そして、多くの利益を上げる人もいれば、損をする人もいますね。
投資の世界では勝ち組は2割以下、なんと8割以上もの人達が損をして市場から撤退を余儀なくされているとの話が通説になっています。商品相場も含めて、相場全体の形成には集団の心理が、個人の取引にはその人の心理が大きく関わっています。
相場の形成は、ミスコンテストと同じような人気投票だとよく言われますが、全くその通りで、経済に関するニュースが流れても相場がそれに従って必ず上昇したり下落するのかと言えば、必ずしもそうではありません。全くもって理不尽な動きをすることもとても多いのです。
相場がどのような動きをするのかという事を永年の経験から割り出した方法にテクニカル分析という手法があります。例えば、周期性に着目したサイクル分析、上がり下がりをグラフ化してその形に着目したフォーメーション分析、上がり下がりを同じくグラフ化して波動の数や形により分析するエリオット波動分析などがありますが、いずれも相場全体を形作っている参加者全体の心理を反映したものになっていると考えられます。もっとも、「この分析がうまくいく」となると大勢の参加者がその手法に倣うので、ますます人気投票的要素が強くなっていく側面もあるかも知れません。
だから、経済状況にそぐわない理不尽な上下動があったり、相場が過熱して通常この辺りと考えられる値を超えてしまう(オーバーシュート)現象が生じるのです。
このような性質を持つ「相場」に取り組み、そして恒常的に利益をあげようとしても一朝一夕にはいきません。
たまたま勝てる事はあっても、それが継続できるかどうかというとかなり難しいと言わざるを得ないのが実情です。
勝ち組が2割以下と言われる所以ですね。
相場で勝つためには、様々な分析方法を身につけ、経済情報に明るくなり、経験を積み、そして自分自身の心理パターンを見つけてそれに左右されないようなしなやかな強さを持ったメンタルをつくる必要があると私は考えています。
特に、メンタル面は勝つためだけではなく今まで積み上げてきた自身の財産の保全にとってもとても重要です。
相場で勝てない人には、いくつかの心理パターンが存在します。少し例を挙げると、
(1)損切り(含み損を決済する)ができない。
(2)目先の利益で利益確定して利益が伸びない。
(3)目先の相場の動きに左右され、がまんができない。
などです。
(1)は、損を出した自分を責めて不快になる事が嫌だったり、損を出すと負けたような気分になったり、自分が間違っていたことを認めたくなかったりといった心理に起因しています。相場は一般的によくて60~70%ぐらいの勝率ですから、負けることは必ずあります。しかし、負けたくないためにそこから相場に対する自分のストーリーを作り出して、「また値段が戻るはず」などの言い訳をしてずるずると大きな含み損を抱え、場合によっては大きな強制決済になり財産を失ってしまうのです。
(2)は、「手に入れたものは逃したくない」という、私たちが一般的に持っている心理に基づいています。後の千金より、今手にしているものを確定したいという心理ですね。
相場の勝率は先に述べたように必ずしも大きい訳ではなく、そのときの状況により安定している訳でもありません。損小利大にしてこそ利益を出せます。利益をきちんと取るには、この失う怖れから来る心理を克服する事が必要になります。
それには、どこまで相場が動くかの読みに自信があるとも必要で、その為には様々な手法を身につけたり、経験を積んだりという事も必要になります。
(3)は、「焦り」から来るものです。焦りは怖れに基づいていますが、この焦りが入ると冷静かつ客観的な判断が難しくなります。
相場は、上下動を繰り返しながらある方向性を持って動くものです。目先の上下動に振り回されると、高値で掴んで安値で売るという本来あるべき投資方法と全く逆のエントリーになってしまいます。これでは損ばかりが積み上がってしまいます。
相場は、ある意味「がまん」の連続です。どれだけ「がまん」できるかが勝つための鍵になります。
このほかにも、人により様々な心理パターンが働いて、相場で損をするという状況が起こります。
そんなときには、取引履歴から自分がなぜ負けるのか、なぜ勝てないのかという自分が持っている心理パターンと向き合うことです。
もちろん、手法の理解不足や経験といった事柄も関与していますが、自分自身の心理パターンも大きく関与していますので、その点を見直されるとよいのではないかと思います。
—–