決断力を鈍らせるもの

会社に入りたてのころや、責任ある立場にないうちは、決断を迫られる場面というのは、少ないかもしれませんが、ある程度の立場になってくると、決断を迫られる場面というのが、出てきます。

優れたリーダーの条件のひとつに、「決断力がある」というのがあげられるのですが、この決断力をにぶらせるものがあります。

まず一つ目が「期待」です。
人は、頑張って、努力したのだから、良い結果が出るはずだと期待してしまいます。

期待は、人の判断能力を狂わせてしまうことがあります。
期待するということは、「こうであってほしい」という願望があるということです。
意識が、願望の方へ向いてしまい、リスクを見えないものにしてしまったり、ひどい場合は、リスク自体が無い物のように扱ってしまうこともあります。
つまり、客観性がなくなってしまうのです。

そんな期待が大きい中での決断は、間違ってしまうことも多いのです。

次に決断力を鈍らせるものは、「恐れ」です。
「失敗しないだろうか?」「もしも決断が間違っていたら・・・」重要な決断を迫られていればいるほど、この恐れは大きくなります。
人間は、恐れが大きいと、恐れを回避することを中心に考えてしまいます。
「どうすれば、恐ろしい目にあわないのか?」を考えてしまい、最善の方法を決断するのではなく、恐れを回避する方法を選択してしまいます。

それは、恐れていることは回避できるかもしれません。失敗もしないし、批判もされないかもしれません。
でも、成功へは到達できない決断をしてしまうかもしれないのです。

もう一つは、「正しさへのこだわり」です。
決断を迫られたとき、「正しい決断をしよう」と思うと、決断できなくなってしまうことがあります。
いわゆる「優柔不断」な状態になってしまうのです。
A案とB案の二つのうち、どちらかに決断を迫られていたとしたら、「どちらが正しいのか?」を考えてしまいます。
そうすると、どちらにもメリットもあるわけですし、デメリットもあるわけです。
どちらが正しいなんて、言えないし、一長一短があるのです。
それにも関わらず、「正しさ」にこだわってしまうと、決められないという状態になってしまいます。

決断をしなくてはいけない場面があったら、当たり前ですが、まずは十分メリットとデメリットを考え、起こりえるリスクも考えなくてはいけません。
そして、そのリスクを回避する方法も検討します。
しかし、リスクを完全に回避することは、おそらく不可能でしょう。
様々なことを、考え、検討したうえで、次に自分自身の中に「期待はないか?」「恐れはないか?」「正しさにこだわっていないか?」をチェックしてみるといいかもしれません。

そして、その決断によって「誰が幸せになるのだろう?」と考えてみるといいかもしれません。
できるだけ多くの人が幸せになる決断をすることは、正しい決断をするよりも、大切なことです。

それでも、なかなか決断ができないようでしたら、「自分が尊敬する人、信頼する人ならどんな決断をするだろう?」と、その人になったつもりで決断するのも、一つの方法です。
自分ではなく、尊敬する人になってみることで、自分の枠を超えたところでの決断ができます。

色々なことを書きましたが、実のところ、決断を迫られた瞬間に直観的に出てきた答えが、一番いいかもしれないなと思うのです。
直観ですから、期待も恐れも、正しさも除外した所で、導き出されたものだからです。
直観的に何かが浮かんだ後に、期待や恐れ、正しさへのこだわりが出てきて、決断力を鈍らせてしまいますから、決められない時は、直観を信じてみるのもいいですね。

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この記事を書いたカウンセラー

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恋愛や結婚、浮気や離婚など男女関係、対人関係やビジネス関係、家族関係や子育て、子供の反抗期、子離れ、親離れ問題など幅広いジャンルを得意とし、お客様からの支持が厚い。 女性ならではの視点と優しさ、母としての厳しさと懐の深さのあるカウンセリングが好評である。PHP研究所より3冊出版。