カウンセリングでは、彼氏と上手くいきません、結婚に踏み切れません、夫婦関係が悪いですなど、パートナーシップのご相談を受けることがよくあります。
もちろん、クライアントさんの事情は様々で、カウンセリングも様々なものになるのですが、問題の裏には、同じような構図があるかもしれないと思えることがよくあります。
その構図とは、「クライアントさんが自らその問題を選択しているかもしれない」ということです。
これは、もちろん、クライアントさんが意識的に選択していることではなく、無意識的な選択なので、クライアントさんが原因であるとか、悪いと言っているわけではありません。
例えば、今の彼と付き合ってもう3年になり、彼は結婚したいと言っている。彼のことは好きだし別れたくないけれど、私はまだ結婚したくないので、彼とケンカになってしまう、というご相談があったとしましょう。
結婚したくない彼女には、結婚したくない理由があるはずですよね。このようなご相談の時は、私は、なぜ結婚したくないのか、また、もし結婚してしまったら、どんな問題が発生してしまうと思っているかを、クライアントさんに伺います。
結婚したくないわけですから、言い方を変えると、結婚にネガティブなイメージを持っているということですね。結婚してしまうと、大変なことになる、辛いことがあるという感覚があり、結婚に踏み切れないかもしれないのです。
結婚したことがない方にとって、結婚のイメージを形作る最も身近な結婚は、一般的には、やはりご両親であることが多いでしょう。
もし、ご両親の仲がとても良く、とても幸せそうで、結婚がとても素晴らしいものであるという雰囲気がご両親から感じられたとしたら、結婚にいいイメージをもつことが多いと思います。
逆に、結婚したくないということは、ご両親の結婚生活に、なんらかの問題があったのかもしれません。
でも、ここで客観的に考えてみると、ご両親の結婚生活に問題があったからといって、それだけを理由として、同じように自分の結婚生活で問題が発生することにはならないですよね。
頭では、結婚するのは私と彼であり、自分の両親とは違うということはわかります。
でも、心は不思議なもので、自分の中にネガティブな結婚のイメージを持っていると、自分の結婚もそうなってしまうのではないかと、無意識的に思ってしまうんですね。
このようなときは、カウンセリングなどで、結婚に対するネガティブなイメージを変えていくと、結婚したくなってくることもあるかもしれません。ご両親は結婚で苦労したかもしれませんが、両親ではなく「自分の人生を生きる」ことを選択すれば、幸せな結婚生活が待っているかもしれませんね。
もうひとつ、「自分の人生を生きる」ということについて、私自身の経験をお伝えしたいと思います。
私の両親は、私が10歳の時に離婚しました。
私の母は、一生懸命働きながら、私と妹を育ててくれました。
私と妹は、母にとても愛されて、3人で仲良く暮らしてきました。
それはとてもいいのですが、私たち兄妹は、母にとって、子供たちが生き甲斐であるということを身に染みて感じていたのです。
母にとって、私たち兄妹が結婚してしまうと、母から離れることになってしまいますよね。そうすると、母に寂しい思いをさせてしまうと、私は無意識的に思ってしまったようなのです。
母に寂しい思いをさせないためには、私が結婚しなければいいわけです。
以前はそんなことは全く思いもしませんでしたが、今から考えると、無意識で、私は結婚をしない選択をしていたようです。
具体的には、結婚している女性と何度か付き合ったことがありました。
私が初めて結婚したのは、40歳を過ぎてからでした。
しかし、私の結婚生活は、わずか2年で終わってしまいました。
パートナーシップはある意味イコールで、私だけに離婚の原因があったわけではありませんが、もしかしたら、母を見捨ててしまって、母を寂しがらせてしまったという罪悪感を感じていたために、結局離婚してしまったという部分があったかもしれないと、今では思っています。
その後、心理学やカウンセリングを学んで、あるとき、私自身も、母に関係なく「自分の人生を生きる」ことを選択しようと思いました。
自分の人生を生きることと、母を寂しがらせることは関係がない、むしろ、私が幸せになることは、母にとっての喜びになると思えるようになってきたのです。
仮に結婚したとしても、母を見捨てることにはならない、むしろ、家族が増えて、みんなでさらに幸せになれると思っても、おかしくないと思ったのです。
そう思えたからなのかは分かりませんが、離婚後1年もしないうちに新たなパートナーができて、今は再婚しました。
そのパートナーとの結婚式のとき、母はとても祝福してくれました。
今まで述べてきた、「自分の人生を生きていない」ことがある、というのは、実は、パートナーシップに限ったことではありません。人によっては、自分が望んだからではなく、誰かが望んで、それをかなえてあげるために、自分の希望とは違う仕事をしたりしていることもあるかもしれません。
このように、「自分の人生を生きていない」方は、誰かのためにそれを選択しているということも多いと思います。
誰かのためにしているのですから、それは優しさであったり、思いやりであったりするかもしれません。もしかしたら、自分の人生を生きないという選択は、その方の愛の現れなのかもしれません。
でも、その誰かは、本当は、あなた自身に幸せになってほしいと思っているかもしれませんよ。そうだとしたら、ぜひ「自分の人生を生きる」ことを選択してくださいね。
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