何年か前ー 私の娘は イギリスに留学しました。
イギリスの大学に入りヨーロッパの経済と歴史を学ぶためです。
1年間の間にロンドン大学とリーズ大学に通いました。
各大学内にある寮に入り ドイツ、イタリア、シンガポール、台湾、スイス、日本の幾つかの国から来た学生との生活です。
一つのフロアーに6室ほどある中、共同でバストイレ、キッチンの生活でした。
いろんな国の言葉や食べ物にあふれた毎日だったと思います。
1年後 迎えもかねて 私はイギリスに行きました。
「お母さん 何処に行きたい? パリ? パリは私の庭だから案内するよ
手配も私がするから~」
航空チケットもホテルも手配してくれ、イギリスのヒースロー空港での再会です。
語学勉強や観光でたびたび英国に訪れていた娘は
「私はヒースローの空港が大好き!
あそこにいるといろんな人の出会いと別れを見ることができて そんな人たちを見てると楽しくなる」
以前からよく言っていました。
「きゃ~ 元気にしてた? 会いたかったよ!!」
ウエルカムボードか花を持ち 待っていてくれる 娘と抱き合い 久しぶりの再会・・・のはずが
出口向こうに娘の姿は無くー
あわてて、イギリスで使えるようにした携帯電話で電話するとー
「え~ もう着いたの? 友達は入国に手間取って時間掛かったからお母さんもそうかと思って・・・ まだ向かってる電車の中!」
私の 描いていた 感動的な再会は無しー
そのままロンドンに1泊しユーロスターでパリに向かい買い物や美術館めぐりの観光を楽しんだ数日後
娘の生活をしていた寮に二人で戻りました。
「帰ったよ~」の娘の声に
「お・か・え・りー」と返事。
いつも娘が言っていたらしく他の国の友達が学んだ日本語でお出迎えでした。
帰るための荷物をまとめていると
たくさん友達が集まってきました。
お別れを兼ねて わいわいがやがや
英語やら日本語やら国際色豊かな時間の後
どうやらその中の一人が翌日提出しなければいけないレポートがあるらしい事が分かり
「もう帰ってレポートやったら~」といわれたその友人は
「今重要なのは 明日日本に帰る友達と過ごすことで、レポートを書く事では無い」(という意味の事)
ああ 何て素敵な 友でしょう~
一晩中語りあかし 一晩中笑い とても楽しそうでした。
マンチェスター空港で帰国の搭乗手続きをしていたとき
彼らから電話がありました
「お母さん、みんな まだ部屋に残っていて泣いてるんだって」
みんなは娘との 別れを惜しんで泣いていました
でも
娘の中では 永遠の別れではなかったのでしょう
いつでも会える
いつでも電話できる いつでもメールできる
会おうと思ったら いつでも何処でも出かければいいさ
別れは特別な事でなく 一時の事
心が繋がっていれば たとえ離れていても いつも一緒でいられる
多分 娘はそんな風に思っているような気がしました
帰国後もメールのやり取りを欠かさず
イタリアの友を訪ねたり
イギリスのローズやスイスのマッティーナが我が家に来たり
結婚した娘にお祝いが、あちこちの国から届きました
4歳からのバレエの友達も
小 、中学校の親友も
高校や大学の友達もいつも会っているわけではないのに
なぜか 自然です。
国の隔たりや 時間の経過 いろんなこと全て 彼女には“垣根”が無いように思えます
娘の心はいつも他の人に開かれています
素直な心をみせています
みんなを受け入れています
友もそれを感じているのでしょう
これが
“オープンマインド”そのもの
オープンマインドの力は周りを温かな気持ちにさせ 優しさや思いやりや楽しさをもたらします
もしかして
私にそれを教えるために 娘は生まれてきたのかも知れません・・・
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1件のコメント
素晴らしい!!
爽やかで感動を一杯いただいたブログでした。
何よりも素晴らしいと思ったのは、根底にお母さんが娘さんに全幅の信頼をおいていること。
娘さんは、そんな母親を誇りに思っているから、自分の友人を交えて母親とオープンマインドで接しておられるのかと。
そんな様子がじわじわと伝わってきて、大変羨ましく拝見しました。
暖かい気持ちにさせてくれるお便りを有難うございました。