先週、私は妻と6回目の結婚記念日を迎えました。
ああ、もう結婚して6年になるんだな。
しみじみそう感じつつ、知りあってからはもう17年経っていることにも気
がつきました。
ずいぶん長いつきあいです。
ただ、結婚記念日と言っても、何か特別なことをするわけではありません。
特に今回は、妻が転んで頭を打って寝込んでいましたし、私はカウンセリング
の講座がありましたので、全く日常の生活でした。
ただ、私たち夫婦が結婚記念日にすることが一つだけあります。
それは「契約更新」です。
これは、最初の結婚記念日に妻が提案してきたもので、おたがい1年間、一緒
に過ごせたことを感謝し、また1年一緒に歩んでいけますようにと、まるでお
正月のご挨拶のようなことをしています。
妻いわく、「どれだけ愛し合っていたとしても、お互いの人生の目的や方向性
が変われば道が分かれてしまうのは当然のことでしょ。それを、1年1年確認
していくことができれば、お互いが今どの方向に向かっているかわかりやすい
じゃない。」
妻らしい発言です。
私自身、日常の生活の中に埋もれてしまうと、つい妻に対して感謝の心を忘れ
てしまいがちになります。
それくらい、私にとっては妻がそばにいることが「当たり前」になっています。
でも、「当たり前」だからこそ、そばにいてくれることを、1年一緒に過ごせ
たことを感謝したいと思います。
ご存知の方もいるかもしれませんが、妻は厚生省指定の難病を持っています。
正直、突然死んでしまうこともあるかもしれません。
妻はそのことについては、とても病人に見えない全く普通の生活を送っていま
すし、今まで特に大きなことが起こったということもないので、周りも妻の病
気のことを忘れがちになってしまいます。
ただ、結婚当初は妻も私もどこかで怖かったんだと思います。
ある日、突然妻が倒れてそのまま2度と眼を開かなかったら。
ある日、突然妻がこの世からいなくなったら。
私にとって、これ以上怖いものはありません。
だからこそ、今妻と一緒に過ごせることが、そんな当たり前のことが、すごくす
てきなことに感じます。
感謝することって、難しいことでも何でもないんですよ。
ただ、「ありがとう」と心から伝えるだけなんですよね。
でも、当たり前になってしまうと、それすらも言えなくなってしまいます。
当たり前でなくなったとき、その気持ちに気づいても後悔ばかりが出てきてしま
います。
「当たり前のことを、心から感謝する。」
簡単なように見えて、意外とやってみると難しいことかもしれません。
しかし、ほんの少しでも感謝できたとき、本当に自分の大切さ、誰かがそこにい
ることの大切さに気づくことができるかもしれません。
当たり前と思っていることを、ほんの少しでいいので、周りの人たちに対して、
心から、感謝してみませんか?
中原謙一