前進を阻むもの~怖れと向き合って乗り越える~

子供の頃、僕は実はとてもやんちゃ坊主だったのです。
学校で禁止されていたのですが、ばれなきゃいいかという感じで、浜辺で友達
とだけで水泳をしたり、許されている範囲の遙か先まで自転車で遊びに出かけ
たり、製材所のおがくず小屋にカブトムシの幼虫を捕りに忍び込んだり、はた
また潰れた養魚場の池に忍び込んで残っている魚を手づかみしたり、線路脇の
排水溝で沢ガニ取りをしたりと、とにかくスリリングな遊びが大好きで、毎日
がとてもエキサイティングで、楽しく、面白い日々でした。
そんな遊びがたまには学校や親にばれて、重いバケツを持って廊下に立たされ
たり、家で夕ご飯を食べさせてもらえなかったりという事があって、その時は
シュンとなるのですが、ほとぼりが冷めると、またそんな遊びを今度はばれな
いようにしていたのでした。


今振り返ると、子供の頃はとても勇気があったんだなぁと思います。そして、
こうしたいと思うことは(いいか、悪いかは別にして)実行する力があったの
ですね。
その勇気や実行する力があった分だけ、生きていることを楽しんでいたんだな
ぁと思います。
皆さんも、いくつの頃かは人により様々だと思いますが、そんな勇気や実行力
をお持ちだったのではないでしょうか?
少なくとも、赤ん坊の頃まで遡ればそうだったのではないでしょうか?
さて、我々が何か問題を抱える時というのは、こうしたいという何かと、それ
ができない自分がぶつかり合っている状態ですね。
例えば、「人に優しくしたいのに、優しくできない」「仕事に行きたくないの
に、行かなければならない」というような状態です。
どちらも本当の自分の気持ちなのです。でも、本当の気持ちがぶつかり合って
しまっているのですから、動けなくなりますね。
人は、動けなくなるとその位置に立ち止まってしまいます。そこから動くのが
とても怖くなってしまっているのです。そうすると、この苦しい状態、苦しい
位置にずっと居なければならないことになってしまいます。
これと同じような例をテレビ番組などでよく見かける事があります。
タレントなどがバンジージャンプで跳ぶ時に、決意して崖っぷちまで行きます
ね。そしてそこで下を見ると急に怖くなって立ち止まったり、しゃがみ込んだ
りしてしまう。結果的に一番怖い瞬間にずっと居続けることになってしまいま
す。これって、一番嫌な状態をわざわざ感じている訳です。
これを解決する方法は、1つしかありませんね。跳ぶ怖さを乗り越えてジャン
プしてしまうか、「何て思われるだろう?」という怖さを乗り越えて「ゴメン
ナサイ」と謝って跳ぶことを止めてしまうかです。いずれも、怖れがつきまと
いますが、越えやすい方の怖れと向き合ってそちらに進んでいくと、怖れは小
さくなっていきます。
だから、どちらを選んでもいいと思うのです。今の一番怖い状態から一歩踏み
出して楽になるのであれば、それでいいのです。
同じように、「人に優しくしたいのに、優しくできない」「仕事に行きたくな
いのに、行かなければならない」もどちらを選択してもいいのです。人に優し
くする方向に進んでもいいですし、優しくできない私を「今はそうなんだなぁ」
と認めてしまってもいいのです。「仕事に行かない」と決めてしまってもいい
ですし、「仕事に行こう」と決めてもいいのです。
先ずは、一番怖い状態から抜け出すこと、これがとても大切なのですね。そし
て、これが怖れと向き合うことです。
さて、その次をどうするかは、先ずは一番苦しいところを抜け出してしまって
から決めればいいことです。
そこには、一番苦しいところから抜け出して少しばかり冷静になった自分がい
て、本当にどうしたいかと考えられる余裕が生まれてきます。その人その人が
持っている自然な気持ちが次の流れを作っていきます。
さて、子供の頃は怖れを怖れとせずに「スリリング」と楽しめた私がいました。
今はというと、
ホラー映画は好きですが、怖いシーンになると両手で目を塞いでしまいます
(もっとも、隙間から見ていますが)。
ジェットコースターは好きですが、急降下の時には顔が引きつります(でも、
乗りたいんですが)。
大人になって、どうやら、怖がりになってしまった感があります。
子供の頃のように勇気と実行力がもっと持てたら、より一層楽しい人生が送れ
るのではないか、そんな事を考えている今日この頃です。
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この記事を書いたカウンセラー

About Author

恋愛や夫婦間の問題、家族関係、対人関係、自己変革、ビジネスや転職、お金に関する問題などあらゆるジャンルを得意とする。 どんなご相談にも全力投球で臨み、理論的側面と感覚的側面を駆使し、また豊富な社会経験をベースとして分かりやすく優しい語り口で問題解決へと導く。日本心理学会認定心理士。

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