神戸メンタルサービスの平です。
カウンセリングの基本は、まず、上手にクライアントの心の引き出しを開け、さまざまなお話が出てきやすい環境を作ることといえます。
また、人が「楽しかった」、「おもしろかった」と感じるのは、そのほとんどが、受身ではなく、自分のほうからなにかアウトプットしたときといえるようです。つまり、表現したり、発散したりしたときであるわけです。
銀座あたりのクラブでも、自分からおもしろい話をしたり、パフォーマンスをしたりする人よりも、お客様にいかに楽しくしゃべってもらうかの術を身につけている人が売れっ子さんになるのだといいます。
お客様の話を聞き、それに対してなにか質問したり、さらに教えてもらったりすることで、お客様にさらに楽しくおしゃべりしてもらうことが、ご指名の獲得につながるらしいのです。
日常生活でも同じです。たとえばガンダム好きの彼に、「ねえねえ、ガンダムってなに? なにがおもしろいの?」などと聞いてみたとしましょう。
すると、「おまえ、ガンダムのことも知らないのか!? どうしようもないやつだなー」から始まって、「いいかい、ガンダムというのはね‥‥」と、約2時間のレクチャーが展開すると思いませんか。
そのレクチャーの中には、彼のガンダムに対する熱い思いや愛情なども垣間見えるはず。そして、彼自身、それを語っているときはけっして悪い気分ではないと思いませんか? ま、あなたにとっては、それは地獄の2時間になるかもしれませんけれども。
さらに次回、このレクチャーを受けたあなたに、彼はガンダムに関する模擬試験のようなものを実施するかもしれません。そして、その日から、あなたは彼のことを「教授」と呼ばなければならなくなるかもしれませんが、それまた、彼としてはけっして悪い気はしないことであるわけです。
「聞き上手」という言葉がありますが、どうやら「話し上手」よりも評判がよいようなのです。
みなさんは、さまざまな対人関係の中で、おもしろい話、楽しい話をしなければならないと思うと、プレッシャーに感じたりすることはしないでしょうか。それがさらに仕事上の人間関係や男女関係の苦手意識を作ることもありますよね。
しかし、「聞き上手」になるという目標なら、「話し上手」になることに比べて、なんとなくラクにめざせそうな気がしませんか?
自分が知らないことを、彼にただ「教えて、教えて」と聞くだけでいいのです。
もちろん、男性のあなたの知らないことを、女性のお友だちに聞くのでもかまいません。たとえば、おいしいレストランのこと、スイーツやエステで人気のお店のこと‥‥。
彼女はあなたに熱く語ってくれるでしょうし、教えてくれたお礼にあなたがそのお店でご馳走するなどということになったら、なんらかのチャンスが広がるかもしれません。
また、「なぜ、それがそんなに好きなのか」とか「なぜ、それはどんな魅力をもっているのか」などと聞いてみると、相手はあなたがそれに興味をもちはじめたと気づき、「じゃあ、次回はいっしょに行きましょう」などと言い出すことでしょう。
私は趣味で登山をしますが、「山のどこがいいんですか?」なぞと私に聞いてきたとしたら、2週間後には登山用品店に連れていかれ、そして、1カ月後には山に登らされること必至です。
ただ、あなたは聞いてみるだけでいいのです。
その人の好きなもの、興味があるものについての話を聞くことはしばしば、その人の生き方哲学や人生についての目標まで知る機会になることにもなるでしょう。
そして、その人の楽しみ喜びを話して聞かせてもらうことで、あなたはこれまでに見たこともないようなその人の一面を発見することさえもできるのです。
「聞き上手」とは、もしかしたら、聞くことによって、相手の心を丸裸にしてしまうことなのかもしれませんね。
では、次回の恋愛心理学もお楽しみに!!