先日、私の祖母が亡くなったので、すべての葬儀の後、親戚一同が実家に集まりました。
久しぶりに会う面々も多かったために、昔の思い出話をしながら、私は大変リラックスした時間を過ごすことができました。
私には4つ下の妹がいて、彼女には小学校2年生の娘と幼稚園の年長の息子、さらに2歳の息子がいます。
びっくりするくらい元気に走り回る3人の子どもたちを見ていると、「1つの命は終わったけれど、新しい命が始まっているんだな」という気持ちになりました。
私たち大人が楽しげに話をしていると、幼稚園生の甥っ子が私に話しかけてきました。
「オレさ、ウノできるよ!」
私はそれを聞いて、こう答えました。
「そんな小さいのにすごいね。おじちゃんはウノめちゃくちゃ強いよ!」
すると、甥っ子は嬉しそうに言いました。
「え、そうなの!じゃあさ、ウノやろうよ!」
いきなりテンションが上がった甥っ子は、すごい勢いで2階にウノを取りにいきました。
◇◇◇
ニコニコした表情でウノを持ってきた甥っ子と、一番上の姪っ子、そして私の3人でウノをすることになりました。
ウノを始めてしばらくすると、親戚たちが、「陽介、大人だからわかっているよな」ということを私に言ってきました。
どうやらそれは、「子供たちがウノに負けると、機嫌が悪くなったりして面倒だから、あなたがわざと負けてあげなさいよ」というメッセージでした。
しかし、私は思いました。
「このままわざと負けてあげることが、果たしてこの子たちのためになるだろうか?むしろここで、本気の大人の力を発揮することで、社会の壁を体験した方が彼らのためじゃないか?」
私は自らの歪んだ信念(笑)に従い、ガンガン手持ちの札を減らしていきました。
親戚一同のがっかりした視線を背中に感じながらも、私は大人の思考力のすべてを使い、一番に上がりました。
「おじちゃんって、ウノ強いでしょ?」
そんな私の問いかけを子供たちは完全にスルーして(笑)、ウノに集中していました。
なぜなら、姉対弟の真剣対決が始まっていたからです。
2人の対決は一進一退の攻防が繰り広げられていました。
お互いに、残り一枚になってから、なかなか上がれないという緊張状態が5分ほど続きました。
2人のあまりの真剣さに、見ているこっちもドキドキしていました。
「やった!」
甥っ子は雄叫びとともに、最後の一枚を自慢げに出しました。
勝負は、甥っ子の勝ちで幕を閉じました。
その瞬間、姪っ子は猛スピードで自分のお父さんの方に走っていきました。
そして、お父さんの胸に顔をうずめると、「負けて嫌だ!」と大きな声で号泣してしまいました。
◇◇◇
私たち人間は大人になるにつれて、彼女のように人前で泣くことはなくなっていきます。
なぜなら、社会に出て生きていく上で、感情を感じ過ぎてしまうことは、とてもリスキーなことだからです。
例えば、上司に怒られたからといって、その場で、「怒られて嫌だ!」と号泣することはなかなかできなかったりします(笑)
そのため、私たちは悲しいことや辛いこと、悔しいことをなるべく心の奥にしまっておくようになります。
「本当は嫌だ!」
そんな気持ちが少しずつ心の奥深くに蓄積されていきます。
すると、ある現象が起こったりします。
「何が楽しくて、何が嬉しいのかわからないんです」
カウンセリングをしていて、そんなご相談を伺うことがあります。
このような場合、自分の中にある「嫌だ!」という感情を抑圧し過ぎて、ポジティブな感情まで感じられなくなってしまっていることが考えられます。
そのため、カウンセリングの現場では普段抑圧しているネガティブな感情を解放してもらうということがあります。
「本当は怒ってる!」
「本当は寂しい!」
「本当は悲しい!」
そんな風にネガティブな感情を解放させていくと、少しずつ「嬉しい」、「楽しい」というポジティブな感情が感じることができるようになったりします。
さっきまで泣いていた姪っ子が、私のお尻フリフリダンスを見て、信じられないくらい笑っている姿を見ると、「あれだけ素直に悲しみを感じられるから、こんなにたくさん喜べるんだな」と思いました。
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