子どもがある程度、大きくなって、何かのイベントで家を留守にすることに
なり、夫婦二人きりで久しぶりに過ごす夜。
そんな時に、何を話したらいいかわからない、なんて経験をされたことはあ
りませんか?
子どもが生まれれば、どんな夫婦でも、生活の中心は子どもです。男と女か
ら父と母へ。そうした流れは自然なことですが、そのうちに、夫は仕事でな
かなか家に帰って来れなくなり、妻は子育てと家事に追われて余裕がなくな
り、しらずしらずのうちに、男性と女性という意識が薄れてきて、親として
の会話はあっても、男女の会話はなくなりがちです。中には会話そのものが
なくなってくるというご夫婦もあるのではないでしょうか。
そんな状態になってくると、お互いに相手への不満が募り、はじめは喧嘩を
して
仲直りをする等のやり取りがあったのに、段々とあきらめが入って、相手へ
の関心そのものが薄くなってくることがあります。
これが進んでいくと、相手と向き合あおうという気持ちが起きなくなり、場
合によっては、私たち夫婦はこうなんだから、と決めてしまうことになって
いったりします。
そこには、例えば、子育てで大変な時に夫が手伝ってくれなかったとか、仕
事で辛い時に妻が子どもにばかり目を向けて労りの言葉をかけてくれなかっ
たとか、そうした「恨みつらみ」の蓄積があります。
けれど、実は、お互いの思いは全く同じなんですね。
妻は、夫や子ども達のために、子育てと家事をがんばっている。
夫は、妻や子ども達のために、仕事をがんばっている。
表面意識では、気がついていないかもしれないですが、それは心のどこかで
わかっているのです。
ですから、私たち夫婦はこんなもんよ、と軽く口では言えたとしても、何か
辛い、胸の中でもやもやしたものが残る、そんな感覚を持ったまま過ごすこ
とになります。これはとても辛いことです。
実は、心のどこかでは、知っているのです。
一番いいのは、他の誰でもない、夫や妻と仲良くしていることだと。
相手に優しい言葉をかけてあげたいと思っているのだと。
誰もが知っているのに、それを思えないのは、心が無理だと思い込んでしま
っているからなんです。
もしそうだとしたら。
「本当にうれしいことって何だろう」と自分自身に尋ねてみてください。
答えがすぐに出てこなくてもいいんです。
大切なのは、普段思っている自分の気持ちは、もしかしたら本当の気持ちで
はないかもしれない、という視点で見てみることなのです。
そこからわずかでも何か心が動く感じがあれば、それを少し追求してみてく
ださい。
こうした自分の本当の気持ちに気づくことは、問題を解決したり、次のステ
ップに進んでいくのに大きな効果があるといわれます。
そして、そこで相手への優しい思いを感じることがあったのなら、本当に小
さなことでいいのす、ちょっとした心遣いをしてあげようと思ってみましょ
う。例えば、朝の挨拶をいつもより少しでも元気に言ってみる。そんな小さ
なことでもいいのです。
気がつくだけでも、心にとっては大きな変化が起こることがあります。
まずは感じてみましょう。そして、ちょっとしたことでいい。何か実行して
みましょう。
蓄積はいつか大きな変化を生み出します。
積み重なっていくのは、優しさだって同じ重みを持つのだと思います。
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