シャイで無口なパートナーのために

神戸メンタルサービスの平です。

先日、恥ずかしがり屋の彼氏をもつ女性から相談を受けました。彼は、 なにを聞いても「べつに‥‥」とか「任せる」とか「僕はどっちでも いい‥‥」としか答えず、自分の主張をしたり、なにをどう感じているかを口に出したりすることがないそうです。

朴とつとしていて、とても人のいい彼氏とのことですが、感情表現があまりにもないので、彼女としてはつきあっていても寂しい気持ちに なったりするとのこと。

それで、なんとか彼を調教‥‥、いや、変えていくことはできないかというのが彼女のご相談だったわけです。

 

日本人は単一民族であり、共通の習慣や文化を共有しています。そのため、あまりしゃべらなくとも多くのことをおたがいに理解しあえるので、その弊害として、口に出してちゃんと表現するということを苦手とする傾向があるようです。

この傾向は、とくに田舎出身の人に多く見られるようですが、この相談者の彼も東北の片田舎の出身でした。
彼のおとうさんもコミュニケーションをまめにとったり、自分を表現したりということはあまりしないほうで、彼にとってはそれがふつうのことでもあったわけです。

 

一方、彼女は三人姉妹で、おかあさんともなかよしとのこと。おとうさんもお話し好きでユーモアあふれる人とのことでで、家の中には笑いが絶えず、そして、いろいろなことを家族で話し合うような家庭なのだそうです。

 

今回のようなカップルの場合、男性側の心理に「上手に話せない」ということがあるので、すべてのことが必ず彼女のペースでなされていきます。

その中には、彼にとって気乗りしないこともあれば、なぜそんなことをするのかと理解不能なこともあるわけです。が、このようなタイプの人は「まあ、いいか。おれがガマンすれば」と受け流します。

自分がガマンすることで、対人関係をスムーズに推し進めていこうという傾向が強いわけです。それも、自分の大好きな人が喜ぶことであれば、多少のガマンは喜んですることもできるわけです。

また、もともと口べたでもあるので、彼がひと言ふた言意見を言ったとしても、彼女のほうはその10倍ぐらいの理屈と感情に訴えるような言葉をもっています。

その繰り返しの中で、彼は「No」と否定する言葉をどんどん失い、やがて沈黙するようになることも多くなるわけです。

「だって、どうせおれの言うことは聞いてもらえなくて、結局、きみのやり方を押しつけられるんだからね」。こんなふうに彼が思っていることが、じつは少なくないようなのです。

 

もし、あなたのパートナーがこのタイプの男性だったとしたら、「それがどんなことであったとしても、彼の言い分を100%聞いて、彼の好きなようにしてあげる日」というのをつくってみることをおすすめします。

子どものとき、おとうさんやおかあさんにお手伝い券や肩たたき券を作ってあげたように、「きょうはあなたのいうことをぜんぶ聞きます」券なんてのを彼に渡してもいいかもしれません。

「No」といえない彼ですから、ここぞという場面でその券を出すという方法で、あなたに抵抗する機会を与えてあげるわけです。

彼とあなたではものごとの感じ方が基本的に違います。日ごろ、理不尽を感じたり、がまんしたりばかりの彼ですから、たまにはあなたがその役を代わってあげてもバチはあたりませんよね。

ある女性は、この券を彼に30枚渡したところ、たった2日間でぜんぶ使い切られ、彼から「この券、便利だからもっとくれない?」といわれる始末だったとか。「いかに、彼ががまんしていたかがわかりました」とあとで話してくれました。

 

コミュニケーションの秘訣は、怒りをもつ前に、「No」をきちんと言うことです。「No」ができるだけすばやく言えれば、二人の間に大惨事を引き起こさずにもすむのです。

でも、このようなコミュニケーションが苦手なパートナーも多いもの。
そんなときは、できるだけ「No」の言いやすい環境を作ってあげることからスタートしてみてください。

では、次回の恋愛心理学もお楽しみに!!

この記事を書いたカウンセラー

About Author

神戸メンタルサービス/カウンセリングサービス代表。 恋愛、ビジネス、家族、人生で起こるありとあらゆる問題に心理学を応用し問題を解決に導く。年間60回以上のグループ・セラピーと、約4万件の個人カウンセリングを行う実践派。 100名規模のグループワークをリードできる数少ない日本人のセラピストの1人。