私たちは悩み苦しんでいるとき、ついつい自分以外の他者や自分が置かれている環境を分析しようとしてしまいます。しかし、実はそれでは、あなたも他者も、誰も何もしあわせになれません。さらに、悩みの元である問題そのものは、解決されないことの方が多かったりします。
他者を分析しているときに私たち自身に何が起こっているのか、どうしてそれでは問題解決に至らないのか、じゃあどうしたらいいのか?、順を追って説明させて頂きます。
私たちが問題に対して他者分析をしているとき、その問題は“本当の問題”でないことが多いです。本当に問題を解決するためには、その裏に隠れているあなたにとっての“本当の問題”を捉えていくことが必要になってきます。その捉え方および、捉えた後にあなたがすべきことまで、いっしょに見ていきましょう。
◎リクエストを頂きました◎
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夫が仕事にやる気をなくしている状態です。
この先昇格できないとするとまとまった給料UPは望めず、ちょっと厳しいと思います。
よく心理学講座で、
権威との葛藤があると仕事で問題が生まれるという内容を見かけますが、
確かに夫も父親との関係に問題を抱えている状態で、
たくさん心理的ブロックがありそうです。たぶん夫は心理的ブロックに阻まれて、
この先会社内での出世は厳しいのではないかと思います。
私自身の心の持ち方でも大いに迷っています。
私自身が働きにでるなりして、夫への期待は手放した方がいいですか?
でも、夫への期待を一切やめようとしている私は信頼感がなさすぎでしょうか?
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リクエストありがとうございます。
私たちは悩んだり苦しくなったとき、「きっとこれが問題ではないか?」と自分なりに分析し、その問題に対して何とか対処しようとします。
一方で、その最初の分析自体が“的を外している”ことも多かったりします。すると、対策を打ったところで何も問題は解決していかない、という大変悲しい事態に陥ってしまいます。
特に、自分自身が絡んでいる問題に対して、私たちは上手に分析できないことが多いようです。それは、客性が失われやすいから。『自分のことは、自分が一番わからない』ものなのです。
今回は、リクエスト内容を具体例に、問題の捉え方・分析するときのポイント・問題が解決していかないときに見るべき「問題の裏に隠された“本当の問題”の観かた」等について、お話をさせて頂きます。
「期待を手放す=信頼がない」ではない
“期待”していることに氣づいたら、すぐに手放しましょう。
期待=「~してほしい」、「~ってなったらいいのにな」です。
これは、自分の望みを相手に委ねている、相手任せにしている状態です。言うなれば、あなたが相手に“依存”している状態です。
相手にとっては、それは重みにしかなりません。また、期待が叶うかどうかも、常に相手次第になるため、あなたに主導権はなくなり、ほとんどの場合、あなたの望んだタイミングで物事が叶うことはありません。
では、「期待を手放す」とは、どういうことなのでしょうか。
期待を手放す=相手へのコントロールを手放すこと=相手の好きにさせること=それを眺めていられるくらい相手のことを信頼している状態、です。
よって実際は、「期待を手放す=“相手を信頼している”」なのです。
“自分以外の人”を分析しても、イイコトなし
今回のリクエストを見ていきましょう。
妻が“夫の状態を”分析しています。「今、夫はきっとこういう状態(仕事にやる気をなくしている、出世や給料UPは厳しい)だろう」、「夫の問題の根っこはココ(父親との葛藤)にあるのでは」、という感じですね。
実は、これをやっても、何の解決にも結びつきません。
むしろ、相手(夫)への不満・愚痴・心配・不安が出てくる一方で、どんどんネガティブ・スパイラルにはまっていってしまいます。
では、本当は何をすればいいのでしょうか?
自分ができることだけに注力する
上記の問いへの応えは、
『投影を取り戻す』、そして、『いま自分ができることに集中する』ことです。
相手が何をしているのかについては、基本、見守るだけで放っておきましょう。
(相手から話や相談を持ちかけたりしてきしたら、それは聴いてあげてくださいね。)
自分以外の他人を分析しても、問題はその人自身にしか解決できません。他者分析をしていても、物事は一向に動いていかないんです。物事を動かすには(悩みから解放されるためには)、あなたができることに注力していくことが、何よりも大切です。
今回の場合、まずは『投影を取り戻して』いきましょう。
リクエストを例にしますと、
「私も何かにやる気をなくしている」、「この先イイコトはないとすると、自分に良い変化もないと感じている」、「私にも、たくさん心理的ブロックがありそうだ」「それらのブロックに阻まれて、この先が厳しいのではないかと思っている」
こんな風に、相手に映し出している感情・感覚を自分に向けて捉え直してみることで、『投影を取り戻していく』ことができます。
大切なのは、あなたのスタンスを“決める”こと
すると、『いま自分は何に取り組むことができるのか』、これが観えてきます。
今回の場合ですと、「何かやる気をなくしていることはないだろうか」とか、「自分にはどんなブロックがあって、それをどうしたら良い未来へ繋げていけるだろうか」ということについて、ひとりで考えてみたり、周囲の人たちや、時に専門家の手を借りながら、解明・解決に向かって行動してみることができます。
そうしていくと、“あなた自身の心の持ち方”、これが決まってきます。
今回の場合、あなたが今すぐ取り組めること、それは『自分の心の持ち方を決める』ことです。
これが出来ると、相手(パートナー)も何かしら決めざるを得なくなります。あなたが変化しますから、相手も動かざるを得なくなるんですね。
収入面で支えるのがベストだと感じるなら、あなたが働いてもいいでしょう。でも、それはあくまで『夫を信頼して待つ』ための手段である、ということを意識してみてくださいね。
期待はやめて、信頼する。そして、相手のことを観るのではなく(分析するのではなく)、相手を通して見える自分自身を観つめ(分析し)、自分にできることから、取り組んでいかれてみてくださいね。
どうしても相手のことが気になるときは、
「いったい私はどうしたいんだろう?私はどう在りたいんだろう?どんな未来を創りたい?」
といった質問に戻ってみてくださいね。
(完)