怒りを手放す考え方のヒント①「同じミスを繰り返す人にイラッとするとき」

◆「あの人はどうして言われたことをちゃんとしないのか?」と感じるとき会社の部下や同僚に対して、「なぜ、指示した通りにしないのか?」と感じることもあると思います。普段ちゃんとこなしている人が、たまたま失敗した、という時には、「次は気をつけてね。」という一言で済んだり、「あなたがこんなミスをするなんて、何かあった?」と問いかけたりするかもしれません。ところが、何度も注意しているにも関わらず、またできていない、という場合には、「何やってるんだ!」「何度言ったらわかるんだ!」「そもそもやる気があるのか!」といった怒りがわいてくることもあるのではないでしょうか?

ミスの内容は同じでも、そのミスを誰がしたのか?によって、感じる感情は変わるものですし、その対応も自然と変わるものです。

しかし、職場で感情にまかせて怒るのは、リスクが伴うもの。できれば、怒らずに済ませたいですよね。今日は「何度も同じミスを繰り返す人」を例に「怒りの手放し方」について考えてみたいと思います。

◆どうして腹が立つのか?腹が立っている時に感じていることにフォーカスする

同じミスを繰り返す人にイライラしても、「イラッ」とした時に感じている気持ちは人によって、また状況によって変わります。どんなことを感じているか?がわかると、怒りを小さくするための対策も立てやすくなります。今回は、代表的なものを4つ挙げてみます。

①自分は、ミスのないように神経を使って仕事をしているのに、それをしないのは甘えている、いい加減だ、と感じるから。

②何度も同じミスを繰り返すのは、自分の指示をいい加減に聞いているからだ、自分を軽んじているからだ、と感じるから。

③ミスをしないように丁寧にわかりやすく教えたにも関わらず、ミスをされ、自分の指導力不足を指摘されているように感じるから

④そのミスによって、自分が他の人(上司やお客様)から叱られたり、迷惑をかけたことを詫びねばならない立場なので、困らせないで欲しいと感じるから。

◆怒りを感じる原因と怒りを手放す考え方

<①の場合>
自分が頑張ったり、神経を使って仕事をしている度合いだけ、相手に対する怒りも強くなります。ここには、相手に対する「あなたも(自分同様)頑張るべきだ」という相手に対する期待が隠れており、その期待を裏切られたと感じ「腹が立つ」のです。

◎怒りを手放す考え方
自分ができていることは、相手もできるはずという視点を手放してみます。「できるのにしない」と感じた分「怒り」を感じるからです。相手は「しない」のではなく、「できないのかも?」という視点に切り替えることで怒りが小さくなります。

<②の場合>
ミスを繰り返す理由を、相手が自分の指示や存在を軽んじているからだ、と感じていることが「怒り」の原因です。

◎怒りを手放す考え方
ミスを繰り返すという事実と相手が自分を軽んじているという思いを区別することがポイントです。相手が自分にどんな感情を抱いているかではなく、「仕事」にフォーカスすることで、怒りを感じる度合いが小さくなります。

<③の場合>
相手にミスをさせてしまったという罪悪感とミスしないように指導できなかった自分への自己攻撃が「怒り」に変化したのが原因です。

◎怒りを手放す考え方
相手との心の距離をとり、自分のせいだけにせず、相手にも相応の責任があるというスタンスをとることで、罪悪感や自己攻撃が減り、怒りも小さくすることができます。

<④の場合>
ミスの後始末をしないといけないという不安や怖れが怒りを大きくする原因となっています。

◎怒りを手放す考え方
ミスが起こるものという前提で、起こりうる状況と対応をしっかりシミュレーションすることで不安を減らすことができれば、怒りを感じる度合いが小さくなります。また、自分一人で対応しなければと思いすぎず、頼れたり相談できたりする上司や同僚に助けを求めることで、プレッシャーが減り、怒りも減らすことができます。

◆「怒り」と上手に付き合うコツ

怒りを感じるときは、相手の態度を変えたいと感じるものですが、相手の態度は、相手が「変えよう」と思わない限り変化しません。それに比べると「自分のものの見方や感じ方」は自分の意志で変えることができる分、変化させやすいと言えます。

そのためには、自分がどんなことで「怒り」を感じるのか?ということを知ることが大切です。自分の「怒り」のパターンがわかると、そのパターンを変えることができるからです。時には、「むかっ!」「いらっ!」とするとき、自分は何を思って(感じて)腹が立っているのだろう?と自己観察してみる時間を作ってみるのもいいかもしれませんね。

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