今回は、どのように人は動機づけられるかというお話の前編をお伝えしたいと思います。
心理学者のビクター・ヴルーム(Vroom,V.)は、人の“モチベーションF”は、“期待E”と、“誘意性V”の掛け算の総和で表されると説明しました。
数式にすると、
モチベーションF=Σ(期待E×誘意性V)
です。期待Eとは、その行動が、ある結果に結びつくであろうという確率です。
例えば、私は頑張って練習すればレギュラーポジションを手に入れることができるとか、私は頑張れば営業成績を上げることができるといった主観的な確信度合いです。
もし、頑張っても結果が得られそうになければ、行動をしようという気持ちが起きませんね。誘意性Vとは、もたらされる結果の魅力度合いです。
例えば、レギュラーポジションを手に入れられるとか、給料が上がるといった結果に、その人がどれぐらい魅力を感じているかという度合いです。
結果に魅力があれば一生懸命行動をしますし、魅力が無ければやる気は起きませんね。
この誘意性Vは、またその結果から派生する二次的結果・・・例えば、レギュラーポジションが得られれば、みんなから注目されるとか、給料が上がれば、好きな旅行にたくさん行けるなど・・・が得られる確率である道具性Iと二次的結果の誘意性V´の掛け算の総和から成り立っています。
すなわち、
誘意性V=Σ(道具性I×二次的結果の誘意性V´)
ここで、道具性とは、一次的な結果が道具のように働いて、二次的結果を得られるという考え方です。
もたらされる結果が魅力的で、それが手に入る可能性が高いほど、人のモチベーションは高くなるという事ですね。
ところで、期待Eと道具性Iは確率ですから、0~1の間で変動します。しかし、誘意性は、-1~1の間で変動します。誘意性が-1~1の値を取るのは、その結果が必ずしも魅力的な事柄ばかりではないからです。
仮に、レギュラーポジションを得ることで試合にいつも出られる、周囲の人から認められるなど誘意性がプラスである側面がある一方、チームメイトから妬まれるという思いがあると、それはマイナスの誘意性になります。
では、この結果を用いて自らの、あるいは人のモチベーションをどのようにすれば高めることができるのでしょうか?
期待Eに関しては、“自信”を育んでいく事が大切になります。具体的には、成功体験を積み重ねたり、周囲が応援したりといった事が効果的ではないかと思います。
一方、誘意性Vに関しては、その人が魅力を感じる事柄を提供する事ではないでしょうか?
もちろん、人により魅力を感じる事柄は異なっていて一概には言えませんが、周囲がその人の成果やがんばりを認めてあげることや、頑張ったご褒美をあげる(自分のモチベーションを高めるための、自分へのご褒美なんていいですね!)などが考えられます。
次回は、モチベーションを高める目標設定についてお伝えします。
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