何のために働くのか?

◎私たちが働く理由◎
何のために働くのか?それは私たちにとって大きなテーマのひとつです。多くの場合私たちは、働くことで生きていくために欠くことのできない「お金」を得ています。では、お金を稼ぐために働いているのか?というとそうとも言い切れない。いや、むしろそれに抵抗感があるからこそ、「お金」以外の働く目的が欲しくなるのかもしれません。幸福感についてのある調査では、お金を稼ぐことにフォーカスした働き方と、自身にとって価値があると感じる活動にフォーカスをした働き方とでは得られる満足感や幸福感に大きな違いがあることが分かったそうです。すなわち私たちは、お金を得るための労働では短期的な喜びや満足感を得ることができても長期的な幸福感を感じにくいのです。

生きていく上でお金は欠かせないもの。けれどそれだけでは幸せを感じられない私たち。私たちが働く理由を探すのは、本当に幸せな生き方をみつけたいからなのかもしれません。

◎幸せな働き方◎
幸せな働き方について考える時、思い出すエピソードがあります。それは、私が家電メーカーの新入社員だった頃、お手伝いをしていた電器店で出会った若い夫婦との思い出です。

その夫婦は当時まだ発売されたばかりの食洗機とマッサージ機を買いにきていました。ところがどちらも決して安くはないものです。両方合わせるて50万近い出費は、若い夫婦には勇気のいる買い物でした。しばらくして彼女はいいます、「今日はマッサージ機にしようよ。洗いものは私が頑張るから」」

話は逸れますが、生活家電のマーケティングでは、女性に罪悪感を抱かせないようにすることが大切だと言われます。洗濯や洗い物など、従来手仕事が当たり前であったものが機械に置き換えられると、そこには「贅沢では?」とか「もったいない」といった心理的抵抗が働くことがあるからです。「私が頑張れば」と言った言葉の背景にもそんな気持ちがあったのかもしれません。

ところがそんな彼女に向って彼は言います。「君が頑張るなら僕も一緒に頑張る。高い買い物かも知れないけど、ふたりで頑張れば大丈夫。だからどっちも買おう。」

結果、夫婦は仲良くマッサージ器と食洗機を購入して帰っていきました。

そしてこの思い出は、私にとって幸せな働き方について考えるきっかけとなりました。

◎何のために働くのか?◎
その答えはひとつではありません。

仕事そのものが好きだから働く、食べていくために働く、欲しいものを買うために働く、働く理由が何であってもそれが幸福感につながるものであれば私たちは頑張ることができる。いえ、幸福感を感じることができたなら「頑張る」という感覚すらないのかもしれません。仕事を苦しいと感じるのは、その仕事が自分自身の幸福感につながらない時でしょう。

ところが私たちは、時に大切な人のためにはどんな苦労も厭わずに頑張れたりもします。

食洗機とマッサージ器、どっちを買う?その時彼女は仕事で疲れた夫のために私が頑張れば…と考えました。いっぽう彼は、ふたりで頑張れば、お互いの疲れを癒すことも、負担を軽くすることもできると考えました。

自分のためにはできないことも、誰かのためには頑張れる。私たちの心には、「誰かの役に立ちたい」という欲求が隠れています。そして働くことはそんな本質的な満足感を私たちにもたらしてくれるものです。

働くということは人生の多くの時間を費やして行う活動です。幸せな働き方を見つけることができたらその人生はきっと素晴らしいものになるでしょう。

けれど、働くことは時につらく、苦しいことでもあります。頑張る意味を見出せず、目的を見失ってしまうことだってあるかもしれません。そんな時には、私たちが働くことで「助かった」と思ってくれている人を探してみてはどうでしょう?役に立てている人を見つける努力をしてはどうでしょう?

何のために働くのか?

働く目的について考えるとき私たちは、その答えを自分の中にばかりに求めようとする傾向にあるのかもしれません。けれどあなたが働く目的は、あなたの関わっている人たち、大切だと感じている人たちについて考える時にこそ見えてくるものなのかもしれません。

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