こんにちは、建部かずのぶです。
新年が明けて、1月余り経ちました。
古い暦では、2月4日ごろが正月だそうで、ちょうど今が新年とも言えますね。
今回のコラムでは、この年末年始の出来事を書いてみます。
年の瀬が押し迫ってきた、ある日のこと。
不意に、奥さまの電話が鳴ったのです。
聞こえてくるお話から、どうやら彼女のお兄さんからの様子。
私たちは、それぞれが親族の付き合いが薄い家柄ということもあり、
普段のやり取りも少ないので、何か緊急の出来事があったのだと分かりました。
後から聞けば、奥さまの叔母さんの容体が良くないとのこと。
なので年明け早々に、「みんなでお見舞いに行こう!」という話でした。
病院はやや遠方で、一度、奥さまのルーツと関係ある街として訪れたことはありましたが、
遠方故、奥さまもあまり訪れたことがなく、殆ど記憶もないそう。
そんな中での、急な連絡。
奥さまのご家族が、「大阪辺りに集合して、みんなで車で行く!」という流れでしたが、
何となく、私も一緒に行った方がいいかと思い、「こっちも車出すよ!」と答えてました。
もちろん叔母さんとは初対面なので、現地に到着してから車で待機してもいいかな?とも思いました。
その数日後、叔母さんの容体が急変したとの連絡がありました。
私たちは予定があって動けなかったのですが、奥さまの実家の方々がすぐに駆けつけたそうです。
危ないと聞いていたので、気になってはいましたが、まずは峠を越えたとのこと。
「お正月だし、それなら、今は行かなくてもいいかも・・・」と言う奥さまでしたが、
ホテルも予約してあるし、先方とも久々に連絡を取り合っているし・・・。
しかも、叔母さんのお世話をしている従姉妹さんが、奥さまが小さい頃は親しかったとのことで、
奥さまの実家の方々と入れ違いに、私たちだけで最初に決まっていた日に出かけました。
ちょうど、年末年始の大渋滞の時期です。
道路情報を気にしながら、直感を働かせながら何とかやり過ごし、目的の街に到着しました。
実は早く着きすぎてしまって、先方は慌ててましたが、2人でのんびりとランチをして過ごしてました。
待ち合わせの時間が決まり、病院へ。
「ほとんど何も知らずに行くのもどうかなぁ・・・、どうなることやら??」と思ってましたが、
従姉妹さんは、私たちを温かく出迎えてくださいました。
最後に奥さまと会ったのも、もう10年以上前のことでした。
「叔母さんはほとんど動かないし、しゃべらない。でも峠は越えたから、大丈夫」
と主治医から聞いていると教えてくれました。
叔母さんの耳元に従姉妹さんが呼びかけますが、あまり反応がありません。
次に奥さまも声を掛けると、徐々に反応が出てきて、その姿を見て従姉妹さんは涙ぐんでいました。
以前はふっくらしていたそうでしたが、今はその面影もなく、その病気の大変さを感じます。
やがて3人で雑談タイムになり、当然、見ず知らずの私の話になります。
「結婚したとは聞いてたけど。」
あれ?そんなふうに伝わってたんだ、と今までのギャップを埋めるような話が続きました。
そこから思い出話に変わります。
約束の時間まで余裕があったので、プラプラと周り道をしたり、途中で道を間違えたりもしてたのですが、
皆さんの思い出がある場所が、少し前に通っていたその沿道にほとんどあったという驚きも。
神社守をしていたという従兄弟の弟さんも合流し、
全然知らなかった土地なのに、まるで知ってるかのように話が弾みます。
そんなやり取りの中で時間が流れ、そろそろ帰る時間に。
もう一度、奥さまが叔母さんにご挨拶すると、声にはならないけれど、口を動かしながらいっぱい反応してくれるんです。
「その口がありがとうと言ってくれてるね」とは、みんなの一致した意見でした。
奥さまは、どちらかと言えば、自分は役に立たないという思いが強い人。
でも、ただその場にいるだけで、周りの人を喜ばせる力があるのだと私は感じました。
従姉妹さんもすごく喜んで下さいましたし、後でご実家から報告の電話があったときにも、
遠方を駆けつけたということで、親族の皆さんがみんな喜んでくれていたと教えてくれたそうです。
ただ彼女がお見舞いに来ただけで・・・。
でも、そんな力があるなんて、彼女も全く自覚していなかった様子。
こういう機会に訪ねてみて、始めて分かったことがあります。
奥さまと久々に対面した従姉妹さんが言ってらしたのが、「ずっと妹みたいに思ってたんだ」。
2人が最後に会ったのは、云10年前のことだったのですけれどね。
これから新たな気持ちで、この街に訪れることがありそうだなぁ。
そう思いながら、キレイな夕陽を浴びながら、隣でスヤスヤ寝ている奥さまを見ていたのでした。
この年末年始、実家に帰省をして家族とお正月を迎えた方も多くいらっしゃるかと思います。
中にはイヤイヤ腰を上げた方、あえて用事を作って帰らなかった方も?
家族や親族との関係って、近しいが故にイロイロとあって難しい・・・とか、
一生懸命向き合いながらも、どうしても分かり合えないという声も聞きますね。
その一方で、遠い場所から、あなたのことをずっと想ってくれている誰かも、実はいるのかもしれません。
最近私が親しくなった、家庭環境が複雑なので、存在は知ってるけどずっと会ったことがない兄弟に初めて会えた、という人がいます。
半世紀も経って会ったけれど、ただ喜びしかなかったと聞きました。
長い年月をかけて創り上げられる”家族”、”親族”は、たとえ遠く離れていても、ふと思い出せば、一気にその時の自分自身に戻っていきます。
人は故郷に帰省することで、ココロのアルバムを開けて昔の自分を確認しながら、
周りとの関係性を結び直したり、もう一度原点に立ち返っていこうとする、とも言えますね。
もちろん人によっては、もう思い出すのもイヤになったと言いたくなることもあるでしょう。
ケースは様々ですが、自分の目にとまらない場所で、実は大切に思ってくれていたり、そっと応援してくれる誰かがいる。
たとえ今は会えなくても、その巡り合わせは、自分の居場所を再確認するための『ご縁』なのかもしれませんね。
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