先日、僕達夫婦は入籍後初めて妻の実家へ行きました。
妻の実家は遠方なのでちょっとした小旅行気分。いつもは妻の実家で、家族4人でマッタリと過ごすのですが、今回は少し予定変更。
ひょんなコトから、僕たち夫婦と妻の両親とで日帰り旅行をすることになったんです。
僕も、普段なら「家族旅行っていいね!」と思うところですが、今回ばかりはそうも思えない事情がありました。
それは義理の父の体のこと。
実は義理の父。以前から体調を崩し、入退院を繰り返していて、実は旅行できるような状態では無かったんです。
正直、僕自身も、今回の旅行が決まったとき、「義理の父が遠出できるのか?体力的に持つのか?」とても心配していましたし、妻も僕と全く同じ意見でした。
むしろ、父の体にわざわざ負担をかけてまで、旅行しなくてもいいんじゃないか?そう思っていましたね。だからこそ、今回の旅行、決めるだけでも躊躇いがあったんです。
しかし、父は違いました。
「俺は行くぞ!」そう言い続けるのです。
それはそれは強いコミットメント(決意)で揺らぐ様子も無く。さらに、あろうことか「俺が運転する!」と言い出しはじめたのです。
「寿和くんも、不慣れな土地で道も分からないだろう?俺が運転しないとダメだよな。だから任せなさい!」
「いやぁ・・・任せるたって・・・いくらなんでもそれは無茶では?」それが僕の本音です。
僕も妻も、妻の母もきっと同じ思いだったでしょう。
僕たちはこう思っていたんです。
もし、無理して体調を崩したら、旅の途中で大変なことになりはしないか・・・せっかくの旅行なのだから、できればゆっくり楽しんでもらいたい・・・。それもコレも全て、「父への気遣い」から生まれる心配だったのですが。
しかしあることを切欠に、僕の思いは変わります。
「あぁ、ココは父に任せたほうが良いみたい。きっと大丈夫だ。」そう思えたんです。
僕は見てしまったんですよね。父の喜びの表情の中にある、少し物憂げで寂しさを湛えた父の目を。
コレは僕の思いで、父の本心とは違うのかもしれません。
でも、きっと父は自分の体のことを誰よりも知っていたのでしょう。だからこそ「これから先、4人で旅する機会がどれだけあるのか分からない」と感じていたように思うのです。
今を大切にしたい。自分の出来ることをしておきたい。自分がまだ頑張れるうちに。そう感じていたのではないかな?と思うのです。
そして「これから先、自分達にどれだけの思い出が残せるのか?」実は僕たち家族全員が感じていた不安を、父は一人で吹き飛ばそうとしたのかもしれません。
「まだまだ俺は大丈夫だ、心配するな」
男って、こんな不器用な愛しか表現できないときがあるのかな?って思います。
きっと体が辛かったに違いない父は、見事に4時間以上運転し続けました。
辛そうな顔、一つ見せずに。もちろんそんな父の姿を見て、妻も母も心配そうにしていました。
でも僕には、父の不器用な家族愛を感じずにはいられないのでした。
きっと父はこれからも、まだまだ元気で笑っているんだと思います。
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