「健康のため、体力アップのため、そして何よりも第一印象を良くしたいからダイエットしてサイズダウンしたい」。
「取引先を増やしたいのに、コンタクトできない」。ビジネスシーンで「やりたいのにできない」自分に歯ぎしりすることは多いです。毎年のように数えきれないほどのビジネス系のハウツー書が出版され、「できる」ようになるためのコツ、工夫、習慣といったノウハウは十分すぎるくらい世の中に喧伝されているのに、「やりたいのにできない」で困っている人は減る気配がありません。
「わかっているけれどできないのだ」というため息が聞こえてきそう。
多分、そのとおりにやれば何らかの結果は出るでしょう。でも、なかなかその気になってワクワクしながらやれないものです。
「だってコツコツと少しずつ続けるのは面白くないし、苦手だもの」。
「やらなくちゃという想いが強すぎて楽しくない」。
「それに、それができても絶対に満足できなくて、またダメなところを見つけてもっとやらなきゃって思うだけ」。
そんな声も聞こえてきます。
こんなふうにウンザリしてしまうのは、「完璧主義」という名のお化けに取り憑かれているから。
「完璧主義」は自覚していようがいまいが、自分に過度な「期待」を背負わせます。
「オマエは、もっとできなければダメ。それも、今、すぐに」と。
ちょっとやったくらいでは、やった気がしないし、そのことで何もできたと感じられません。結果の見えないことを継続するのはとても辛いです。
なのに、モチベーションを保ってやり続けられない自分を徹底的にやっつけてしまいます。そんな時の常套句は、
「あの人はできているのに。やれないあなたは弱虫だ」、かしら?
そして、自分にムチ打って当初の目標地点に達したとしても、「できた」感を味わう間も与えず、不足を見つけてそれを批判することを忘れません。
ずっと「やりたいのにできない」ところに居続けることのできるプログラムです。しまいには、本当にやりたかったのかどうかもわからなくなりますね、くたびれ果てちゃって。
何かを「やれる」ようになるには、結果が出ない、「できない」時期をそこそこやらないとならないので、「やりたいことができる」のは、そのプロセスを楽しめる、ということです。
「結果は出ていないけれど、ちょっとやったことに満足できる」。
「できない自分を責めない」。
「少しでもできたら、自分を誇らしく思う」。
今度は、「そんななまぬるいことでは到底できるようになるとは思えない!」と怒気を含んだ叱責が聞こえてきそうです。
ごめんなさい。
あなたがご自分に期待するレベルがそんなものではないことは百も承知しています。
この「褒める」ことが苦手な日本という社会の中で、自分の居場所を確保するためにスーパーな自分にならないとダメなのではないかと思っていませんでしたか?
いつか、そんな自分になれたなら、本当に欲しい愛や承認も全て手に入れられるとどこかで思っていませんでしたか?
「完璧にならないと完璧に愛されない」が完璧主義のお化けの呪いだから、その呪いから覚めると、愛や承認まであきらめなければならないかのように感じるかもしれませんね。
それはとってもがっかりで寂しいことだから、なかなか夢から覚めたくはないかもしれません。完璧主義のお化けは、かすかにしか感じられないけれど希望もくれるから。
そのかすかな希望がこれまでのあなたを支えてきたとしたら、完璧主義のお化けにも、
「ありがとう」
と、承認してあげてもいいのかもしれません。
何かを「やりたいのにできない」のは、あなたの世界で「承認」が足りないせいかもしれません。
そして、もしそんなあなたの世界を変えたいと思ったならば、誰かにそっと「ありがとう」を伝えてみませんか?
あなたの「ありがとう」が、その誰かにとっては大きな励み、自分を褒められない誰かへの小さくても大事な贈り物になるかもしれません。
みんな、完璧主義のお化けですら、誰かの「ありがとう」を待ちながら、今日も一生懸命に頑張っているみたいだから。
—–