先日、テレビでとあるコメンテーターがこんなことをいっていました。
「武道の教えの中に『守』『破』『離』というのがあります。
『守』は、師の教えを忠実に守ること。
『破』は、師の教えに自分のやり方をプラスして、自分の型を確立していくこと。
『離』は、師の元から離れて、独立していくこと。」
この話を聞いたとき、いい言葉だなあと漠然と聞いていたのですが、ふと、あることに気がつきました。
普通の日常生活の中でも、この『守』『破』『離』に当てはまることって、たくさんあるんじゃないだろうかと。
例えば、子育てなどは、最初は親の言いつけを『守』り、そして、思春期になると自分のやり方にこだわり出して、親の言いつけを『破』り、成長していくと親から『離』れていく。
同じように、後輩を育てるときや対人関係、学校教育などにも、同じことが言えるのでしょうね。
人を育てていくことって、本当に難しいことですよね。
実際このコラムを読まれていて、お子様を育てられている方はたくさんおられると思います。
子育てに悩んだり、どうしていいかわからなかったり、自分の子供だけほかの人と違うのではないかと心配したり、ほかの子と比べてしまったり、いろいろ悩んでしまうことってたくさんあるのではないかと感じます。
その中で、昔の人たちは、いろんな形で教えていたんですよね。
ことわざであったり、風習やおとぎ話であったり。
そして、精神的な部分でよくつかわれていたのが、武道なのでしょうね。
剣道や柔道、空手、合気道など、武道全般に関して、まず精神的なところから入るものってたくさんありますよね。
その他のやり方では、仏教などの教えの中に、精神的なことがたくさんありますよね。
書道なんかもそうかもしれませんね。
私自身は、武道はする機会が学校の授業程度しかなかったので、詳しくは知らないのですが、私の友人で、小学生のころから剣道をしていた友人や、昔柔道をしていた私の妻などが、『心の教え』について語ってくれたことがよくあります。
ずいぶん昔のことなので、内容はよく覚えていなかったりするのですが、私たちが普段カウンセリングなどでお話しすることを、いろんな例えとして、よく話してくれました。
『礼に始まり、礼に終わる』
この言葉も、当たり前のように昔は聞いていましたが、今このことがきちんとできている人は、ずいぶん少なくなってしまった感じもします。
TVチャンピオンに参加させていただいて、私が感じたことなのですが、もてない男性(女性も含む)の持つパターンの一つに、基本的な礼儀作法が正しくできていない人が、いがいといました。
ただ、もてる人の中にも礼儀作法ができてない人はたくさんいるので、一概に礼儀作法が正しくできないからもてないと決めることはできませんけどね。
しかしながら、もてない男をもてるようにしていく過程では、必ず礼儀作法は教えることになりました。
それくらい、対人関係においては、礼儀作法って、基本なんですよね。
例えば、挨拶ができないとか、お礼が言えない、気配りがない、配慮が足りないなど、もてない男は、本当に基本的なことができていなかったりします。
例えもてていたとしても、基本的な礼儀作法ができていない人は、正直パートナーに選ばないほうがいいかもしれないと感じるくらい、私は大切なものと感じています。
でも、子供の礼儀作法ができていない場合、原因は男親の方に原因がある感じがしますね。
会社であれば、男の上司に原因があったりね。
過程であれば、しつけは女親がしているところがほとんどですよね。
しかし、お母さんがいくらしつけても、お父さんがきちんとした礼儀作法ができていなければ、子供は自然とお父さんのまねをしたりします。
職場では、上司がちゃんとしていないと信頼されませんから、言うことなんて聞いてくれませんからね。
だとしたら、父親は父親として、上司は上司として、家族や部下に対して、きちんとした配慮や気配り、礼儀などをきちんとわきまえていくことが、家族から慕われる親になれたり、部下から信頼される上司になれたりするのでしょうね。
一緒にお仕事させていただいたテレビ局の、私を担当してくれたスタッフさんたちは、本当にみんなが礼儀正しく、きめ細やかな配慮で接してくださって、楽しくお仕事をさせていただくことができました。
『親しき中にも礼儀あり』
ですね。
今の時代、子育てや育成に関することはHow To本を見ることで学ぶことができます。
しかし、それ以上に昔の人たちが語り継いできたさまざまなよき伝統の中に、今の人たちが必要としているものの答えが、たくさんあるのかもしれませんね。
もちろん、伝統がすべてではないでしょうし、新しいものにもたくさんいいものがあります。
だからといって、伝統的なものすべてがふるいとか、役に立たないとか決めつけることもないと感じます。
もう一度、お子さんと一緒に古き良きものに触れてみて、一緒に語り合ってみるのもいいのではないですか?
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