「少しでもきつくすると、すぐに裏で文句を言って私を悪者にする」
「あいつは叱っても、全く聞いてなくて同じミスを繰り返す」
そんな部下の扱いに困ってしまうような経験はありませんか?
部下のやる気を引き出し、能力を伸ばして育てるというのは、まるで子育てのようなもの。
親の心子知らずとよく言われますが、同様に上司のあなたの思いや意図がきちんと部下に伝わっていない。なんて事も多々あるかもしれません。
・ちょっと厳しくするとすぐくじける
・自らを反省するのではなく、開き直ってしまう
・叱られても凹まない代わりに、全く進歩しない
こんな部下が溢れた職場では上司のあなたが疲れてしまうばかりか、職場の生産性自体が下がってしまいます。
だからと言って、全く叱らずに面倒を見るということは不可能です。
うまく機能していない部分は軌道修正が必要ですし、当の本人の意識改革も必要です。
ではどうやって相手のやる気を引き出し、向上心を持たせていけばよいのでしょうか?
●「褒め」と「叱り」の黄金比率
NHKの番組で、とある飲食店での売上向上の為行われた覆面調査が取り上げられていました。
通常であれば、覆面調査ではお店のメニューやシステム、スタッフに関しての”改善”という視点でマイナス査定での調査が行われます。
しかしその調査を担当した調査会社は独自の「褒める調査」を行ったのです。
そして調査報告書には、びっしりとそのお店の「良かったこと」が書かれていました。
スタッフの○○さんのどの対応が良かったとか、お店のこの雰囲気が良かったとか、心配りが良かったとか、メニューのこれがおいしかったとか。
そして、改善点は最後に少しだけ「ここがこうならもっと良くなる」と端的に書かれてありました。
通常の調査では、お店の欠点はよくわかるのですが、逆に”売り”となるような強みを本人たちが把握することが難しいものです。
その為欠点により自信をなくし、それを補填しようと、「そこのお店だから出来る事」という個性を見うしなってしまうことがあります。
覆面調査後、その飲食店では売上が2割増という結果がでました。
それは「もっと褒められたい!」という意識が、「もっと良くなろう!」というスタッフ1人1人の向上心に繋がり、結果としてお客様に満足の行くサービスが何か?を考え、提供できる店に変われたからです。
そしてそれはお店だけでなく、”人”に対しても同じ事が言えます。
私達のやる気を引き出し、そしてよりよくなろう!と向上心を持たせる為には、褒める事と叱ることの両方が必要です。
そしてその割合が【褒める:叱る=5:1】程度の時、もっとも私達の心を動かす黄金比率になります。
●褒め方のコツ
今、企業で管理職に向けての「褒め方の講習」が行われているのをご存知でしょうか?
逆に言うとそれくらい私たちは普段の生活の中でも褒め慣れていないのかもしれません。
そして、そんな私たちが相手を褒めようとしてよくはまってしまうのが、「ただ褒める」ということです。
「よくやった!」「偉い」「すごい」「素晴らしい」
確かにそう言われただけでも、私たちは嬉しいかもしれません。
しかし、相手のやる気を引き出し向上心を持たせる様人を動かすには、もう1歩踏み込んだ褒め方が効果を発揮します。
それは【具体的な事実で褒める】ということです。
先ほどの褒める覆面調査の場合であれば、
「メニューについてスタッフに質問しその場で即答できなかったが、すぐに奥まで戻って調べて答えてくれた。」
「頭にタオルを巻いたスタッフさんの元気な挨拶が気持ちよかった」
というような感じです。
報告書に直接自分の名前は無かったとしても、本人がそれをみれば「あ!自分のことだ」と分かり嬉しくなるでしょう。
褒める為には私たちは相手を1人1人しっかりと見る必要があります。
その姿勢が、部下に「上司は自分を理解してくれている」という安心感を与え、モチベーションUPに繋がります。
叱咤激励してやりたいあの部下にこそ、褒める技術を使ってみてくださいね。
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