我々男性は子供の頃から、自分が感じた感情は表に出さないようにしつけられ
ることが多かったように思います。起こられた時や悲しかった時、怖かった時
こんな事を言われなかったでしょうか?「泣くな。男だろ!」「めそめそする
んじゃない。みっともないじゃないか!」なんてふうに。
男性は将来、大人になって競争社会に入る時のことを考え、荒波の中でもまれ
て生き残るために「強くなりなさい。」と教わります。すると感情を表に出す
のが、まるで弱い・だらしない人がやるものだと思い込まされるのです。
つらいことがあったり苦しい時、ため息やグチのひとつもこぼしたくなるのが
自然だとは思いますが、歯を食いしばって突き進もうとするのが強い大人の男
性の手本として教えられることがほとんどでした。時には「若い時の苦労は買
ってでもしなさい。」と言われたり。損得二つの道が目の前で別れてるならあ
えて損の道を行くべし!って感じで。
例えばセールスをされる方なら、朝から晩までいっぱい働いて成果を挙げたと
します。どんなことがあっても、お得意様周りや新規開拓候補先チェックをま
めに忘れない人だとしましょう。今日は早めに帰りたいと思う日も、もう少し
がんばってからにしようとする人だと、思ってみてください。
こういった人に対して、どんな印象をお持ちになりますか?ストイックで自分
に厳しい方と、お見受けすることでしょう。のちに営業成績を上げて、昇進し
たとしましょう。今度は自分も外回りをしながら、後輩の指導・育成にもあた
ります。するとこの人がやるのは、自分が成功したやり方で同じように仕事を
するように伝えると思ってみてください。みんなが同じようにやって上手く行
くかと言えば、そうとは限りません。じっくり相談に乗ってほしい人もいるか
もしれませんし、上司が帰らないから家に帰りづらい、なんてこぼす人もいる
かもしれません。
この場合は後輩の、つまり相手の「頼りたい・力を貸してほしい・同じ目線に
立ってほしい」などの依存心を受け入れる必要があります。受け入れる側の人
が、自分の成功したやり方にこだわらないゆとりを持つことが求められます。
つまり自分に対して厳しい人は、他人に対しても厳しい人と考えてもいいでし
ょう。例えば「おい、外回りして時間があまったら、あまった時間を上手く活
かすことも思いつかないのかよ!もっと外回りを増やせよ!足で稼げよ!」な
どなど。それが必要なシーンも多々あったのでしょう。しかし、そのように伝
える事で上手くいかなかった場合は、それまで成功したやり方を手放す時に来
てるのだと思います。上の例でいえば後輩の依存心を受け入れる、すなわち後
輩(自分以外の他人)に優しくするためには、指導にあたる人がまず自分に優
しくすることです。
「他人に厳しくしすぎない=自分に厳しくしすぎない」と、考えていいでしょ
う。(初めは違和感を感じるかもしれません。その場合はまず「必要以上に」
の一言をそれぞれ加えて「他人に必要以上に厳しくしすぎない=自分に必要以
上に厳しくしすぎない」と、自分に言い聞かせるような形から取り組んでいか
れてはどうでしょうか?)
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