仕事において目が果たす役割はけっして小さくはありません。
今回は、そんな「目」について考えてみたいと思います。
◎目が果たす役割
「目の色を変えて」や「目が泳ぐ」など私たちは、対峙する相手の心模様を瞳の中に見出します。
また、斬新なアイデアのことを「目のつけどころが違う」と評価するように、目は思考の基点ともなる重要な器官と言えます。
目に表れる信念や熱意、誠実さが困難な状況を打開するうえでプラスに働くこともあれば、不安や疑念など目に表れるネガティブな心模様が意図せずマイナスな印象を相手に与えてしまうということも少なくはありません。
ポジティブな言葉を並べるセールスマンの目に、一瞬浮かぶ自信の無さをお客さんは見逃しませんし、温和に見える上司の目が本当は笑っていないことを部下達は敏感に読み取ります。
仕事で成果を挙げるなら、言葉や態度を磨くだけでは不十分。言葉にならない感情を映し出す、仕事に強い「目」を育んでおくことも大切かもしれません。
◎見たいものを見る目
私たちの「目」には、「見たいもの」や「関心の高いもの」を選択的に見るという習性があります。
例えば、マイカーの買替を考えているというとき。街を歩いているとなぜだか購入候補の車種ばかりが目に入ってくる。
「やっぱり人気なんだなぁ」と妙に納得してしまいますが、実際のところは私たちの関心がそこに向かっているだけでその車種が人気の上位にランクインしているとは限りません。
また、最近ちょっとメタボ気味でお腹周りが気になってるとします。するとコンビニやドラッグストアではダイエット食品が、書店ではダイエット本が、駅の構内では「痩せたいなら!」というポスターが目に入ってきたりします。
私たちの目は視覚的情報を平等に認識するのではなく、興味や関心の高いもの、心がフォーカスしているものを無意識のうちに選りすぐって認識します。
◎あなたはあなたが思う以上に見られている
「目は心の窓」と言われます。
それは不意に、あなたの内面に秘められた感情や、隠れた関心事を外の世界へと映し出す窓になるかもしれません。
そんな時、どんな印象を残し、どのように評価をされたいでしょうか?
理知的な印象を相手に残したい時には、感情や心の動きよりも思考へと意識を向けることで、冷静な目を作ることができるでしょう。
けれどそれは時として冷たい印象を作り、情熱や誠意とは対極の無機質な人間関係を生み出すことになってしまうかもしれません。
いっぽう、すべてに無関心・無感動であれば心の動きが目に表れることもありません。
けれどそれでは情熱を共有するような深い関係性を育むこともできません。
もし今、職場や顧客、同僚との関係を良好に育んでいこうとするなら、対峙する相手に関心を寄せ、肯定的な目でみつめることが効果的。
ポジティブな気持ちで見つめる目は自然と信頼の色を映し、理解しようと努める瞳は自ずと優しさを湛えます。
また人は、関心を向けられることで自身の重要性を認識し、関心を向けられることで相手のことも重要であると認識するようになります。
仕事がうまくいかないと思い悩む時には、知らず知らずのうちに否定的な目、無関心な目を周囲に向けている事が多いものです。
そんな時は、少し立ち止まってどんな目で周りの人たちを見ていたかチェックしてみましょう。
人はあなたが思っている以上にあなたの目、あなたの見かたを見ています。
「目」について考えることは仕事や人との取り組み方を見直すきっかけになるかもしれません。
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