無理に笑ってしまう心理 ~仮面を捨てて本当の笑顔を~

なぜ無理に笑ってしまうのか?その心理を知りたいというリクエストをいただきました。無理 に笑ってしまう裏には、どうやら恐れの心理が隠れているようです。無理に笑うのをやめて素 顔の私になってみませんか?

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無理に笑ってしまう訳。
私がそうなんですが…前まで普通にそれができていたのですが、今はとても重圧
に感じているんです。笑うことは良い事。でも、ときどき苦痛に感じます。
どうして、無理に笑うなんてことをしてしまうのでしょうか。
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心理学講座に、このようなリクエストをいただきました。
どうもありがとうございます。

笑うことは、良いことですね。
笑顔があると、周りは明るくなります。

ですが、無理に笑っていると、だんだんしんどくなりますね。
頑張ってこられましたね。

今回の心理学講座のテーマは、苦痛を感じるのに無理して笑う訳や、
笑顔を作る意味の心理を、紐解いてみたいと思います。

●ペルソナ●

他人の意外な一面を見たことはありませんか?

例えば、会社では陽気でよくしゃべる楽しげな人が、
家に帰る無口で温和し(おとなし)かったり、
温和しいかと思えば趣味には情熱的な一面があったり。
色々な顔を見られると、
「この人が、こんな一面を持っていたんだ!」と、感じられますね。

このように、人は多面的であり、色々な顔を持っています。

まるで仮面を付け替えるように多々の顔を持つことを、
心理学では「ペルソナ」と言います。
社会で上手くやっていくために作られている顔といわれます。

無理に笑顔を作ってしまうのも、「ペルソナ」と言えます。

●顔で笑って心で泣いて、それでも頑張る人●

私たちは、基本的には人から愛されたいし、嫌われたくありませんから、
人から愛されるような自分でいようとします。
笑顔の自分でいようとすることや、
人当たりのいい自分でいられるように努めます。

これ自体に問題はありません。
社会的に上手くやっていくために、誰でも持つ「ペルソナ」の心理です。

しかし、嫌われたくないとか、傷つきたくないという恐れの心理から、
「ペルソナ」を作った時は、しんどさを感じます。
表面的には笑顔なんですが、内面的には恐れを感じている訳です。

心は、緊張しています。

緊張状態というのは、心を消耗させていきます。
嫌われない為に笑顔を作っていると、

『嫌われてないかな? 嫌な感じに取られてないかな?
今の話は悪く取られてないかな?』

などと、相手にどう思われているかが、
心のどこかで引っかかりがちになります。

表面的には笑顔で楽そうに見えても、心は消耗しているのです。

嫌われたくない、傷つきたくない等の恐れから笑顔を作っていると、
笑顔がやめられないという重圧を産み出します。

『笑顔の私だと嫌われていないけど、笑顔をやめるとどうなるの?』

という、新たなる恐れを作るためです。

本人の重圧とは別に、他人からみれば笑顔に見えますから、
「元気そうだね」とか、「楽しそうだね」なんて、
声をかけられたりすることもあるのですが、
心の中は、元気でもなく、笑顔でない時もあります。

顔で笑って心で泣いて、という状況で頑張っていたりするのです。

自分に無理をさせない為にも、
無理に笑顔を作ることをやめる勇気を、持ちたいですね。
自己愛という、自分に対する愛情を持ってみることがポイントです。

顔で笑って心で泣いてと、
自分に負荷がかかっている作り笑いを、
自分を大切にする為に、やめてみるのです。

●ポジティブな面も、ネガティブな面も私なんだ●

先ほど、恐れがあると、作り笑顔を作ってしまうことがあることを、
綴らせていただきました。
自分自身にOKを出せていない時に、
この恐れの心理を作ることがあります。

人は上機嫌な時もあれば、不機嫌な時もあるように、
時と場合で、色んな気持ちの変化が訪れます。
色んな気持ちや、心のモードがあって当然なんですね。

ところが、

『弱い自分はダメなんだ』
『落ち込む私じゃダメなんだ』

などと、ネガティブな要素を持つことを自分に許していない人は、
この心理が外に投影されて、恐れを作ります。

弱い自分や、落ち込む自分を、自分自身が受け入れられないのと同じように、
他の人もそんな私を受け入れられないのではないか?
というふうに投影されて、恐れを作るのです。

仮面の作り笑顔を作り、自分を隠してしまうのです。

恐れの心理を作らないようにするためには、
自分自身を受け入れていく、ということがポイントになります。

人には色んな面があって当たり前ですから、
『ポジティブな面も、ネガティブな面もあっていいんだー』と、
まず、自分自身で自分を受け入れていくことから、始めてみてください。

恐れを無くしていく、第一歩になることでしょう。

●仮面を脱いで素顔の笑顔を●

作り笑顔という仮面を付けていると、
本当に受け入れられているとか、本当に愛されているという感覚が、
感じられなくなるんです。

『みんなが受け入れてくれているのは、
作り笑顔という仮面を付けている私なんだ』

という、心理が作られるからです。

ですから、どんなに頑張って作り笑いをしても、

『嫌われないでよかった』
『拒絶されないでよかった』

という、「一時的な安堵感」は得られても、
本当の心の安堵感を得ることができません。

では、本当に受け入れられている、本当に愛されていると感じるのは、
どういうときでしょうか?

作り笑顔をやめた自分を、他人から受け入れられたときです。

とても勇気がいることですが、
「素顔の私」を他人から受け入れてもらった時、
本当に受け入れられているとか、本当に愛されていると感じます。

作り笑顔という仮面(ペルソナ)を脱ぎ捨てて、
「素顔の私」で人と接するんです。

一時的ではない、本当の安堵感を感じられるでしょう。

仮面を脱ぎ捨てるということは、
笑うのをやめて暗くなる、ということではありません。
無理に笑うのをやめて、
本当に笑いたい時は笑う、笑いたいたくない時は笑わない、
「素顔の私」で勝負してみましょう、
ということなんですね。

無理な作り笑いという仮面を脱ぐ時は、勇気がいることと思います。

仮面を脱ぐ勇気がなかなかでない時は、
「仮面の下にある私」の価値を見つめる時間を、
じっくり取ってみるといいでしょう。

自分にはどんな良いところがあるのか、魅力があるのかを見つけて、
価値の一つ一つを、受け入れていくのです。

自分自身の価値を知ることで、
仮面の下を見せても、愛されるという安心感を育むのです。

無理な作り笑いという仮面を脱ぐということは、
とっても、勇気がいることですが、
とっても、チャレンジしてみる価値があることだと思います。

本当の安堵感を得てみませんか。

この記事を書いたカウンセラー

About Author

若年層から熟年層まで、幅広い層に支持されている、人気カウンセラー。 家族関係、恋愛、結婚、離婚、職場関係の問題などの対人関係の分野に高い支持を得る。 東京・名古屋・大阪の各地でカウンセリングや心理学ワークショップを開催。また、カウンセラー育成のトレーナーもしている。