その時に、うまく話すことができればいいのですが、人前に立つとあがってしまい、うまくいかないという経験をされた方も多くいらっしゃいます。
いわゆる「あがり症」と言われる症状です。
「物心ついたときから、あがり症で、人前で話すのが苦手」そうおっしゃる方もたくさんおられます。
あがり症であったとしても、ビジネス現場で、人前で話す必要がなければ、そんなに問題になってこないのですが、ビジネスの場で、どうしても人前で話さなければならないということが出てくると、とても困ってしまう症状です。
あがらずに、自分の伝えたいことを、多くの人の前で話せる人と、あがってしまい、伝えたいことが伝えられない人との違いは、何にあるのでしょうか?
その違いは、心の状態なのです。
あがり症の人が、人前で話すとき、心の中はネガティブな状態になっていることが多いのです。
あがってしまって、うまく話せない時の心の中は、失敗したイメージでいっぱいになってしまっている時なのです。
ある意味、「失敗するにちがいない」という思い込みが出来上がってしまっているとも言えます。
「失敗したらどうしよう」
「うまく話せなかったらどうしよう」
「難しい質問をされたらどうしょう」
「その意見は違う!と怒られたらどうしよう」
それは、その人自身が、以前そのような経験をして、そのことがトラウマになっているという場合もあれば、そのような状態になった人を見た経験がある場合もあります。
「何か」があって、そういう恐怖を感じるようになり、「ちゃんとできなかったらどうしよう」と不安でいっぱいになってしまうのです。
もしも、小学校の時に、先生に黒板に答えを書きなさいと言われて、書いた答えが間違っていた。そのことで、クラスのみんなにバカにされたという経験があったとしたら、「人前で失敗する自分」という経験になります。
そうすると、それ以降に同じように人前で何かをするという場面があったとき、その経験が元になって、「失敗する自分」というのを、イメージしやすくなるのです。
また、幼いころから「ちゃんとしろ!」「きんとやりなさい!」と、完璧にすることを、求められ続けた結果、「ちゃんとしなければならない」と強く思っている人も、あがってしまうことは多くあります。
普段、普通にしているノートの升目に合わせて文字を書くということ。
もしも、銃を持った人に脅されながら「升目から絶対に文字がはみ出ないように書け!」と言われたら、「きちんとできないと大変なことになる」と思います。
そう思った瞬間に、心の中は「大変なこと」でいっぱいになります。
そうすると、普段は簡単にできていることが、指が震えてできなくなってしまうのです。
これは、「ちゃんとしなければ」「きちんとしなければ」という思いが強くなりすぎて、緊張してしまうからなのです。
もちろん、「失敗するにちがいない」という思いこむに至った経験を癒していくことが、あがり症を克服する方法の一つではありますし、心に過度のプレッシャーをかける原因になった出来事を取り除いていくという方法もあるのですが、「そんなに時間をかけていられない!明日大切なプレゼンがあるんだっ!!」という場合などに、試していただければと思う方法があります。
心の思い込みを変えるのです。
「失敗するに違いない」と思い込んでいる心に、「成功する」と思いこませるわけです。
思い込みのパワーはとても強いものです。
例えば、みなさんが買い物に出かけたと思って下さい。
お目当ての物を見つけて、「よし!これを買おう!」そう思ってレジに向かいました。
「○○円になります」と、お店の人が金額を告げます。
カバンを開けて財布を出そうとしますよね。
その時に気付くのです。
「財布がないっ!!」
その途端に恥ずかしくなって、「財布を忘れました」とお店の人に告げ、慌てて財布を取りに帰ります。
でも、「財布がない」と気付くその時まで、あなたの態度は堂々として、「財布がある」態度だったはずなのです。
財布があると思い込んでいる時点では、あなたの心の中のイメージは、財布からお金を出して料金を支払い、「ありがとうございました」と、お店の人に言われるイメージでいっぱいなのです。
だからこそ、実際には財布を持っていないにもかかわらず、財布を持っている時と同じ態度ができるわけです。
思い込みのパワーですよね。
これと同じで、心の中を、「プレゼンテーションで成功するイメージ」でいっぱいにすることができたら、あがり症を少しは軽減させることができます。
「プレゼンテーションで成功するイメージ」でいうっぱいにすることで、心の緊張を取り去ることもできます。
これは、プロのスポーツ選手もやっている方法なのですが、成功している自分を、ありありと詳細にイメージするのです。
堂々と、自分の伝えたいことを、説得力のある言葉で伝え、プレゼンテーションが大成功して、みんなから称賛されているイメージです。
みんなは、どんな顔をしているのか?
自分はどんな表情をしているのか?
自分はどんな気分になっているのか?
拍手は起こっているでしょうか?
詳細に、ありありとイメージするのがコツです。
そして、本番前に何度も何度もイメージしてみることも大切です。
その場しのぎのように思われるかもしれませんが、もしも、この方法で今までよりも良い状態で、プレゼンテーションを終えることができたとしたら、そのことが新たな経験となり、次にプレゼンテーションを行う時に、良いイメージを持ちやすくもなります。
あがり症で、プレゼンテーションに苦手意識がある方は、ぜひお試し下さい。
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