●長男の嫁 〜罪悪感でなく感謝を伝える〜

皆さんはどんなイメージがあるのでしょうか。
私は一度離婚を経験していますので、今の主人で長男の嫁は二度目の経験者で現在進行中なわけですが、昔はこの「長男の嫁」ということがとても嫌でした。
「絶対長男のお嫁さんにはならない!!」
そんなふうに思っていたんです。
結婚してなかった時代にね。なぜなんでしょう。それは自分で勝手に作ってイメージしていた部分が多くあるんですよね。
母は長男である父と結婚しました。
亭主関白の父。結婚して二人の時間もほとんどとらない間に、父の両親と同居。父、母、祖父母、姉、私、妹の7人の大家族でした。
祖父母、父、私たちと食べ物の種類がいつも違うので、母は朝から晩まで食事に追われていたことを覚えています。
時代が違うのもあるかもしれません。全て手作りでしたからね。だけど、
「長男の嫁」=苦労する。
これが私の大きなイメージでした。
親戚にも気を遣い過ぎていたほどの母親。見てて痛痛しくて、私たちは3人の女姉妹であるにも関わらず、ほとんど親族には近寄ることはなく、母が一人であくせくしていたと思います。
あの時代に帰れたらもっともっと手伝いたかったなあと、今では後悔することばかりですけれどね。
結婚自体にいいイメージはなかったですが、長男さんのお嫁さんは一生相手の家族にしばられるとばかり思っていました。
だけど、長男でない人・・・と思いながら恋愛はしませんので、一度目の結婚のとき、彼は長男さんでした。
彼のお母さんはこころから私を歓迎してくれました。
今はそう思えます。
だけどあのときの私は猜疑心いっぱいで、
「彼のお母さんに嫌われたらおしまいだ。」
「彼のお母さんの言うことは何でも従わなきゃ・・・。」
「彼のお母さんには愚痴ってはならない。」
そんなことを徹底していたと思います。
だから彼の実家に行くことがとてもしんどくて嫌だったんです。
それに始めての子供で男の子だったから、とても家族に可愛がられていた分、結構彼は実家では自由きままだったんですよね。それがうらやましくもあったと思います。
だけど離婚に至ってしまって、そのとき彼のお母さんにも散々責められてしまいました。
今考えると、お母さんだって、自分の息子が不幸になると思ったら、そりゃあ私のことをなじらずにはいられないだろうし、子供を思うからゆえ、当然のことだろうと思えますが、あの時は
「結局、お母さんは私を嫌いだったんじゃん!!」
と、私の怒りが大爆発だったんです。
だから元夫のことも理解せず、彼の母親の気持ちも考えずそのまま離婚してしまいました。
それから3年ほどで今の主人と出会い再婚することができました。
彼も初めての子供で長男さんです。
あの頃はカウンセリングも何も、心理学にすら全く興味はないし、何の学びもないまま主人と出会ってますから、
「げーーー。また長男だ・・・。最悪・・・。」
それはとても強く感じましたね。
自分が上手に対応できないことのいいわけとして、その彼が長男であることを使っていたんです。
「またお母さんに気遣うことを私はするんだ・・・。またしんどい思いをするんだ・・・。しかも今度は私はバツイチというおまけもついているし、好かれる訳がない・・・。」
その気持ちを持ったまま近寄っていたんです。
それは私の誤解だったということは、私自身がいろいろ学ばせていただいたおかげでほとんどなくなりましたけどね。
そこで。
今年のお正月に、主人の前で私は号泣したんです。
その理由は、
「女は損してる!」という、昔私が持っていた、「長男の嫁は苦労する」という傷が出てきたためでした。
私が主人の実家に帰ると、実家では犬を飼っているために、朝早くの散歩が日課とされていて、日頃一人でそれをやっている一人暮らしのお母さんを楽にさせてあげたい気持ちもあり、私は無理してでも朝必死になって(低血圧で辛いというのがいいわけです・・・はい・・。)起きちゃうんですよね。だけど私も無理してるから、いらいらしてる分、主人に当たってしまうこともあるんですよね。主人は私が極度の低血圧だと知っているので、無理をしてるのが分かって、それでいらいらしてるというのもばればれなので、そんな私を怒るんですよ。
「なんでそんなに俺のかーちゃんに気を遣うわけ!? ええやん、好きで犬飼ってんねんから!」
だけど私の言い分はこれです。
「女性が結婚して、久しぶりに実家に帰ったら、両家ともに手伝ってあげたいと思うし、たまにだから何とかしたいとは思うの。だけど「女は損だっ!」っても同時に思ってる。だってあなたは長男でしょう? 長男さんはどこへ行っても大切にされてると思う。私の父も、前の夫も、あなたもそう。姉の旦那さんもそう。親が
「お兄ちゃんのは、大きい方あげてね。」
「お兄ちゃんは遠くから来て疲れてるから、そのまま寝かせてあげてね。」
「お兄ちゃんは忙しいから無理しないでね。」
そんなことをどこでもいっぱい聞いちゃう。だけどお嫁さんは言われないの。例え長女だとしてもね。どっちの実家でも動かざるをえない。それを横目に一人テレビで笑ってるあなたを見ると、正直すごく辛い。私がひとりであくせくしてるのは分かってるけど、長男の嫁っていう役割を大きく抱えている私の気持ちを分かってくれてるんだろうかって思うから・・・。」
これが大爆発しちゃいました。
私は自分の傷を彼にいっぱい出して巻き込んでしまったんです。
彼も気を遣ってくれてるんですよ。私の実家では。だけど私自身が、昔の自分の傷をいっぱい見てるので、それが理解してあげられないんです。
だから
「私ばかりがしんどい思いをしてる!」
そう感じてしまいます。
私は大阪。彼の母親は名古屋。そして弟さんは近所に住んでいて、奥さんがすごくいろいろしてくれています。
私からすると、長男さんのお嫁さんなのに、弟さん夫婦に押し付けている気持ちがすごく強いのね。彼女には1歳満たない子供がいるし、それを抱えながらも、まめにお母さんの様子を見に行っています。
なのに私は何も出来ていない。そうやって自分を責めることもとても多かったんです。
だけど、ごめんなさい、申し訳ないといった罪悪感は、溜まりすぎると怒りになります。
気分が悪くなるし、そこに近寄ることに抵抗が出てきます。
せっかくいろいろしてくれている弟さん夫婦に距離を置くなんて失礼ですよね。
だから今はとても感謝を伝えています。
実際とても感謝したいとも思います。
私たちが出来ないことをいっぱいしてくれているわけだから、いっぱいいっぱいの感謝を伝えたいんです。
メールでも、実際に会ってでも、弟さん夫婦には会うたびに「ありがとう」がいっぱい増えるほどですし、ごめんなさいも多少ありますが、それを抱えたままでも、感謝を見ていきたいと思います。
私は何も出来ていない長男の嫁かもしれません。
傍目から見ると、怠惰でいい加減で、自分勝手な長男の嫁かもしれません。
だけど、出来るときに出来ることを自分の出来る範囲でやって、出来ないときにしてもらう分には、自分の罪悪感を見るのではなく、いっぱいの感謝を伝えて行きたい。そう思っています。
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この記事を書いたカウンセラー

About Author

アルコール依存症の父からの虐待経験、学生時代のいじめから、恋愛依存、不倫や風俗を経て、自分を抑え付けるような結婚生活後、8年で離婚。その後自分に向き合い、今は穏やかに生きる。 過去のあらゆる経験をもとにして、恋愛関係、家族関係を得意とし、お客様と共に成長するスタイルを取る。