「潔癖すぎて苦しい」というご相談を受けました。私達には多かれ少なかれ、その人なりの思い癖やこだわりがあります。ただ、そのこだわりがあまりにも過剰すぎて現在、あなたが苦しいとしたら一度、その要因をじっくりと見つめてみる必要があるでしょう。
その要因のひとつとして「自己否定」が挙げられます。自己を否定する気持ちが潜んでいると自分だけではなく、自分の身の周りの物や環境までもが完璧でないといけないという強迫観念が浮かび、心穏やかに過ごせない日々が続いてしまいます。
今回の心理学講座では自己否定を手放し、自身を肯定し心が自由になれるようになるまでのプロセスをお伝えさせて頂きます。
◎リクエストを頂きました◎
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自分の潔癖さで悩んでいます。床に落ちている髪の毛や洗面所にはねた水滴などがとっても気になり、すぐに始末しないといつまでも気になってしまいます。多少の汚れなど気にせずおおらかな気持ちでゆったり過ごしたい。でも、汚れた部屋で過ごすのは不快。このふたつの気持ちがあります。わたしがラクになるには、どうしたらいいでしょうか?
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潔癖さ
誰しも多かれ少なかれ、こだわりや思い癖があるものです。ただ、そのこだわりがあまりにも過剰すぎると日々の生活で支障をきたすこともあるでしょう。
では、潔癖になる要因はどこにあるのでしょう?
いろいろ考えられますが、慢性的にストレスを抱えているとき、私達は過剰に何かにこだわってしまうようです。きちんとしないといけない、予定通りに進めないといけないなどと自身を追い詰め、ストレスを感じてしまうんですよね。
具体的にいくつか挙げてみます。
自分が嫌い
あなたがもしも自分を嫌っているとしたら、不完全さを異常に嫌い、その状態でいる自分自身を許せなくなっていきます。
例えば、自分の容姿、生き方、考え方や心構えが嫌いなどと思っているとそれをなおそうとします。
でも、なかなか良くならない、うまくいかないとストレスがたまります。そして、その不完全な状態(その人にとって心地良くない状態)が長く続くと私達はその状況や心境を早く消し去ろうとします。そして、その不要な要素を外の世界に投影し汚れや埃などを異常に怖がったり不快に感じてしまうのです。
このようにあなたが心のどこかであなた自身を嫌っていたり、私の考え方はずるい、いけないことをしてしまったなどと感じているとき、せめて身の周りの物だけでもキレイにしたい、キレイにしなければいけないという強迫観念が浮かび、汚れに関しても過剰にこだわり過ぎてしまうことが実に多いのです。
さらに、自分を嫌っている方というのはおのずと自分を責めてしまいがちです。責める気持ちがつよい分、自分にやさしくしてあげられず罰を与えようとし、その結果、本当はのんびりと過ごせばいい時間さえ、常に何かに意識を向け、心を休ませないように自分をいじめてしまうのです。
完璧主義
幼少期、親のしつけが厳しかったという方も潔癖になりやすい傾向にあるようです。しつけが厳しくいつも良い子でいないといけなかった、きちんとしていないと叱られた。そのような過去を通して完璧でない状態を大きな問題と捉え、身の周りも含めていつもキレイな状態でいないと苦しくなってしまうのです。
感じたくない感情から自分を守っている
もしかしたら、あなたには感じたくない感情があるのかもしれません。
すごく寂しかったり過去に刻まれた悲しみ、苦しみ、壮絶な別れ、悔しさ、罪悪感など、心の傷があると無意識のうちにその傷から自身を守ろうとします。潔癖すぎて汚れなどを気にするのはとてもストレスがたまりますし、しんどいでしょうが、あまりにも深い過去の傷を見るよりはまだマシだったりもします。そのようにつらい傷を見ないようにするため、潔癖さに意識を向け、自身を守っているのかもしれません。
潔癖さを否定しない
潔癖になる要因がどうであれ、まずは潔癖さを悪いと決めつけないことが大事だと思います。
あなたが潔癖になるには様々な要因が重なったのでしょう。でも、一番の要因は今現在「常に心配事があり心にプレッシャーをかけていること」なのです。そのプレッシャーを取り除いてあげるためにも、まずは潔癖さを毛嫌いするのをやめてみましょう。一度、潔癖さを受け入れてみましょう。
潔癖さもあなたの一部なんですよね。最初は心が混乱し、つらいと思いますが、少しずつでもいいので受け入れていくと次第にその不完全さにも慣れてきます。すると、その不完全なあなたもいつしか受け入れられるようになり、受け入れることによって次第に汚れも気にならなくなってくるでしょう。
あなたの価値を知る
潔癖さにこだわりすぎる人には共通点があります。それは「自分を否定している」ということです。
今の自分ではダメ、もっと努力しないといけない、私は他の人より劣っている。そうやって自身を否定しているのです。
でも、本当にそうでしょうか?
あなたには価値がないのでしょうか?
こたえは「No」です。
あなたには価値があります。素晴らしいところがたくさんあります。キレイな要素で満ち溢れています。
そのあなたの良いところを探してみましょう。ご自身で探せないとしたら、あなたの周りのあなたをよく知っている人に訊いてみましょう。
きっと、あなたの良いところをあなたが思う以上に探し、伝えてくれるでしょう。
そして、伝えてくれた言葉を素直に受け止めてみましょう。
そうすることで、あなたは今のままでも良いと思えるようになり、多少の汚れや埃などは気にならなくなって、穏やかな日々を過ごせるようになるでしょう。
川の流れのように
キレイな清流をイメージしてみてください。
川は物事に捉われず、いつも悠々と流れています。ときにはゴミや大木が流れ落ちることもありますが、それでも、いつも同じように自然で悠々と流れていきます。
心が乱れたときは、その悠々と流れる川をイメージしてみましょう。
そして、あなたの心はいつもキレイであることを思い出して頂けたら嬉しいです。
(完)