生まれたばかりの赤ちゃんが、寝ているときや何気ない瞬間に反射的に微笑む時があります。生後2ヶ月くらいまでの、そういった微笑みは「生理的微笑」や「「新生児微笑」と言い、楽しい・うれしい・おもしろいと感じるから笑うというのではなく、反射的に微笑みの表情を作ると言われています。
この微笑みを「エンジェルスマイル」と呼んだりもしますが、お母さんだけでなく周囲の大人は、この笑顔を見ると、赤ちゃんに優しくしたいと感じたり、つい引き込まれて笑顔になったりします。
実は、赤ちゃんは、そういった周りの状況を感じとり、「どうやらこの表情(微笑)は役に立つらしい」と学習するのだそうです。
「笑顔」をみると、「笑顔」を返したくなる。
「笑顔」は、優しさを引き出す。
わたしたちは、何もできない赤ちゃんの時代に「笑顔の効果」を学んだ、といえるのではないでしょうか?
◆◆「笑顔」が伝える心理的メッセージ◆◆
「笑顔」を向けられると、ほっとしたり、親密感を感じたりします。これは、「笑顔」には「あなたを信頼していますよ」「あなたの敵ではないですよ」「あなたのことを大切に思っていますよ」というメッセージが込められているからです。
言葉の通じない街の子どもたちに笑顔で話しかけたところ、子どもたちが近づいて来てくれた、という話や、初対面のお客さまに穏やかな笑顔で対応したところ、満足げに帰られた、という話など、「笑顔」にまつわる話は数多くあります。それは、「笑顔」という表情に込められたメッセージが相手に伝わったということです。
わたしたちのコミュニケーションは非言語(言葉以外のもの)が9割を占めると言われています。そのうち見た目から得られる視覚情報が50%を超えると言われていますので、「笑顔」という表情が伝える「信頼」や「大切だ」というメッセージは、相手の「認めて欲しいという気持ち(承認欲求)」をも満たし、相手をよい気分にしやすいのです。
◆◆電話オペレーターがこだわる「笑顔」◆◆
帝国ホテルの電話オペレーターの方は、電話の向こうのお客さまには「笑顔」は見えないにもかかわらず、笑顔で応対することを意識されている、と聞いたことがあります。「笑顔」という表情の時には、口角が上がり、目元が緩み、顔全体が「優しい」雰囲気なります。そして、この表情で話す声は、少し高めの声になるので、「明るく優しい声」になるのだそうです。「表情が見えないからこそ、より心地よい対応を!」と心がけているプロ集団ならではの気遣いなのかもしれませんね。
◆◆「緊張感」と「笑顔」◆◆
「笑顔」には緊張感を緩めたり、親密感を感じさせたりする効果もあります。ですから、「真剣さ」や「緊張感」を必要とする場面では、「笑顔」は不謹慎だという印象を持たれたり、真剣さが足りないと思われてしまうこともあります。何事も、ケースバイケースなのは、「笑顔」も同じです。
例えば、ミスをした部下を指導しなければならないときには、やはり、真剣な表情や場合によっては強い語調が必要な場面もありますよね。逆に、上司からの叱責を真剣に聞かなければならない場面もあると思います。
そんな出来事があった日の翌日こそ、「笑顔」の使いどころです。朝一番に顔を合わせたとき、笑顔で挨拶されたら、相手は胸をなで下ろしほっとするのではないでしょうか?
強い緊張感が必要な場面の後の「笑顔」は、大きなリラックス感や親密感をもたらします。緩急のバランスをとる、という意味でも「笑顔」を意識してみるとよいでしょう。
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