔をしたり、泣いてしまうと心配させてしまうし。
もし、せっかくお見舞いに来てくれているのに、ひどい対応をしてしまった
ら、どうしようと思うと怖くて。それに、誰も見舞いに来てくれなくなるん
じゃないかと思うと、悪い顔も態度もできない。辛い。
もう、どうしていいのかわからない。」
私は、臨床経験がありますので、その人の経過と現在の治療について聞いてみ
ました。
そして病気の経過過程や、その治療が、どの段階にあるのかという事を分析し
た上で、どうしてそんな気持ちになってしまうのか、という観点からも捕らえ
て、共感し、少しでも励みになればと思う事を伝えました。
そうする事で、少しは、落ち着かれたようでした。
でも、この対応は、私に、臨床経験があったから、また、カウンセラーとク
ライアントという関係があればこそ、上手くいったのかもしれません。
現在の治療は、インフォームドコンセントといって、治療者が、患者側にどん
な病気であろうと、告知し、治療内容を話し、同意の元に治療をするというス
タイルに、どんどん変わってきています。
ほんの15年ほど前までは、「告知するか、告知しないか」という観点で、
ご家族に相談していたと思います。
でも、治療内容も変われば、治療方法も変わり、治療にかかわる側の全ての人
も変化する必要が出てきました。
そんな治療のスタイルも、面会側や、患者側との関わりに、戸惑いを生み出し
ている一つの要因かもしれませんね。
でも、シンプルに考えてみてはと思います。
面会に行く側の人も、ただ会いに行きたい。できる事なら助けてあげたい。
病人側も、本当は、誰でもいいから助けて欲しい。ここから抜け出したい。
そんな想いではないでしょうか?
なのに、対面する場所は、患者側は、ノーメイクにパジャマという軽装姿。
これだけでも、あまり、長く、深くは、見たり入り込まないで欲しいなーと
いう意識も作りやすい場所ではないでしょうか?
私も入院経験を持ったので知ってるのですが、病院って、孤独や寂しさ、不安
感、怒り、遠慮、苦しみ、辛さ、悲しみ、恐れ、などなど、ネガティブな感情
を最も感じやすい場所の一つのような気がします。
反対に、笑いや、元気さ、陽気さ、などなどポジティブさは、面会者も何故か
場所の不適当さを感じて、押しとどめやすい場所の一つではないでしょうか?
それでも、誰かに触れる時、とても安心し、心が温かくなります。
誰かに一目会えるだけでも、違いが生まれるのです。
もし、辛くなったり、気まずくなったら、たとえ短時間でも、
(見舞う側)
「今日は、これで帰ります。また、来ますね。」
と、多くを語らず、簡単に立ち去る勇気を持つ事。
自分自身でいれる時間分の面会をお勧めします。
そして、また、後日、面会に訪れてみてはどうでしょう。
(患者側)
「すみません、今日は、帰ってもらえませんか?なんだか、調子が悪くって。
また、良かったら来て下さいね。今日は、来て下さってありがとうございま
す。とても嬉しかったです。」
「何もしなくていいから、そばにいて欲しいんだけど、いいかしら?」
と、勇気を出して、自分の状況や自分のして欲しい事を教えてあげてはどう
でしょうか?
お互いに慣れない状況や環境の中で、対人関係を築くのは、難しいかもしれま
せん。
でも、健康という側面では、人の温もり、安心感や心地良さなどが、病気と立
ち向うための、プレゼントになるのではないないでしょうか?
そして、病気や身体機能の衰えが傍にあるということを知って、日頃は無意識
に眠っている『健康』という偉大な大切さを、思い返すチャンスも頂けるもの
ですね。
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