ちょっと失敗するだけで落ち込んでしまって。
ちょっとどころか、全く仕事ができないんです。
ミスしてばかりで。
こんなご相談をうけることがあります。
彼らのほとんどがこう付け加えます。
こんな相談するのって、僕(私)くらいですよね?
と。
私はこうしたご相談を聞くたびに、胸が痛んだりします。
どれくらい、彼らが「孤独」にがんばってきたか、ということが伝わってくるからです。
もしかしたら、あなたも冒頭のように感じたことがあるかもしれません。
なぜか失敗が続くということはおそらくほとんどのひとが経験されていると思いますし、その失敗が小さいほど、私たちは落ち込んでしまいまうものです。
悩んでいるひとの多くは、自分は普通以上にミスが多すぎるので、なんとかしたい、と思っていたりします。
ただ、ミスに対する取扱いは、よくこんな風にいいますよね。
ミスは気づいたら修正すればいいんです。
これは真実なんですよね。
本当は、それだけなんですよね。
とはいえ、気持ちとしては、やはり落ち込んでしまうもの。
ところが、あまりにもひどく気に病んでしまう時、その背景は単にミスが多いだけではない別の気持ちが潜んでいることもあるようなんですね。
それは、「孤独」です。
仕事ができないという問題の裏には、実は、「孤独」という人間関係の悩みが隠れていることが少なくないようなんです。
しかも、それは表立った険悪さはないことがほとんどで、「なんとなく」というものが多いようなんです。
例えば、ネガティブな報告や連絡をするのに必要以上に悩みすぎたり、伝えられない、失敗や取引先などとの嫌な出来事をひとりで抱えこんでしまったり。
例えば、昼休みにみんなと食事をするのが苦痛、仕事中のみんなの雑談に入っていくことがためらわれる、ちょっとした会話が続かない、などなど。
一見して問題と認識しにくく、ちょっとしたことなのですが、なんとなく、自分だけが浮いている気がする、ひとりだけ○○、といった感じです。
共通して感じるのは、「孤独」「ひとり」です。
実は、ここに問題の根っこがあったりします。
こんな状況で、自分がミスを連発してしまったとしたらどう感じるでしょうか。
本来なら、仕事のミスは、会社全体でのフォローでカバーされていくものですよね。
周囲がなぐさめてくれて、救われたり。
誰かがフォローしてくれて、事なきを得たり。
気づいたところで指摘してもらって、ミスを返上できたり。
たとえ、仕事内容は自分の責任であったとしても、精神面でのカバーやアドバイスなどがあるものです。
こうした周囲とのつながりが希薄であったり、受け取れないとき、ミスが実際以上に大きなものになってしまうこともあります。
ちょっとしたことでフォローされうる小さなミスも、すべて自分の仕事の能力ということになってしまいます。
私たちは、この微妙な人間関係を認識しにくく、そのことが問題とは思わないものです。
結果、その分も背負ってしまうケースが非常に多いのです。
つまり、自分がミスさえしなければいいのだと考えます。
返上しようと、仕事でがんばるのですが、ひとりでできることには限界があります。
焦りと不安も伴って、ものすごくハードワークになってしまうんですね。
当然と言えば当然のことながら、次第に仕事そのものが嫌になってしまいます。
仕事の能力を高めることも大切ですが、こんなときには、改めて人間関係を見直すことも必要かもしれません。
こうした人間関係は、友人やパートナーも含めたプライベートの関係もやはり基本的には同じことなので、仕事でやりにくい場合は、友達との関係を見直しても効果はあります。
仕事、プライベート、取り組みやすい方で見つめなおしてみませんか。
カウンセリングでこうした事例を扱うとき、孤独を癒し、親密感を取り戻していくような話をさせていただくことがあります。
すると、会社での人間関係がとてもスムーズになったという報告と比例して、ミスがどうこうという話はなくなっていくんですね。
それよりも、驚きながらも誰と食事に行ったとか、思っていたよりも認められていたとわかったとか、やればできるのだ、という話になります。
意外かもしれませんが、実際にこういうケースは少なくないんです。
それが、とっても楽しそうなんですよね。
「最初は仕事ができないというご相談だったんですよね」
というと
「あれ、そうでしたっけ? ミスは、うーん、減ったかなあ……」
と、最初の悩みすら、実はたいしたことなかった、と思えたりします。
言い換えれば、それくらい、誰かとの関わりは私たちにとって大切なんですね。
仕事で失敗をしないことはとても大切だと、私も思います。
けれども、仕事というのは、誰かとの関わりなくしてはできないものでもありますよね。
完璧を目指して、孤独に次から次へとハードワークをがんばりつづけるよりも、誰かとの親密感を深める意欲を持ってみませんか。
先に書いたように、会社でもプライベートでもかまいません。
それは、きっと思っている以上に優しいものとしてあなたの身近に存在していることと思いますよ。
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