先日、子どもが「スマイルプリキュア」を観ているのを、たまたま一緒に観る機会があった。
その回は最終回で、その最後に主人公がこんなセリフを語っていたのが、とても印象的だった。
「幸せは見つけるものではなく、感じるものなんだ」
そのセリフを聞いて、私はある友人のことを思い出した。
その友人と会うのはとても久しぶりだった。
久しぶりに出会ったその人は、自然大好きさ、がもっと大きくなっていた。
活動も多様化し、名前の通った団体にも所属していて、積極的に活動していた。
今活動しているボランティアについて、その素晴らしさを熱く語り、また、今の環境について語り、最後に、一緒にボランティアをやろう、と誘ってくるほどだった。
その活動内容に怪しいところはなく、話自体はとても素晴らしかったので、その点については賛同したが、一緒にはできない、とお誘いは断らせてもらった。
その理由について、私はこう答えた。
「あなたが幸せそうに見えないから」
私の言葉に、その人はとても驚いていた。
こんなに充実した毎日を送っているのに、幸せそうに見えないとはどういうことなのか、と。
それはとても素晴らしい話だったけれど、なのに、私の心が動かない。
何かしら、違和感があった。
始めはその理由がわからなかったが、聞いているうちに段々とわかってきた。
それは、その言葉がすべて、その人自身の言葉ではなかったからだった。
誰かの受け売りのように聞こえたからだった。
よく聞いてみると、その人には尊敬する先輩がいた。
いろんな人に出会ってきたが、見本にしたいと感激するような人に出会ったのは初めてだ、と語った。
自然に対する思いや活動についての話は、すべてその先輩が語った話であり、その先輩の思いだった。
かつての友人は、そうではなかった。
確かに、そのころのほうが、活動範囲は小さく、語る思いも大きなものではなく、視野も今の方がずっと大きいだろう。
でも、昔の友人には、友人らしい思いがあり、自分というものを持っていた。
心からの言葉は、私の胸を打ち、この人は素晴らしい人だと思わせた。
でも、今の友人の言葉は、内容は素晴らしいけれど、心がなかった。
私がこう思うから、こうしたい!という熱い思いが伝わってこなかったのだ。
そのことを話した後、幸せそうに見えないのは、友人が幸せを感じていないからではないか、と伝えた。
友人は、しばらく黙った後、実は最近、複数の人にそう言われるのだと語ってくれた。
心理学では、幸せについて、こんな風に説明をしている。
「人が成功や幸せを感じるのは、「お金」「地位・名誉」といった状況ではなく、その時の感情が感じさせること」
例えば、お金があったら幸せだと誰もが思けれど、お金しかなかったら幸せと感じるかどうかはわからない。
もし大金を持って無人島に住んでいたらどうだろう。
それで幸せだろうか。
そんな例え話をさせていただくこともある。
また、結婚をのぞんでいる人に取って、結婚することは幸せの大きな要素だ。
しかし、結婚すれば幸せなわけではなく、結婚後に相手が冷たくなってしまったら、それを幸せとは言えない。
結婚して、そして、幸せに感じる感情が伴わなければ、幸せとは言えないのである。
お金だったり、結婚だったり、地位だったり。
いろんな幸せになるための状況はあるけれど、それだけでは幸せであるとは言えない。
もちろん、状況は大切であり、それをないがしろにしていいということではないけれど、
幸せとは、幸せだと感じる感情があってこそ、幸せなのだと思う。
お金があったら、どんな風に使って、どんな人生を送りたいか。
結婚したら、どんな夫婦になって、どんな人生を送りたいか。
もし、それを考えて、それが実現していった時、
そこには、私が幸せ!と感じていることが大切なのだと思う。
スマイルプリキュアの主人公の言葉。
「幸せは見つけるものではなく、感じるもの」
幸せを見つけようという思いは大切なことだ。
それがなくてもいい、ということではなくて、
幸せを見つけようという思いだけでなく、そこで見つけたものに、幸せを感じるかどうかが大切。
そう言っているように、私は感じた。
私の言葉を聞いた、友人の顔が忘れられない。
私は余計なことを言ってしまったのではないかと、今も思う。
でも、同時に、これから、また、昔のように自分の言葉で語るようになってほしいとも思う。
そして、私自身、自分の言葉で語ることができているのだろうか、と思う。
自分の言葉で語っていきたい。
それだけは忘れないでおこうと思う。
幸せは、自分の言葉で語ることでしか、得ることができない
それが、私がカウンセリングを通じて、学んできたことだから。
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3件のコメント
自分の言葉。最近自身がなく、なんか、メンタルの、カウンセラー風とか、えらい芸能人風とかに、なってしまっていたような気がします。
自分の言葉、すごく勇気いるけど、表現できると、自分に、自信がつく気がします。
ほんと、恥ずかしいけどです。
続くかどうかわかりませんが、日記みたいなものでも、つけてみようかなと思います。
ありがとうございました。
コメントありがとうございます。
こんな風にご自身の気持ちに気づいておられることが、とても素晴らしいと思います。
日記を書くこと、名案ですね!。小さなことでも自分をほめてあげてくださいね。
昨年、結婚しました。
でも、私は今幸せを感じられません。
客観的に事実だけを見れば幸せ者の部類に入るのでしょう。
しかし、周りにそう言われれば言われるたびに何もいえなくなり、
世界にたった一人取り残されたような気持ちになります。
幸せを感じるってどうすればいいんでしょう。
理屈ではないような気もします。