「プラセボ効果」を自分に使おう

“今やっている事がどうしてもうまくいかない”
“○○な自分になりたいけど、自分では無理なような気がする”
カウンセリングをさせていただいていると、このようなお話をお伺いする事がよくあります。
意識的に、あるいは無意識的に、様々な原因が考えられますが、心のどこかで“そうはならない”“そうはなれない”というネガティブな信念があると、その信念が足かせになってうまくいかない事がとても多くなります。
私たちの心の作用は思った以上に強力で、顕在意識では「そうなりたい」といくら思っていたとしても、無意識のレベルで「そうはなれない」と思っていると、自分の中にある異なった方向性同士の葛藤が生じ、本来威力を発揮すべき心のエネルギーを消耗してしまい、
疲れ果ててしまいます。そして、本来は目的成功のために使うべき心のエネルギーの消耗が、うまく事を運ばせない状況や事態を作り出していきます。
丁度、ガス欠になった自動車の如くで、前に進みたいと思っていくらアクセルを踏んでも進まないという状態になるのですね。
このネガティブな信念は、今まで自分を自虐的に捉えてきた自身の心の歴史に由来していたり(この奥底には怒りが潜んでいます)、自分が成功しない事で、罪悪感など自分を責める気持ちを感じなくて済むというメリットを享受するために存在しています。
この信念の存在には、ご自身では気づいていないかもしれませんし、薄々感じているかもしれません。
もし、気がついていたとしても、そして頭で必要ないとわかっていたとしても、なかなか頑固で、それが必要ないと無意識と和解する為には少し時間が必要になるかもしれません。閑話休題。
新薬を開発する時には、その薬に効果があるかどうかを臨床的に確認する必要があります。
その効果の判定には統計的な手法が使われるのですが、先発薬がある場合にはそれとの比較、先発薬が無い場合には、同じような構成の母集団に対して、薬効成分が入った薬と、それと全く同じような見かけや味をした、薬効成分が入っていない偽薬を投与して薬の効き具合の差を評価します。
患者さんはもちろん、薬を患者さんに与える役割の人も、薬効成分がどちらに入っているか知らずに与えます。
どうしてこのように本物の薬と偽物の薬を用いるという手間をかけて効果の評価をするのかというと、私たちは、「薬を飲んでいる」と思うだけで、薬効は無くとも治療効果が出る場合があるからです。
実際、場合によっては偽薬であっても半分ぐらいの人に効果が生じる事があるようです。
この偽薬の事を「プラセボ」と言い、このように偽薬でも効果が現れる事をプラセボ効果と言います。
このプラセボ効果を考えると、何はともあれ、心の作用が私たちの状態や状況に対して大きく作用する場合がある事がわかります。

さて、話を本題に戻しましょう。
このプラセボ効果、何も薬だけの話ではありません。
心の働きが影響するような事柄に対しては、効果が期待できるのです。
冒頭でお話しした、
“今やっている事がどうしても、うまくいかない”
“○○な自分になりたいけど、自分では無理なような気がする”
は、効果が期待できる対象になり得ます。
なぜならば、心の中の“信念”が影響して現在の状況を作り出しているのですから、それこそが正に心の影響を受けているのですから。
では、具体的にどのようにすればこの“プラセボ効果”を有効に自分に使えるかですが、自分が今やっている方法がやがていい結果をもたらす事、自分にはうまくやれるだけの力がある事など、やろうとしていること、やっている事を肯定的に捉えるのです。
もちろん、試行錯誤もプロセスとして肯定するのです。

自分を信じる事によって、思いが成就する。
これがプラセボ効果を自分に適用する方法です。

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この記事を書いたカウンセラー

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恋愛や夫婦間の問題、家族関係、対人関係、自己変革、ビジネスや転職、お金に関する問題などあらゆるジャンルを得意とする。 どんなご相談にも全力投球で臨み、理論的側面と感覚的側面を駆使し、また豊富な社会経験をベースとして分かりやすく優しい語り口で問題解決へと導く。日本心理学会認定心理士。