年が明ける、というのはなにやら私たちのこころに瑞々しさをまた感じさせて
くれるようですね。
みなさま、あけましておめでとうございます。
「節目」という言葉がよく似合う季節です。
この節目、もちろん、竹の節目、から来ているのでしょうね。
竹のしなやかさ・・・、今となってはなかなか群生しているところを見る機会
もそうそうなくなりました。
幼い頃から成人するまで過ごした家から一番近い駅まで向かう道、それは、実
のところ人がひとりやっと通れるような舗装されていない道で、電灯もなく夜
には真っ暗になる田舎道でした。
駅に到着する直前がもっともこわい。
なぜならそこは、右手にこんもりとした本当に小さな雑木林、左手にはうっす
らやっと先が見通せる竹林。
車が通れる農道から駅にいたるまで、大声で数を数え上げても50を越えるぐ
らいで走り抜けることができる本当に短い距離なんですがこども心には大冒険
でした。
竹といえば、私がついつい思い出すのはこの風景。
当時も雨が降るたびに1日ですくすくと伸びていく竹を発見し「あかるい何か」を
感じていたように思います。
さて、この40代の心理学のコラムを書かせていただき始めたのは調べてみると
2005年ということですから、今年で5年。やはり「節目」のようです。
職業としてカウンセラーを選択したことの理由のひとつは、職場での人間関係
がもとでわたしも傷つくことがあったり、そのなかで心身の健全さが失われる
ような事例を多く見受けたり。更には人生にも影響しかねない状態を目の当た
りにすることもあったためです。
社会にでて、社会の「システム」のもと、働き始めた頃にであった私より「お
とな」だと感じていた人たちの年齢にすっかり到達してしまいました。彼らの
ようになれたのでしょうか、そして彼らと肩を並べることが出来ているのでし
ょうか、考えると少し面映く感じます。
こどもたちに関する報道が、後を絶ちません。ここ数年、以前はなかったよう
な問題を耳にそして目にすることも多くなりました。
「最近の子供」は本当にすぐに「キレる」のでしょうか。
「何を考えているのか分からない」のでしょうか?
そのような言葉を耳にする度に、どうしても思うことがあるのです。
それは昔も今も変わらないのです。
会社員時代、
時に、自分の「成績」のために同僚の足をわざわざ引っ張るようなひとも居ま
した。
時に、恨むような何かがあったでしょうか、あらぬ噂で優秀な誰かを貶めるよ
うなひとも居ました。
時に、社会的にあまり歓迎されないような選択をいわゆる「上」から強要され
断れないようなひとも居ました。
時に、じぶんの失敗をついつい部下や後輩に押し付けてしまうひとも。
おとなしい誰かをないがしろにするひとも。
その理由はさまざまで、でも、自己の利益を主張されるのは多くは「家族のた
め」とも。
そして「弱いもの」は「悪いもの」のように扱われることも多く。
よい父であり、よい母であり、家庭人でいらっしゃる、その、優しさに救われ
ることもあるのだけど・・・。
その矛盾はやはり、どこかで軋みとなるとは思うのです。
そして、こんな「おとなの社会」をみて思うのです。
わたしたちは次の世代になにを残して生きたいのだろうか、と。
わたしたちはなにを見せていけているのだろうか、と。
私が、救われていてそして希望を持っていられるのは、きっとこの仕事、カウ
ンセラーのせいだと思うのです。
こどもをどうしても、叱り付けてしまうおかあさま。
お忙しいのでしょうか、助けがほんとうにないのでしょうか・・・。
そうこころをこめて伝えたときに、多くの方が声をあげて泣かれるのです。
どれほど叱ってしまったり、手をあげてしまう自分を責めているのか、苦しい
のか、そしてそれでも自分を慕う子を愛しく感じているのか。
会社員時代にであった、彼ら。
こころのうちを聞いたときやはり、強がり続けていたとしても、じぶんの弱さ
を感じて恥じて何も言えない、そして癒されない痛みに泣かれることも。
もう愛せない、もう無理、もう好きでない、そしてパートナーに冷たくしてし
まう、もしも、いま会えたら、目の前にいたらどれほど謝りたいことでしょう
、そしてどれほど感謝を伝えたいことでしょう。
隠しても、亡くしてしまおうとしても、人のこころのなかには愛があり情熱が
ある。
ときに競争という名の悲しみが、嫉妬と言う名の苦しみが、私たちから平和を
奪うような選択をさせてしまうことがあるけれど。
この感情を越えていくことも、ひとにはできるという姿を、なんどもなんども
見せてもらえるのは、きっとこの仕事の特権なのでしょう。
先日、滅多に見ないテレビを夜中につけていました。
NHKだったと思います、カラーでみるよみがえる第2次世界大戦、という特集を
目にしました。教科書でも普段の映像でも白黒でしか見ないような映像がカラ
ーで目に飛び込んできます。白黒だと「むかしのこと」の範疇にいれ、感じるこ
とを抑えることができます。
だけど、カラーだと、ほんとうに、リアル。
各国の映像を集めていましたが、どれも皆若いのです。
戦っている兵士たちが、とても若い子たちなのです。
わたしたちのいまこのときの選択は、やはり、とおい世界の現実を、そして、
未来をもしかしたらちょっぴりちょっぴり変えるかもしれないですね。
もしも、もしも、そうだとしたら、平和であることを願えるように、恨むこと
よりも許すことを願えるように。ためらわずに愛を表現できることを願えるよ
うに、遠ざかることよりも近づく勇気を持てるように。誰かの価値を感じるこ
とができるように。
そして、信じることが出来るように・・・。
どうぞ、今年もよろしくお願いします。
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