部分強化でも、どの程度の報酬があるのか決まっていない状態を「不定率強化」と呼びます。毎月決まったお給料をもらうことは、嬉しいですが、これは「全強化」です。
だんだんと当たり前になってきて、ありがたみがなくなってきてしまいます。
よい成績を収めたときにもらえる特別ボーナスは、「部分強化」ですから、とても嬉しいものです。
もしも、毎月抽選でお給料が倍になる人を一人だけ選ぶという制度があったとしたら、倍になった人は嬉しいでしょうね。
倍にならなかった人も、「次は俺かも?」と一発逆転を夢見るかもしれません。
とは言っても、毎月の報酬に変動をもたらすことは、なかなか難しいですし、それでは生活が安定しませんので、かえって不安を感じてしまい、仕事への情熱も冷めて行ってしまいます。
毎月、抽選でお給料が倍になる人を、一人選ぶというのも、現実的ではありません。
「全強化」「部分強化」「不定率強化」は、ビジネスの現場では使えないのだろうか?と考えてみました。
例えば出張が多い職場で、出張の度に、お土産を毎回買って帰るというのは、「全強化」にあたります。
いくら毎回買って帰り、職場のみんなに配ったとしても、職場の人には「またいつものお土産か」となってしまいあまりありがたがられなくなってしまいます。
年末になると取引先に配ってまわる社名入りのカレンダーというのも、毎年毎年、少々デザインが違うだけのカレンダーがやってくるので、ありがたみは全くと言っていいほどなくなってしまいます。
これも「全強化」です。
ところが、毎回お土産は買わないけれど、たまに名産品など特別なものを買ってくるとなると、とても喜ばれたりします。
現地でしか手に入らない物であったり、数量限定品だったりすると、特別感は更に増して、喜ばれます。
これは「部分強化」になります。
ビジネスには、必ず人が関わっていますし、職場の人間関係は、仕事をスムースにすすめるためにもとても大切なものです。
お土産で、好印象を持ってもらうことができるのであれば、やってみる価値はあるかと思います。
もちろん、取引先へのお土産も同じです。
年末に配るカレンダーにしても、おそらく始まりは、「カレンダーなら、必要だろう」「毎日見るカレンダーに社名が入っていれば、名前を覚えてもらえる」というのが、理由かと思うのですが、実際は・・・
他社の社名がデカデカと書かれてあるカレンダーは飾らないかと思いますし、今ではカレンダーもデジタル化していますので、あまり意味がないような気がします。
配るのは、ご挨拶もかねて毎年同じ時期だったとしても、いつもとちょっと違うモノにすると、喜ばれます。
人は喜びを感じさせてくれる人が大好きですから、かなり好印象を持ってもられます。
美味しい食事を一緒に食べた人に対して、好印象を持つ。
楽しい時間を一緒に過ごした人に対して、好印象を持つ。
これは、よく知られた心理です。
良い気分を与えてくれた人に対しても同じなのです。
何も、一緒に食事にいくことだけが好印象を持ってもらえるチャンスなのではありませんし、接待ゴルフで盛り上げることだけが、好印象を持ってもらえるチャンスなのでもありません。
相手に、どれだけ喜びを与えることができるかが、好印象を持ってもらえるポイントなのです。
ある会社では、社員旅行の出席率があまりにも悪いので、毎年社員旅行をするのではなく、3年に1回ゴージャスな社員旅行にしたそうです。
その結果、出席率は上がり、社員からも好評価だったとか。
いつもの接待に使っているお店ではなく、接待回数を減らしたとしても、特別感のあるゴージャスな場所や、なかなか予約が取れないお店で食事すると、喜ばれるのは、「部分強化」だからです。
また、いつもの接待係りではなく、「特別な人」に接待させるのも、喜ばれるかもしれませんね。
喜んでくれたからと言って、同じ人、同じ場所というのが続くと、また全強化になってしまい、あまり喜ばれなくなってしまいますので注意が必要ですね。
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