よりよいリーダーとなるために必要なこと(5)~変化の先頭に立つ~

突然ですが、あなたは後輩を育てるのは得意でしょうか?
上手に後輩のやる気を引き出し、また後輩が自分自身で考え自発的に動けるように意欲を持たせたり、自信をつけたりするサポートは得意でしょうか?『よりよいリーダーとなるために必要なこと』と題してお届けしている本シリーズは、「経営学の父」と呼ばれ、著書『マネジメント』で有名なドラッカーの教えから、”リーダーシップ”について考察しています。
本日はその第5弾です。*

2012年の2月にトルコのイスタンブールで開催された国際会議「TEDxReset」でのトーマス・フレイ氏のスピーチでは
【2030年までに技術革新によって全ての仕事の50%が消滅する】
と発表され、その当時ビジネス系のニュースやコラムなどで話題になりました。

また昨年には、英オックスフォード大学でAIなどの研究を行うマイケル・A・オズボーン准教授の論文「雇用の未来–コンピューター化によって仕事は失われるのか」の中で702の職種についてコンピューターにとって代わられる確率を試算したことにより、
【10年後に「消える職業」「なくなる仕事」を示した】
ことで世界中で注目を集めているようです。
日本では週刊現代が掲載したことにより、ネット上でもその「消える仕事」「なくなる仕事」のリストが大きな話題になっています。

◆オックスフォード大学が認定 あと10年で「消える職業」「なくなる仕事」702業種を徹底調査してわかった
(週刊現代)
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/40925

私が子供の頃に見て、「こんな未来が来るんだ」と当たり前に信じていた、ドラえもんのいる未来の世界や、バックトゥーザフューチャーのような世界がリアルに見えてきた今、物理的にもその世界を実現できるかのように目まぐるしく技術革新が進んでいます。
またそうした変化に伴い、ワークスタイルやライフスタイルも私が子供の頃に見ていた親世代のスタイルからは大きく変わっていますし、その分社会前代の価値観も大きく変化しているようです。

『変化はコントロールできない。できることは、その先頭に立つことだけである。』

これもドラッカーの言葉の1つです。

「消える仕事」「なくなるす仕事」のように市場が変化の兆しが現れた時に、私たちがよく取る方法は、
”変化が目に見えるほど大きくなってから、それに対応(順応)しようとする”
ことではないでしょうか?
確実にそこにニーズ(需要)がある、と分かってから新規参入したり、投資したり。

もちろんそれはリスクを最低限にするためには必要なことかもしれませんし、今勢いのある波に乗ることで、利益を上げることもできるかもしれません。ある意味、「後出しじゃんけん」は安全パイな訳です。
しかしそこでは常に”遅れてきた者”として先頭(パイオニア)を追従するしかできないのです。

ドラッカーはこの変化の時代を乗り越える唯一の方法が、”あえて変化の先頭に立ち、変化の生み手になること”だといっています。
それが【チェンジ・リーダー】です。

◇P.F.ドラッカー「明日を支配するもの」より

変化は常態である。
変化はリスクに満ち、楽ではない。悪戦苦闘を強いられる。
だが、この変化の先頭に立たない限り、企業、大学、病院、NPO のいずれにせよ、生き残ることはできない。
急激な構造変化の時代にあっては、生き残れるのは、自ら変革の担い手、チェンジリーダーとなる者だけである。

変化には、いつも”恐れ”がついてきます。
必ずしも成功が保証されている訳ではありませんし、賛同者や援助者が現れるとも限りません。
費やしたエネルギーに対して、前進が実感できない期間が長いことだってあることでしょう。
そうしたものに飛び込むには、とてもリスクがありますし、勇気も必要です。

だからこそ私たちはその”恐れ”を小さくしたくて、できるだけ安全策を取ろうとしたり、安定を求めようとするのです。

しかし”恐れ”を1番小さくする方法は、『恐れないこと』なのです。

まるで禅問答に聞こえるかもしれませんが、私たちが”恐れ”を大きくしてしまう時に起きているのは、恐れの本体を見ていないときなのです。

例えて言えば、暗い夜道を、あなたが1人歩いている、と思ってみてください。
その時に後ろから何か気配がする。
その気配が、何かずっと自分の後ろをついてきているような気がする。
そう言えば最近、あまり治安がよくないニュースを聞いたことがある。

・・・ちょっと怖いですよね?

そうした時に、その「気配がする、怖い」というのを感じながら早歩きで歩いている最中は、私たちの恐怖は消えませんし、大きくなる一方です。
しかし勇気を出してその恐怖の正体と向き合おう!と振り返ることができると、そこでは何かしら”答え”は出るのです。
もしかしたらそれは「あぁ、猫だった」かもしれませんし、「ご近所の人が私と一緒で仕事帰りだった」かもしれませんし、
振り返った時にはもう誰もいなくてずいぶん前の分かれ道でその気配の相手は別の道を選んでいた、ということもあるかも知れません。

私たちが”恐れ”を恐れてしまうとき、そこにはモンスターのように自分を振り回したり、自分に被害を与えるような存在が生まれてしまいます。
しかし、目を開けてしっかりと向き合おうとすること、そこではそれ以上、恐れが大きくなることはありません。

それは変化に対しても同じ。

『変化はコントロールできない。できることは、その先頭に立つことだけである。』

ドラッカーのこの言葉は、変化を”恐怖”や”脅威”ではなく、”チャンス”や”好転するきっかけ”としてとらえ、
自らが進んで変化を受け入れ、変化を起こし、先頭に立つことで流れ(トレンドやブーム)を作る側であろうとすることが、
唯一、激動の変化の時代中で、自身を見失わず、コントロール不能に陥らない為の秘訣なのかもしれません。

変化することのリスクを「危険」とするのか、「冒険」とするのかは、あなた次第です。

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この記事を書いたカウンセラー

About Author

恋愛、対人関係、自己啓発、ヴィジョン、ビジネス心理を得意とし、”少しでも楽に・簡単に・シンプルに”をモットーに、分かりやすい心理分析と日常的に無理なく取り組める提案を行っている。 その人本来の輝きや、問題の先にあるヴィジョン(幸せな未来や才能)を引き出すカウンセリングが好評である。