長い退職活動

こんにちは。カウンセリングサービスの五十嵐かおるです。
みなさんはいつもとは少し違う夏。どのように過ごされていますか。
私は先々月で8年以上勤めていた会社を辞めたこともあって、環境が大きく変わっています。
去年までは冷房がききすぎた部屋で座りっぱなし、冷えとむくみに悩まされていた季節ですが、今はよく動きよく食べてエアコンも控えめに使っているので体調がずいぶんいいような気がします。
会社を辞めることは初めてではありませんが、今回にかぎっては決断してから結果が出るまで2年半もかかりました。
「会社を辞める」だけでなく、長年どっぷりつかっていた「業種」からも離れることを決めたからかもしれません。
その職場は私が今まで長い間つきあってきた「○○しなければいけない」という選択の連続で行きついたようなところでした。
…どうも気持ちが八方ふさがり。
それまでの人生「頑張ればなんとかなる」「努力」でやってきた自分が前に進もうとしない。何かどうしようもない。その違和感に気付いたことが始まりでした。
職場ではなんとか締め切りには間に合わせなきゃと毎晩深夜まで残業の日々。
やっとの思いでプロジェクトが一つ終わっても達成感などまったくない。
「またこんな大変なことをやらなきゃいけないだ・・・」
達成感の替わりに、感じるのは次のプロジェクトへの恐怖感とうんざりしている自分。
慣れれば楽になる・・・難しい仕事だと覚悟はしていたものの、気持ちがついていかない。
なんだか暗~い時間の中を手探りで歩いているような感覚。
どうやってもうまくいかない。うまくいく気がしない。うまく行かせたいとも思えない。
「でも今は辞めるのに早すぎるからあと1年、あと2年頑張ったら」と自分に言い聞かせながら退職へのカウントダウンの日々。
この時にはもう私の心は声にならない声で、悲鳴をあげていたのです。
幸か不幸か体力だけはあったので、まさかこんなに心が疲れているなんて気付きもしませんでした。
ちょうど心理学も学び始めていた頃で、どうにもならなくなった私は最後の最後にやっと「相談する」ことを決めました。
今だから言えますが、それまでは「相談」とか「弱音をはく」ことは無駄だと思っていました。
最近ではすっかり開き直って「困ったらすぐ相談」「つらい時は無理!」と気軽に言えるようになりました。
ダメな性格になったように見えますが、生き方がとってもラクになったのは実証済みです(笑)
さてカウンセラーへその相談。
「どうやったら仕事ができるようになるんでしょうか。」
(どこまでも「頑張って」なんとかしようとする私(汗))
相談を受けてくれたカウンセラーはもちろんそんなことは見透かしていて、アドバイスはたった一言。
「そんなにしんどいなら、辞めちゃえばいいじゃん。」
…はい?
あの、それができないから悩んでるんですけど。なんかこう「うまい仕事のやり方!」とか「モチベーションの上げ方」もたいななものを教えてほしいんですが。
「だって無理だよ。もう限界きてるじゃん。今辞めても来年辞めても一緒だよ。何でそんなに辞めることを怖がってるの?」
だって、派遣社員だったのに上司にお願いして社員にしてもらったから「期待にこたえんきゃいけないし」
それなのに辞めるなんて言ったらきっと怒られるから「長く勤めなきゃいけない」し、
会社にも迷惑だし、根性無しって思われるから「やめちゃいけない」し
こんな自分じゃまわりにも呆れられるから「ちゃんとしなきゃいけない」し…
まだ貯金もないし、親にも心配かけるし、家族は私が「支えなきゃいけない」し…
出てくるのは周りからの評価とプライドを気にする自分、「将来の心配」先物取り。
「やらなきゃいけない」ばかり。
そこからすっぽり抜け落ちていたのは「本当は○○したい」という自分の気持ちだったんです。
本当は。つらい。
今の業種は楽しくない。でも、楽しそうだと思っていた。
だから学校も選んだし、せっかく卒業したんだからその業種で生きていかなきゃだめなんだ。
自分で決めた自分のルールがたくさん。八方ふさがりの壁をつくっていたのは私自身だったんです。
冷静に周りを見回せば、友達はみんな応援してくれるし、むしろ心配してくれてる。
頑張ってる私だから友達でいる、なんて人もいない。
それらに気付くことができて、やっと「辞めていい」と自分にOKをだすことができました。
頑張れなくたって、私はわたし。本当の私らしさはもっと違うところにある。
それが私の「退職の決断。」
さて、それからなぜ2年半もかかったのでしょうか。(メインのはずが余談になりそうです)
まずはそばにいる先輩や同僚に相談。みんなに止められ、様子をみることを勧められます。
その配慮のおかげで仕事やプレッシャーはだいぶ軽くなり、少しはやり過ごすことはできましたが、やはり心はラクになることを望みます。
そうこうするるちにパートナーができて「サポートするから続けてみたら」のアドバイスを信じてなんとか1年。でもやっぱり気持ちは変わりません。会社が嫌なんじゃない。業種に興味が持てないんだ。
そしてやっと上司に退職の申請。それを聞いたエライ上司もとんできました。
(まるで私が必要な人材のように見えますが、会社の体質上退職者を出したくないのです。
)
古き良き精神論をたっぷり聞かせていただいて、それでも動かない私の気持ちをなんとかわかってもらって「じゃぁ、このプロジェクトがひと段落つく半年後に。」
やった!それならあと半年。半年ならなんとか乗り切れる。
気持ちに余裕ができ、まわりからは楽しそうに見えたのかもしれません。
…半年後。プロジェクトの中間報告をみながらエライ上司から一言。
「うん、大丈夫そうだね!このまま頑張って。」エライ上司は私の返事も聞かず、目を見ることもなくそのまま立ち去って行きました。
「いや、無理だって。ありえない…」茫然とその背中を言葉なく見送ることしかできず。そのままプロジェクト後半戦の会議が始まり、私は自動的に担当者の一人として参加せざるを得ない空気にまきこまれて行きました。
再び心ここにあらずの日々。ただただ、辞めるタイミングを探していました。
そんな時、私を心配してくれていた上司に季節外れの人事異動の辞令があり、その波に乗ってエライ上司に退職の申請を「本気で」してくれました。
そこでやっと「退職日が決定。」  ふぅ。
長いながい退職への道のり。会社を辞めてはいけない。無理も言ってはいけない。
たくさんの自分で決めたルールをひとつひとつほどいていく時間だったのかもしれません。
決まってからは早いもので、あれよあれよと日程と引き継ぎが決まり私の仕事が減っていきます。
タイミングとは面白く、会社内の全体引越と退職日が重なってまわりと一緒に片付けが進み、荷物や席の移動もスムーズに終わりました。
まるで押しても引いてもびくともしなかったドアがスイッチを見つけた瞬間、自動ドアだったかのように簡単に開いたのです。
「○○しなければいけない」はもうやめよう。これからは
「○○したい。」という自分の声を聞こう。
それが私のこれからのやり方です。
そして本気でやりたいことに向き合ったら、大胆な行動に出ることとなったのです。
この続きはまたあとで。
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